「専攻は、フィンテックです」金融・ITの実務をプログラム化する海外教育機関

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2017/03/29

(写真=Zapp2Photo/Shutterstock.com)

インターネットが普及して通信や事務処理のあり方が置き換わり、その波は金融機関の業務やインフラにも及び、いまやFinTechの一大トレンドが産み出されている。世界各国で数多くのFinTechベンチャー企業が誕生してきたが、その勢いはどうやら伝統的な教育界のプログラムの内容にまで及んできているようだ。

英国のストラスクライド大学がFinTech研究科を設立

ひとつの例がイギリスだ。EU離脱「Brexit」で大きく揺れてはいるものの、ロンドンは世界有数の金融センターの一つとして大きな存在感を放ってきた。その英国内の最高学府のプログラムにもFinTechの影響が及んできている。

2017年に入った直後に、スコットランドのグラスゴーにあるストラスクライド大学は、FinTech専門のコースを経営大学院(MBA)の中に設立することをあきらかにし、FinTech修士号を授与するコース「MSc in Financial Technology」を立ち上げた。

FinTechを銘打った研究科は、英国内で初めてとなり、2017年の9月から生徒の受け入れを開始する予定だという。大学教育の中でも、FinTechが大きな研究・教育分野の一つになってきたといえそうだ。

ファイナンスからビッグデータ・機械学習までカバーするカリキュラム

FinTechについて学び、研究する「MSc in Financial Technology」では何を学べるのかもう少し、詳しく見てみよう。

ストラスクライド大学によれば金融に加えて、プログラミングや分析スキルを身に着けられるという。ほかにも「金融の基礎」や「ファイナンスマネジメント」に加え「ビッグデータの基本」といったテクノロジーの側面について学ぶ授業も用意されている。

また、最近ではAIの一部としてもてはやされている機械学習をデータ分析に用いるために必要な基礎知識を身に着ける機会も得られそうだ。

ちなみに、このストラスクライド大学のFinTech専門コースの学費は1万9,500ポンド(英国外からの留学生の学費)となっており、約270万円(2017年3月21日時点)で世界の最先端のFinTechビジネス事情について学べることになる。

FinTechは大学教育でもブームを呼ぶか?MITなども専門コースを設置済

ただ、世界の大学を見渡せば、FinTechの専門コースを設置する動きは、英国やストラスクライド大学に限られてはおらず、最先端の研究を追い求める他の教育機関でも進んでいる。

代表的な例では、アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)が2015年末に、MBAの「スローンスクール」にFinTech専門コースを設置しており、FinTech関連の高等教育で先行してきた。オンラインで受講できる12週間のコースも用意している。

ほかにもアメリカ国内ではニューヨーク大学が、MBAの「スターンスクール」のカリキュラムにFinTechを採用しており、最先端の動きへの適応を図っている。具体的なプログラムにも、電子通貨やブロックチェーン、ロボアドバイザーといった代表的なITの金融への応用のほか、FinTechのリスクマネジメントといった科目も並んでおり、トレンドを積極的に取り入れるニューヨーク大学の姿勢も鮮明だ。

経済やビジネスの動きに敏感なMBAでの設置とはいえ、世界の大学も、FinTechをカリキュラムに取り入れる傾向を明確に示しており、教育界でも注目されるテーマとなってきているといえるだろう。

海外の教育機関の方が先端動向に積極的?

日本国内でも有力なMBAがFinTechに関するカンファレンスやイベントを催しているものの、金融の実務から技術までを体系立てて学べるプログラムを用意している教育機関はまだ限られるように見受けられる。

ビッグデータがトレンドとなり始めた2010年頃にも、既に海外では数多くの教育機関が専門のプログラムを用意していた経緯がある。ビジネス上の最新のトレンドをプログラムに落とし込んでいくノウハウや、実務派の研究者の層では引き続き海外の教育機関が優位であるといえる。

今後もFinTechの影響力を受け続ける業界に身を置くビジネスパーソンは、海外で学びを深める事をキャリアの選択肢に置いてみるのもいいだろう。

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