自動運転車が変える「保険」業界、開発中の運転データを用いた保険商品

自動運転車が変える「保険」業界、開発中の運転データを用いた保険商品

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2016/09/29

(写真=PIXTA)

自動運転の技術開発が世界的に急進展していることは、多くの読者がご存知だろう。主要な自動車メーカーはもちろん、GoogleなどのIT企業も熱心に開発を進めているが、その開発状況を注視している別の会社もある。自動車保険を提供する損害保険各社だ。

もしも自動運転車が完全に普及すれば将来、自動車事故が大幅に減るとみられる。そうなればもちろん、保険料が大きく下がったり、損保会社の売上全体の6割を占めるこの主力事業の屋台骨が揺らいでしまったりする恐れもあるからだ。そこで、自動運転技術が損保会社に与える影響を、現在わかっている範囲で考えてみよう。

自動運転車の普及で自動車保険は激減?

自動運転技術が、すぐに損保会社に大きく影響するわけではない。当面は従来型のクルマが大勢を占め、まだドライバーが介在する操作が多いため、劇的な事故の減少もすぐには起こらないとみられている。

ただ人工知能(AI)が受け持つ機能が増えるにつれて自動車事故は減り、さらに人に依存しない完全自動運転が実現すれば、保険もその影響を免れないかもしれない。中には、米国の自動車保険料収入は2015年の2,000億ドルから、数10年後には5分の1にまで激減するとの見方も出てきている。

一方、国内外損保26社を会員に持つ日本損害保険協会は、自動運転の法的責任についての報告書を2016年6月に公表。自動運転の「レベル3」までは「現行法(自動車損害賠償保障法(自賠法)および民法)に基づく考え方が適用可能と考えられる」との見解を示している。

「レベル3」とは国土交通省や米運輸当局(NHTSA)が定義する自動化4段階の一つで、運転操作は全てクルマが行い、「緊急時のみ運転者が対応する」水準のことだ。つまり同協会は、最終責任は運転者が負うべきとの立場である。

「レベル3」までの事故責任は運転者に

また「運転者が全く関与しない」究極の自動運転車「レベル4」については、同協会会長は「従来のクルマとは別のものとして捉えるべき」とし、安全基準や免許制度等の自動車関連法などを抜本的に見直す必要があるとの見解をすでに示している。保険業界も、ガソリン車など従来と異なるタイプのクルマだと理解している様子だ。

他方で、制度面の整備はまだまだこれからというのも事実。警察庁が外部委託した、自動走行システムに関する有識者委員会の2016年3月の報告書では、公道実証実験のためのガイドライン案作成や、法律上・運用上の課題の整理に取り組むとしており、具体的な取り組みは今後の問題となっている。

当事者業界や管轄当局の議論は緒に就いたばかりの状況だが、自動運転技術の進歩とそれに伴う損害賠償責任についての課題を整理してみよう。一言でいえば、事故が起きた際にクルマの所有者や運転・搭乗者がどこまで責任を負うかがポイントになる。

今後、安全先進車は保険料割引も

もう一つ自動車保険業界で注目されるのは「テレマティクス保険」の台頭だ。これは、クルマの急ブレーキ・発進頻度などの走行情報を、ドライブ/イベント・レコーダー等の車載端末に蓄えて分析し、その評価に基づいて保険料を算出する自動車保険のことだ。

データから事故原因を特定し、妥当な損害負担割合を算出できる可能性が高いとして期待されている。またクルマの運転データや車載カメラなどのデータは自動運転技術でも使われるもので、自動運転車との親和性も高い。

欧米で普及し始めたところだが、日本でも大手や外資の損保が法人向けを中心に販売を開始した。日本政府も「テレマティクス等を活用してドライバーの安全運転を促進する新たな保険を創設」と前向きに取り組む姿勢を示しており、今後の普及が拡大する可能性もある。

自動運転車の開発や高齢化など日本社会の変化に応じて、今後多様な保険商品が登場してくることも考えられる。保険更改の際には、他の選択肢を検討してみることも一つの方法と言えそうだ。

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