8,600万人への動画ストリーミングを支えるNetflix Open Connect

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2016/12/16

(写真=PIXTA)

動画配信大手Netflix(ネットフリックス)が、日本製ドラマの配給先としても存在感を増している。11月中旬には、NHKが太平洋戦争後の東京裁判(極東国際軍事裁判)をモチーフにしたドラマをNetflix経由で世界配信することを発表した。

吉本興業と電通が合弁会社を設立し、Netflix向けに芥川賞受賞作『火花』のドラマを、2015年に製作したことも記憶に新しい。

TV局との提携も進めるNetflixの動画は今や、自宅でも外出先でもスマートフォンなどで気軽に視聴できる。10年前からすでに隔世の感も出始めているが、「Netflixの動画がどこから来ているのか」疑問に思ったことはないだろうか。今回はその、動画ストリーミングの仕組みの裏側を見てみよう。

Netflixの動画配信基盤はAmazonのクラウド「AWS」で構築

まずは、Netflixについておさらいしよう。Netflixは1997年に設立され、もともとはオンラインのDVDレンタル・販売を手掛けていた、米国の動画配信企業だ。1999年には定額制のDVD借り放題サービスの提供が始まり、人気を博した。Netflixの動画配信サービスが始まったのは2007年だ。

現在Netflixでは、世界190ヵ国で動画配信サービスを実施しており、会員数は約8,600万人となっている。動画配信の開始時と比べて、約8年間でおよそ8倍まで会員数が伸びた。英BBCのオンラインサービスの利用者数が約8,000万人である。オンラインベースの会員数比較では、創業約90年の歴史を持つBBC よりも創業20年のNetflixの方が上回っているのだ。

また、Netflixのストリーミングの総視聴時間は、1日あたり1億2,500万時間にも達しているという。こちらも配信開始時と比べれば、動画視聴時間が1,000倍以上に増加するという劇的な成長も示した。

Netflixは、その巨大な動画配信サービスの基盤にAmazonのクラウドサービス「AWS」を利用しており、2015年にクラウドへの移行を終えたという。AWSは、日本でも東京と大阪にデータセンターを設置している他、北米・南米、欧州、インド、アジア太平洋などグローバルに展開している。世界中に設置されたAWSのクラウド基盤を活用して、国際的に分散している会員へサービスを提供しているのだという。

Netflixが「Open Connect」で進める動画の「地産地消」

加えてNetflixの動画配信基盤のもう1つの特徴に、「Netflix Open Connect」という仕組みがある。動画のような大容量のコンテンツを提供するためには、CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)と呼ばれる配信網を整備しなければならない。従来、CDNをサービスとして提供する会社もあったが、Netflixは自社での整備を推進した。NetflixのCDNが「Netflix Open Connect」という仕組みだ。

具体的には、Netflixと配信先の国のISP(インターネットサービスプロバイダー)やIXP(インターネットエクスチェンジ)がパートナー契約を結び、配信先の国内にデータを保管したり、ストリーミングを行う基盤を設置したりしている。さらに、ストリーミングする元動画のデータの送信にも工夫を施している。Netflixは、インターネットの利用量が比較的少ない時間帯に配信先国にデータを送信。そのデータを複製・配置して、実際にストリーミングされる仕組みだ。いわば「動画の地産地消」が実現しているのだ。

われわれもその仕組みのおかげで、Netflixの動画を快適に視聴できるというわけである。日本国内でも、NetflixはKDDIを始め、ソフトバンク子会社のBBIXとなどのインターネットエクスチェンジとパートナーになっており、合計で5ヵ所の配信拠点を確保している。つまり、日本国内でNetflixの動画を視聴している時に、眼前の動画は物理的にはNetflixそのものや、AWSのデータセンターからではなく、BBIXなどのIXPから配信されるものもあるということだ。

さらに、Netflixの相互接続拠点は世界23ヵ国に100ヵ所以上もあり、世界中のインターネットユーザーへの配信網を作り出しているという。

他方で、Netflixの動画配信が特徴的であるために、進出が遅れている国もある。特に中国への進出が遅れているという。政府によるインターネット検閲が法律でも規定されており、中国にサーバーを置いて配信すると検閲対象となり、配信への障害となっているという。

今後のNetflixの国際展開における重要なポイントになりそうだ。

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