FinTech時代のナンバー1ハブ候補である「東京」のライバルは?

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2016/12/09

(写真=PIXTA)

「東京」をFinTechの可能性から見ると、確実に強大なポテンシャルを秘めている。東京は、政府や金融機関の前向きな姿勢に加えて、技術・資本力もあり人材の質も良いと言われる。ただエコシステムという観点では、FinTechをリードするロンドンやニューヨーク、シンガポールなどには、まだまだ遅れをとっているとの見方もある。

裏返して言えば、資金調達の支援や役割分担の明確化をし、日本特有のファイナンシャル・インクルージョンを十分に活かせば、さらなる活性化が狙えるのではないだろうか。東京が秘めるFinTechハブとしてのポテンシャルを、他の都市と比較しながら探ってみよう。

英国・ロンドンがFinTechで持つプレゼンス

まずは英国の首都・ロンドンが「FinTech 都市の最高峰」と称されるまでに成長した背景を見てみよう。

ジョージ・オズボーン前英財務相が2014年8月に「英国をFinTechの首都に」と打ち出した政策を皮切りに、翌年には66億ポンド(約9,025億3,744万円)の巨大FinTech市場にロンドンは拡大した。

その基盤となったのは、キャメロン政権が2010年11月に打ちだした「テック・シティ(Tech City)」政策だ。GoogleやFacebookを筆頭とする国際大手企業の支援を受け、治安の悪さで敬遠されていたロンドン東部を「英国版シリコンバレー」に再生させた逸話は有名である。

政府の強力な推進プロジェクトの後押しを受け、数多くのスタートアップが次々と開花。古くから国際的金融都市として君臨していたロンドンのネットワークを存分に活かし、瞬く間にシリコンバレーと並ぶFinTech 都市の座に就いたのだ。

ドバイやシンガポールもFinTechに積極的

アジアを代表するFinTech 都市として頭角を現しているのが、シンガポールとドバイだ。特にドバイ政府は「2020年までに政府の全資料・書類をブロックチェーン化する」という一大プロジェクトを発表しており、世界初のブロックチェーン都市改革に着手している。

その「ドバイ・ブロックチェーン・ストラテジー」では、行政の効率化のほかに民間事業への拡大も予定されており、不動産から銀行、医療、輸送を含む多様な分野へと、ブロックチェーンの恩恵を広めていく意向を明らかにしている。

一方、過去10年間に政府が220億ドル(約2兆4,373億円)を投じて「国際ビジネス大国改革」に取り組んでいるのはシンガポールだ。寛大な支援が優秀なプログラマーや研究者などの育成を後押しし、さらにはその恩恵を多数の企業が享受している。

シンガポールのもう一つの特徴は、他国との提携をバネにFinTechを発展させている点だ。2016年5月に発表された英国の国際FinTechプログラム「FinTech Bridge」の第一パートナーとして選ばれた他、オーストラリアとも両国のスタートアップ成長促進を支援する「FinTech支援協定」を締結しており、積極的に取り組む構えだ。

FinTechのハブになるポテンシャルは十分の東京

ロンドンやドバイ、シンガポールと比較してみると、東京の立ち位置は現時点では「半分目覚めた、眠れる獅子」が当てはまるかもしれない。

公的な動きとしては、自民党がFinTech推進議員連盟やIT戦略特命委員会を設立した他、金融庁がFinTechに関する有識者会議や決済高度化官民推進会議などを開催。経済産業省によるFinTech研究会・検討会合も実施され、日本銀行もFinTechセンターの設立とFinTechフォーラムの開催で、支援を具体化している。

さらに小池百合子知事が金融庁と連携し、東京の国際金融センター化を検討する姿勢を示しており、政官は前向きな姿勢で臨んでいる。

またFinTechのコミュニティが次第に形づくられ、仮想通貨に関する法改正案など規制面での進歩も見られるなど、着実に地盤を固めている。東京がFinTechハブになる環境は整いつつあると言っていいだろう。

しかし、課題がないわけではない。シンガポール金融管理局(MAS)のソプネンドゥ・モハンティChief FinTech Officerが言うようにFinTechを進化させる役割を企業が担わなければならないとすれば、スタートアップへの投資も含めたファンディングも、政府などからの支援の重要なカギになるかもしれない。

こうした課題をクリアして初めて、「日本が世界一のハブに成長する可能性を秘めている」というモハンティChief FinTech Officerの期待が実現するのかも知れない。

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