テックの進化が実現させる「テニスの科学」

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2016/11/11

(写真=PIXTA)
AIやIoTなど、新しい形でテクノロジーを取り入れているのは、産業だけではない。スポーツでも積極的にテクノロジーを活用する動きがあり、「スポーツテック」として注目されている。野球やサッカーなどメジャーなスポーツはもちろんのこと、さまざまな種目で取り組みが進んでいる。

その中でも、全世界の競技人口が1億人を超えており、日本国内でも錦織圭選手の活躍などで再び盛り上がっているテニスに注目してみよう。ここ数年、プレイを可視化したり、データ化したりする技術の導入が相次いでおり、その動きには目を見張るものがある。

テクノロジーが「テニス」を変えた、浸透するスポーツのデジタル化

テクノロジーをテニスに活用する際に重要な役割を果たしているのが、センサーだ。ラケットを使う複雑な動きを科学的に分析することで、トップ選手だけでなく全ての競技者のレベルアップに繋げようとしている。

代表的な例では、加速度センサーや角速度センサーを内蔵したテニス専用センサーがある。ソニーが2014年に発売した「Smart Tennis Sensor」は、ラケットのグリップに装着してプレイすることで、サーブやストロークの際のさまざまなデータを記録、収集できる。ヨネックス、Wilson、HEADなどのラケットで使用できるとのことだ。

他にも米シリコンバレーのベンチャー企業TuringSenseが同様のシステムとウェアラブルセンサー「PIVOT」を開発。同システムでは加速度や角速度、地磁気センサーを装着している。選手の動作を記録・分析してスイングの改善やケガの予防を図ることができ、新たなテニスの知見を作り出すことにも貢献しそうだ。

ちなみに「PIVOT」で計測されるデータは、ソニーの「Smart Tennis Sensor」とは少し異なる。「PIVOT」には、加速度、角速度、地磁気の3種類を3軸で計測する9軸センサーを内蔵しており、装着した選手のプレイを解析できる。フットワーク、膝や肘などの身体の使い方を記録し、バイオメカニクスなど科学的な視点を取り入れ、スイングやケガに繋がりそうなプレイの修正を促すという。

開発に当たりTuringSenseは、米国のスポーツ選手養成学校であるIMGアカデミーで世界のトップ選手を指導したニック・ボロテリー氏の協力を得ており、選手やコーチの立場からみて役立つサービスの開発にも真摯に取り組む姿勢を示している。

ジョコビッチも注目の進化する「テニスの科学」

他にも、ITを使ってテニスの科学的な分析を可能にするシステムの構築を進める注目企業がある。具体的には、イスラエルのベンチャー企業PlaySightは、テニス専用の映像解析システム「Smart Court」を開発している。これは、プレイの映像からさまざまな分析を可能にする仕組みで、2015年男子シングルス世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ選手も出資するなど、高い注目を集めている。

「Smart Court」の特徴はまず、記録できるデータの幅広さにある。コート上のプレイデータはすべて自動的に記録され、すぐにビデオや3D映像で確認できる。サーブのスピード、ストロークのフォア/バックの区別、ボールスピードや回転、ボールの着地点やネットを越えた高さ、選手の走行距離・消費カロリーなど、各種データを即座に確認できる。

しかも、カメラがプレイ中の動きを捕捉し、サーブ/フォア/バックといったフォームの判別もソフトウェアが自動的に行う。そのため、分析担当のスタッフの助けを必要としないというメリットもある。

データ収集はテニスコートの四方に設置された5台のカメラと、ネット脇に置く銀行ATM程度のサイズであるキオスク端末だ。PlaySightのホームページでユーザー登録してキオスク端末にログインすると、すぐに使用できる。また取得したデータは自動的にPlaySightのサーバーへ転送され、スマートフォンやタブレット端末でプレイ映像やデータを確認することも可能だと言う。

「Smart Court」は、欧米を中心に世界15ヵ国以上ですでに200台以上が設置されている。こうした全世界のセンサーから日々選手のデータをクラウドに蓄積しており、PlaySightはその一部をリーダーボードとして自社サイトで公開中だ。

今後ますますITの力で、スポーツを科学する動きが広がるかもしれない。

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