フィンテック最後のフロンティア? 元Googleのエンジニアたちが挑む銀行OSのイノベーション

フィンテック最後のフロンティア? 元Googleのエンジニアたちが挑む銀行OSのイノベーション

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2016/10/11

(写真=PIXTA)

われわれの暮らしにおいて、いつでも必要なときにATMから預金を引き出せたり、インターネットバンキングを利用してスマートフォンで24時間取引を行えたりすることは、今や当たり前となった。

この「いつでも・どこでも」使える銀行を支えているのが、コアバンキングシステムと呼ばれる独自の基幹システムである。経済活動のベースであるこのコアバンキングシステムに、いま大きな変革の波が押し寄せようとしている。

そもそもコアバンキングシステムとは?

コアバンキングシステム(Core Banking System)とは、銀行のもっともベースとなる取引業務をサポートするために使用されるシステムのことで、運営に欠かせない情報基盤となる。

実際に同システムで処理される業務はさまざまだ。例えば、「ローン契約に関する業務」「新規口座の開設」「現金預金や引き出し」「給与の支払い計算や小切手の処理」「利息の計算」など、われわれの日常とも馴染みのある業務が並ぶ。

顧客関係の管理などほかにも機能はあるが、もちろん銀行の「タイプ」によってコアバンキングシステムは異なる機能を備えている。

問題は、システムのプラットフォームが統一されていないことだろう。日本の市場に目を向けてみても、IBMやNEC、富士通、日立、NTTデータなど、さまざまな企業が独自のシステムを提供している。

元Googleの社員らが挑む新しい銀行OSの全容

銀行が長い時間をかけて開発、進化させてきたコアバンキングシステム。数十年の歴史があるものも珍しくなく、ここ数年で起きている爆発的なテクノロジーの進化の恩恵を受けるためには、いささか規模が大きくなりすぎているといった事情もある。

そのため、他の銀行と共同のシステムに切り替えたり、最新のシステムを導入したり、当然そうあるべきシフトチェンジを気軽に導入できないという問題が顕著になってきている。

この問題に果敢に挑戦しているのが、元Google社員が立ち上げたスタートアップ「Thought Machine(ソート・マシン)」だ。

スピーディーさを特徴とするアジャイル開発を採用し、最も新しい技術を搭載したコアバンキングシステム「VaultOS」の開発を2014年からスタート。クラウドコンピューティングを利用するなど、わかりやすさだけでなく、新しい金融サービスの基盤となる可能性も提供している。

従来のコアバンキングシステムでは、銀行内の分野やサービスで縦割りのオペレーションを行ってきたため、システム内の情報の流通に「翻訳」が必要であった。

一方「VaultOS」ではすべての情報がフラットにつながり、顧客の細かなトランザクション(取引)や支出プロフィールの情報を元に、各種ローンの支払いの柔軟なカスタマイズもできるという。つまり、サービスを個人単位で柔軟に作り変えられるのだ。

「信用」「セキュリティ」問題への回答は出せるか?

Thought Machineの「VaultOS」は、現在2つの銀行でトライアルが行われている。

このトライアルで試されるのは、コアバンキングシステムとしてすべての処理が迅速かつ精確に行われるかだけではない。銀行の基幹システムとして採用されるためには、世界中の人々の生活インフラとして、「信用」と「セキュリティ」を担保できなければならない。

その解決策の一つとして、「VaultOS」ではブロックチェーンを活用した技術を採用。仮想通貨「ビットコイン」の土台となっている同技術で、複数の場所にデータを分散して処理する。そのため、万が一その一つが改ざんされても、他のデータと照合のうえ不整合性を排除するので、ハッキング対策への有効性が期待されている。

しかし、ブロックチェーン技術を搭載すれば万全ということではなく、ブロックチェーンを利用したセキュリティの課題もすでに明らかとなっており、課題がないわけではない。

新しいコアバンキングシステムとしての大きな可能性を秘めた「VaultOS」が大きな注目を集めているものの、同じく日々進化する外部からの脅威にどう立ち向かうのかという課題もある。その動向には今後も熱い視線が注がれていくだろう。

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