競争激化するIoTプラットフォームでぶつかるクラウド大手

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2017/03/02

(写真=jijomathaidesigners/Shutterstock.com)

人工知能(AI)やビッグデータといったキーワードとともに「IoT(Internet of Things)」が取り沙汰され、さまざまな場面で注目を浴びてきた。特にセンサーを内蔵したモノ同士がつながり、そこから得られるデータから高い価値の知見を生み出されることが期待されている。その上では、収集したデータを分析したり、保存したりするプラットフォームも焦点の一つだろう。

IoTプラットフォームの主導権を握るのはグローバルクラウド勢か?

クラウドサービスを提供する各事業者が、IoTの爆発的な成長を取り込もうとする意図でプラットフォームの主導権争いを繰り広げている。グローバルに事業を展開する大手企業だけではなく、一部の中堅ISPやベンチャー企業もIoTプラットフォームにビジネスチャンスを見出している。独自の技術的な切り口やポジショニングで存在感の発揮を狙う構えを見せており、群雄割拠の様相を呈している。

その中でもやはり目立つのが、グローバルにクラウドサービスを提供する大手で、Microsoft(MS)などが代表的な例だろう。MSのクラウドサービス「Azure(アジュール)」ではすでに、IoT向けの機能も提供されており「IoT Suite」として知られてきた。

またAmazonも大きな存在感を示している。AWS IoTプラットフォームを提供し、センサーを搭載させたデバイスとの通信システムを提供するSDKや他のアプリケーションと連携するためのAPIなども備えた。ほかにも、AIの会話エンジンである「Alexa」を活かしたスマートホームのためのデバイス「Echo」を展開するなど、主要なIoTデバイスの地位獲得にもつなげる狙いがありそうだ。

MSとAmazonの両社とも、基本的にはグローバルにクラウドサービスを展開する自社の強みを活かして、IoTプラットフォームの整備と認知度向上、活用の促進を強力に推し進めるアプローチだ。

ハードウェアとの連携でIoTを囲い込む

大手企業がプラットフォームの囲い込みを狙うのとは異なる切り口で、IoTに必須となるセンサーを搭載するデバイスを囲い込み、プラットフォーム上での存在感を示そうとしている動きもある。

日本企業が取組をすすめる例では、通信モジュールからデータの通信網、アプリケーションを結び付けようとする、さくらインターネットの「さくらのIoT Platform」が挙げられるだろう。2017年秋頃には世界対応版モジュールのリリースを予定している。

具体的にはLTE通信モジュールを内蔵した量産可能なデバイスを開発し、IoTデバイスで観測するデータを自社の閉域網をつかってクラウドに送信し、蓄積。外部のクラウドサービスとしてAWSを活用したり、IBMの「Bluemix」やYahoo!JAPANの「myThings」へのアクセスも確保しようとするやり方だ。

「従来の開発では、組込みのデバイスをネットワークにつなぐためにTCP/IPスタックを構築したり、メッセージングプロトコルを実装したりしなければならず、作らなければならないものが多かった」(さくらインターネット社)が、さくらのIoT Platformでは、かなりの開発工数の削減ができるという。

IoTのデバイスの通信モジュールとクラウド基盤でのデータの処理、分析をおさえるという、デバイスベンダとなり、プラットフォーム化したバックエンドで事業化を図ろうとする形だ。

IoTの多様な組み合わせの可能性

ただ、忘れてはならないのは、もっと異なるアプローチを採る第三勢力ともいえる企業群もあることだ。

IoTのクラウドプラットフォームでアプリケーションに絞ってサービスを提供しようとするベンチャー企業や、SIMカードでIoTのための通信インフラを提供しようとする先進的な企業もある。さらには、安価に調達できるIoTデバイスにも応用できるRasberry PIを活用するクラウドサービスの提供事業者もあり、さまざまなアプローチがほかにもありそうだ。

いずれも、自社の既存の事業や技術的優位性を活かした切り口での参入を試みている。イニシアティブをどの企業が握りIoTの生態系が確立されていくのか。サービスプロバイダ間での競争の結末を予想してみるのもいいだろう。

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