Amazon帝国の拡大を象徴する「Amazon Lending」発展史

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2016/12/27

(写真=Myimagine/Shutterstock.com)

Amazonを通じた自社商品の販売を可能にするプラットフォーム、Amazon Marketplace。商品の販売経路になるだけではなく、「Amazon Lending」と呼ばれる小規模、短期の融資サービスも設けられているなど、支援の手厚さでも注目を集めている。

Amazonは、サービス開始当初は書籍を中心に扱っていたが、今では家電やおもちゃ、家具、服飾品など、多岐に渡る商品を扱う、EC(eコマース)の大手だ。そのAmazonが金融でも影響力を発揮しているということだが、Amazon Lendingはどんなサービスで、どのように拡大してきたのかを振り返る。

データ分析による融資で審査機関を短縮

従来の金融機関での融資には事業計画に加えて担保なども必要で、銀行などが融資を決定するまでに要する時間も数週間に及ぶのが通例だった。Amazonを通じて自社商品を売る販売店の中には、その伝統的な融資では資金を調達できないという課題に直面していたところもあったという。

一方でAmazonは、Amazon Marketplaceに参加している法人販売事業者に限定した融資を開始。これがAmazon Lendingで、2015年の累計融資額は15億ドルを上回り、融資残高は約4億ドルと言われている。また、アメリカや日本だけではなく、イギリス、ドイツ、スペイン、イタリア、インド、さらには中国などの各国で展開しているのだ。

融資の知識を持っていないAmazonは、従来と異なる基準で融資をしていると言われている。事業計画や担保の代わりに、過去の販売実績や決済データなどを審査の材料として活用。蓄積されたデータに基づいて融資の可否を判断するため、審査にかかる時間も大幅に短縮化されており、ローンの申し込みから入金まで最短で5日となる。

例えば、特定の商品の人気が急騰した際、在庫切れで販売機会を喪失することなく、円滑な資金繰りで商品を再入荷し、着実に需要を取り込むことが期待できる。そのため、融資の速さもタイムリーな資金需要に応えてくれることから評価されているという。

Amazon Lendingの歴史はまだ4年

Amazon Lendingのサービスはアメリカで2012年頃にスタートしたもので、まだそれほど歴史が長いわけではない。当初は大々的なPRもなくAmazon Marketplaceに出店する事業者にメールで融資について案内を通知していた。

その後、融資枠組みの詳細について明確にならないまま「80万ドル(約9,000万円)の融資を貸し付けた」「13%の金利で融資が下りた事業者もいたが、金利1%で審査が通った」など、情報が錯そうしたこともあった。

アメリカでのサービス開始からおよそ2年が経過した2014年には、元VISA北アメリカのトップを務めていたNick Talwar氏を雇い入れるなど、サービス拡大へのてこ入れをした。

同年には日本国内向けのサービスがスタート。Amazonのサイトによると、融資の申し込みはオンラインで、返済はローンを受けた販売事業者の売り上げが決済されるAmazonのアカウントから自動で引き落としが可能という。融資額は10万〜5,000万円まで、金利は8.9〜13.9%、返済期間は3〜6ヵ月となっている。ローンの使途は「Amazon Marketplaceでのビジネスを更に拡大、成長するため」だとAmazonは定めている。

Amazonは併せて、銀行との提携も図っているようだ。2016年の株主への手紙で、創業者でCEOのJeff Bezos氏は「Amazon Lendingの拡大を目指しており、銀行とパートナーになる道を探っている。銀行も信用リスクの大部分を取り扱う専門性を生かせるだろう」と語っており、金融分野での新たな動きに発展する可能性もありそうだ。

フィンテックを活用した金融事業の強化は、Amazonのビジネス帝国をさらに拡大していく一手になるか。今後の発展にも期待である。

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