第4期「MUFG Digital アクセラレータ」参加者インタビュー|準グランプリを受賞したプログラム初の海外企業Moxtra社 ~MUFGとの協業について語る~

第4期「MUFG Digital アクセラレータ」参加者インタビュー|準グランプリを受賞したプログラム初の海外企業Moxtra社 ~MUFGとの協業について語る~

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2020/09/18

「MUFG Digital アクセラレータ」は、世界に変革をもたらす熱意を持った起業家・ベンチャー企業の方々と革新的なビジネスの立ち上げを目指し、三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)が2015年に設立した邦銀初のスタートアップアクセラレータ・プログラムである。プログラムに参加するスタートアップ・ベンチャー企業は事業プランのブラッシュアップやプロトタイプの構築支援、事業プランの方向性に合わせたパートナーの選定やアライアンス提携など多岐にわたる支援を受けることができる。

2019年開催の第4期プログラムにおいて、海外企業として初めて採択されたのが、米国シリコンバレーに本社を置くMoxtra社だ。同社は、メッセージング・ビデオ会議機能に加え、電子署名機能なども有するワンストップの双方向コミュニケーションプラットフォームを提供しており、本プログラム以降もMUFGとの協業を検討してきた。今回はMoxtra社Head of Strategic Business DevelopmentのNikhita Iyar氏に、米国からのMUFG Digital アクセラレータ参加の経緯やMUFGとの協業について話を伺った。


(Moxtra社Head of Strategic Business DevelopmentのNikhita Iyar氏)

—「Moxtra」はどのようなサービスなのでしょうか?

「Moxtraは、モバイル時代のビジネスコラボレーションをコンセプトに、様々な機能が一つのプラットフォームに詰まったコミュニケーションチャネルです。

電話・ビデオ会議やメッセージングなどの基本機能でインタラクティブなコミュニケーションができるほか、共有という点では、画面共有は勿論のこと、ビデオクリップの作成によってリアルタイムでなくともプレゼンを聞いているような顧客体験を実現しています。例えば、担当者が画面上で資料を動かしながら、ポインターやアノテーション機能(矢印等の図形や吹き出しコメント挿入)を使って商品を説明し、その一連のプレゼンを録画したビデオクリップを顧客に共有することができます。顧客はわざわざ担当者とアポイントを取って時間を合わせることなく、自分の好きなタイミングで、そのプレゼンを見ることが出来ます。
履歴の管理では、会議音声やチャット履歴の保存により、一貫性のある顧客提案を実現し、さらに電子署名・ワークフロー機能の実装や、APIによる業務システムとのシームレスな連携が可能です。
モバイル時代における双方向コミュニケーションのために設計されたMoxtraは、従来、面談・電話・メール等に依存してきた煩雑な取引を、より一層パーソナルでインタラクティブな体験として顧客に提供します。」

—大手金融機関をはじめ400万以上のユーザーに利用されている「Moxtra」ですが、他にはどのような特徴がありますか?

「Moxtraは世界でも屈指の大手金融機関との協働により数年掛けて作り上げたソリューションで、厳格なコンプライアンス、情報セキュリティ、可監査性などの基準を満たした対顧客チャネルとして、シティバンク等で導入されています。クライアント企業のサーバー内に配備することができるため、金融機関の高いセキュリティ要件も満たすことができます。もちろん金融以外でも、法律・不動産・制作・ヘルスケア・教育・イベント企画・ファッションデザイン・サービス業・流通・会計・コンサル・農業など様々な業種において導入されています。
また、Moxtraのプラットフォームを利用しながらも、ロゴやカラーはクライアント企業に合わせてブランディングすることができます。」

—新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の中、さらにニーズが高まりそうですね。

「私たちは常に新しい状況から積極的に学び、それに適応することでより良いサービスを届けようとしています。COVID-19感染拡大により、在宅勤務へのシフトなど企業の従業員の働き方も大きく変わりました。顧客とも従業員同士でも、対面でのコミュニケーションが困難である今、Moxtraというソリューションを提供し、様々な企業をサポート出来ることを誇りに感じております。Moxtraはアプリ上の顧客折衝でありながら、あたかも実際に接しているかのようなやり取りができ、このような状況下でも、自社にブランディングされたチャネルを通して顧客と繋がり続けることができます。これこそがMoxtraが目指すワンストップの「双方向コミュニケーションプラットフォーム」を通じた、次世代型のビジネスコラボレーションの姿なのです。」

Moxtra社とMUFG Digitalアクセラレータの出会い

—どのようにしてMUFG Digitalアクセラレータを知ったのでしょうか?

「MUFGとは2018年頃より、デジタル企画部のグローバルイノベーションチームと米国で接点がありました。日本にも訪問し、MoxtraがMUFGのデジタルトランスフォーメーションに貢献出来る点などについてディスカッションをしていました。そうして関係構築をする中で、グローバルイノベーションチームの担当者が私たちにアクセラレータプログラムの存在と、海外スタートアップにも応募の門戸が開かれたことを教えてくれたことがきっかけとなり、参加に至りました。」

—アクセラレータプログラム参加からMUFG社との協業についてお聞きします。具体的にどのような協業を検討されているのでしょうか?

「過去2年以上にわたり、MoxtraはMUFGとの協業を検討し、様々な可能性を模索して来ました。そして今MUFGはMoxtraを国内外で活用することを検討しており、MUFGバンク(ブラジル)でPoCを実施したほか、日本でも大企業法人取引などのチャネルでのテスト運用を計画しています。」

—協業はどのように進んでいったのでしょうか?

「当初はプレゼン中心の面談でしたが、MUFGチームから一貫してサポートと理解を得られ続けたお陰で、個別のユースケースを念頭に置いた議論へと移行しています。ぜひ長期的なリレーションの下、MUFGブランドが将来にわたり発展していく一助になりたいと考えています。」

—MUFGとの一連の取り組みの中で印象的な出来事はありますでしょうか?

「MUFGの東京のメンバーと多く知り合うことが出来たことです。事業部門の方々との接点構築に向け、グローバルイノベーションチームの担当を始めとするデジタル企画部の方々が親身になってサポートしてくださり、私たちを何度も日本に呼んでくださいました。そして、全てのMUFG関係者の方々が、大変好意的に私たちに接してくださり、このパートナーシップが成功するよう伴走してくださったことに、感謝しています。」

—協業にあたりハードルはありましたでしょうか?ハードルがあった際はどのようにしてハードルを越えていったのでしょうか? 

「一番大変だったのは、伝統的な大手企業の多くが悩まされる組織のサイロ化の問題を乗り越えて行くことでした。みなさんご存知の通り、金融機関は当局規制の影響を色濃く受ける業界です。スピーディな変化を起こすことは容易ではありません。特に新しいことを進める場合、リスク管理の観点から非常に多くの部署の承認を得られないと前に進めないなど、プロジェクトを進める上で多くの困難がありました。
競合となるチャレンジャーバンクやフィンテック企業が続々と現れている中、伝統的な金融機関におけるデジタルトランスフォーメーションは、まず顧客体験から変えて行くことが重要です。そのためには、多くの部署、部門の権限を持つ方たちが状況を理解し、改革を受け入れ、自身のビジネスを潮流に合わせて行かねばなりません。一般的に、このような意識改革は規模の大きい組織ほど困難を極めるもので、MUFGとの協業においても同様でした。しかしそれよりも、改革を起こそうと努力を惜しまず行内調整等に動いてくれ、過去2年にわたり私たちをサポートしてくれたMUFGのマネジメントを含むチームの方々に対しては本当に感謝しかありません。」

—海外企業として、MUFGという日本企業との協業に取り組む上で常に意識していたことなどありますでしょうか?

「お互いの本社がシリコンバレーと東京で地理的に非常に離れているという点と、文化的な違いは、日本企業と付き合う上で避けては通れない挑戦だったと言えます。私たちは文化・ライフスタイルの違いを理解し、MUFGの方々からの期待に沿い、それを上回ることが出来るよう努めて来ました。加えて、MUFGと友好的な関係を築き、将来のビジョンを共有出来ていた点が、パートナーシップを上手く進められた大きな要因のひとつだと考えています。世界をリードする金融機関であるMUFGと共に『信頼あるグローバル金融機関であり続ける』というビジョンを共有し、共に歩むことができることを大変光栄に思っています。」

—両社間の関係を深めていく過程でのポイントなどがありましたら教えて下さい

「MUFGのチームの方々にもMoxtraのプラットフォームを体験してもらい、Moxtraが極めて有用であることを理解していただくことができました。そして、そのプラットフォームを起点として国内外のMUFGチームとMoxtraメンバーが継続的に接点を持つようになり、シリコンバレー⇔東京間の行き来無しに、Moxtraの様々な機能を使いながら互いに関係を深めていくことが出来ました。」

—協業をスムーズに進めるために、どのような点を意識すればよいでしょうか?

「とにかく『最大限の価値』を提供し続けていくこと、高品質なコンサルテーションも交えたサービスを提供していくことが肝要です。大企業は信頼を守るために新しいことを進めるのに時間を要するほか、常に他社のソリューションと比較されるなど、想定外の状況も含め様々な事態が発生する可能性があります。なかなか折り合いがつかないこともありますが、そういう事態こそが新たな成長のきっかけになるともいえます。困難な状況こそ『新たな経験の場』として受け入れ対応していくオープンマインドネスと忍耐強さが必要という点などを意識するべきかと思います。」

—MUFG Digitalアクセラレータへ参加することで得られた成果はありますでしょうか?

「MUFG Digitalアクセラレータは、Moxtraに多大な価値と成果をもたらしました。まず、銀行以外も含めたMUFG内でMoxtraを知ってもらう機会になりました。私たちのソリューションとMUFGとのパートナーシップのビジョンを、このように大きな規模のイベントを通じて多くの方々に紹介することができたことは、パートナーシップを前進させるのに役立ったと思います。またプログラムに参加することで日本の文化、デジタルへの向き合い方などを学ぶことが出来ました。この経験を通してAPAC(アジア太平洋)市場で他にどのような技術が存在しているのか知るきっかけにもなりましたし、日本でのニーズについて理解する場にもなりました。Moxtraは、モノづくり企業として常に進化すべく、次世代のビジネスを実現するためのビジョン「A One Stop App」の実現に努めて行きたいと考えています。」

—今後の展望について教えて下さい

「MUFGとの関係は長期的なパートナーシップであると考えており、今後もMUFG各社・各セグメントで良い成果を出して行けるよう緊密に連携して取り組んで行きたいと思っています。今後、サービスリリースまで持って行ければ、MUFGにとっても良い結果になると確信していますし、海外拠点とのコミュニケーションを効率化することも出来ると考えています。
Moxtraは、世界中にいる150名超のメンバーと共に、クライアントのフィードバックを活かして、継続的に新たな機能を提供しています。来るべき次の20年において、人々がどのようにビジネスを行っていくべきなのかを世に示して行くことで、ビジネスコラボレーションの領域で新たなカテゴリーを作り出し、リーダーになっていきたいと思っています。」

「MUFG Digital アクセラレータ」を通じた、スタートアップとMUFGの協業に注目

奇しくも、本記事掲載直前の2020年8月末より、Moxtraベースのアプリケーション(パイロット版)の試行を、銀行の大企業法人取引領域で開始した。今後、他領域への拡大も予定しており、MUFGのCX向上に寄与する新たな非対面営業ツールとして、正式採用に繋がっていくことに大きな期待が寄せられている。

Moxtra社が参加し、同社とMUFGの協業のきっかけとなった「MUFG Digital アクセラレータ」はフィンテック、AI、ブロックチェーン、loT、不動産テック、デジタルマーケティング等、世界を変えていく革新的なビジネスを立ち上げたいスタートアップの事業プランを支援するプログラムだ。折しも、第5期の募集が2020年9月25日(金)までとして開始されている。今回のプログラムでも、より多くの事業化に向けた強い意欲と技術を持つ国内外のスタートアップによる参加とMUFGとの協業の取組みに注目していきたい。

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