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今後100兆円産業を目指す宇宙ビジネス市場の今

今後100兆円産業を目指す宇宙ビジネス市場の今

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2020/06/17

民間主導型の宇宙ビジネスの将来性

人類の月面着陸から半世紀以上が過ぎ、スペースシャトルや国際宇宙ステーションなどに想起される従来の国家主導型の宇宙開発プロジェクトに加え、近年では民間主導型の宇宙ビジネスが市場を牽引している。

特に2000年代初頭よりロケット開発、製造、打ち上げを中心とする「宇宙へのアクセス」分野において、従来よりも低コストでロケット打ち上げを可能にする企業が現れ、以降の宇宙ビジネスに多大な影響をもたらした。

ネット通販アマゾンCEOジェフ・ベゾス氏が2000年にブルーオリジンを創業したことを皮切りに、2002年に電気自動車テスラCEOイーロン・マスク氏率いるスペースX、2004年にはヴァージン・グループ総帥のリチャード・ブランソン氏がヴァージン・ギャラクティックを創業。後の宇宙ビジネスに多大な影響を及ぼす企業が軒並み名前を連ねた時期であるともいえる。

2000年代後半には、低軌道小型衛星網の構築、衛星から取得したビッグデータの活用や、個人向けの宇宙旅行、火星探査、資源探査など、ホットな宇宙関連ビジネスの話題を目にしたことも多いだろう。

世界規模での宇宙ビジネスの市場規模は2010年には約27兆円だったのが、2017年には約38兆円まで成長し、このペースで市場拡大が進めば2030年代には約70兆円にまで達すると言われ(State of the Satellite Industry Report参照)、一大産業として注目を浴びている。

将来的な宇宙ビジネスの6大セグメント

近年多数の民間企業が宇宙ビジネスに参入し、ロケット開発・打ち上げ、衛星インフラ構築、ビッグデータ利用など、多くの市場が徐々に形成されつつある。今回は、そうした取り組みを6市場にセグメントし、それぞれの市場における主要なスタートアップ企業とともにご紹介しよう。

●1:輸送

宇宙空間へと人や物を運搬するロケットや衛星の開発、製造や打ち上げを中心とした事業全般で、大型ロケットと小型ロケットの打ち上げサービスが主軸となる。

大型ロケットの開発・打ち上げ市場は事実上アリアンスペース、スペースX、ブルーオリジンの3社がしのぎを削り、市場の5割強のシェアを占めるアリアンスペースに、ロケットの再利用で後発2社が迫るという構図になっている。

今後需要が見込まれる小型衛星の打ち上げ市場では、エンジンの製造に3Dプリンターが活用されている。また、打ち上げコストの削減、頻度増加に成功した米国のベンチャー企業ロケットラボに対しては、ベンチャーキャピタル、大手航空宇宙企業などから総額約150億円の資金が集まっているといわれている。英国ヴァージン・グループの子会社で、ヴァージン・ギャランティックより分社化したヴァージン・オービットは、改装したジャンボジェット機を利用し衛星を打ち上げるサービスを開始予定。同社は既に数億ドルの契約を保有しているとされ、小型衛星打ち上げのニーズの高まりを窺い知ることができる。

●2:衛星インフラの構築・運用

観測衛星、通信・放送衛星、測位衛星などのインフラを構築、運用するビジネスとそれに付随する地上の関連事業など。

特に注目されているのが、小型衛星を低軌道に多数打ち上げ、1つのシステムとして運用する「コンステレーション」構築。高度2000キロメートル以下へ低軌道衛星を大量に打ち上げ衛星インターネット網を整備することで、世界で30億、40億とも言われる地上の通信網がカバー出来ない「圏外」エリアへの衛星インターネットインフラ構築を目指すプラネット社は、大型衛星とは異なる小回りの利く衛星開発を強みに、企業買収を繰り返し急激に成長している。またワンウェブ、スペースX、ボーイングなども同様に商用化に向けて動き始めている。

●3:宇宙データ・技術活用

衛星から取得したデータや宇宙技術を、主に地球で行われるビジネスに活かす近年注目の分野。

画像や位置情報の販売といった莫大な容量の各種宇宙関連データの独自プラットフォームを構築する動きとともに、そのデータの解析を行い、別の分野に利用する動きが高まっている。

シリコンバレーのスタートアップ、オービタル・インサイトでは、衛星写真から地上の車の台数を数え駐車場の混雑状況をモニタリングするなどの機能学習に基づく画像解析アルゴリズムが注目を浴び、その利用分野は農業、金融などの異業種にまで及ぶ。

低軌道衛星は従来の静止衛星と比べネットワークへの遅延が少なく、低遅延の優位性を活かすことが出来るloTの中継回線への利用など、今後の利用ニーズの拡大が期待される。

●4:軌道上サービス

デブリ(宇宙ゴミ)除去、国際宇宙ステーションにおける研究開発など、地球周辺や周回軌道の宇宙空間上のビジネスと関連事業。

秒速7~8キロメートルという速度で宇宙空間を動くスペースデブリ。運用中の衛星などへの衝突の可能性があるため、商用衛星の打ち上げ増加に伴い、その脅威は宇宙ビジネスや開発においても課題となりつつある。

また、民間利用に注目が集まる国際宇宙ステーションにおいては、宇宙ステーションへの物資の輸送サービスを行うスペースXや、NASAやESA(欧州宇宙機構)や製薬企業からの依頼で宇宙ステーション内での微小重力実験を行うナノラックスなどがある。

●5:宇宙旅行・滞在・移住

滞在や移住を目的とした宇宙旅行や宇宙ホテルなどの個人向けサービス、及びその関連事業。

既にスペース・アドベンチャーズの提供で国際宇宙ステーションへの宇宙旅行サービスは始まっており、月など含めてスペースX、ブルーオリジン、ヴァージン・ギャラクティックが商用化に向けて進めている。その他にも宇宙空間に商業宇宙ステーションや宇宙ホテルなどの建設計画もあり、将来的な宇宙旅行時代に先駆けた取り組みが着々と始まっている。

●6:探査・資源開発

地球周辺や周回軌道以外の宇宙空間で行われる探査活動、探査車の開発、月や火星における基地建造やインフラの整備など。

NASAが火星を目指す米国、ESAが月を目指す欧州、中国など、各国の宇宙機関が宇宙探査・開発プロジェクトを掲げている。その中で注目すべき動きは、火星を目指す民間企業スペースXと、月を目指すグーグル主催のグーグル・ルナXプライズだ。

スペースXは、火星に人類を送り込み文明を築くというプランを立ち上げ、火星への無人飛行を開始。既に終了したプロジェクトではありますが、ルナXプライズでは、月面探査機の技術が今後の宇宙ビジネス市場を切り拓く市場規模は四半世紀後には最大1兆円規模にものぼると予測されている。

また人類が将来的に宇宙で暮らすようになった際に、宇宙空間にあるプラチナ、アルミニウム、水などをエネルギーとして使用できるようにと宇宙資源開発に関する動きも活発化している。しかしながら宇宙資源開発が各国にもたらす利益を含め、国際的なルール形成など法的面での課題もまだまだ多いのが現状だ。

拡大を続ける宇宙ビジネスの将来

米国では2011年にNASAのスペースシャトルが退役し、それに呼応する形で民間企業による地球低軌道の商用化が本格的に加速。対するNASAは火星探査などの深宇宙研究を目標に掲げ、国家と民間が役割を分担し、時には協業しながら宇宙業界全体の構造を大きく変えつつある。

さらにこうした宇宙ビジネス業界全体を資金面で支える存在として、起業家自身による自己投資やエンジェル投資家やベンチャーキャピタルの存在は欠かすことができない。2009年以降に資金調達を行った宇宙ベンチャーは累計476社におよび、2019年上半期までの総投資総額は233億円にのぼるともいわれ(スペースエンジェルズ発行2019年第二四半期レポートより)、過去10年間で宇宙分野へのリスクマネーの流入額は累計1兆円を超えたとも言われている。

投資家たちから注目を浴びる反面、現状では不確定な分野であることも事実で、ロケット打ち上げ事故などが起こる度に株価が影響を受けることが多いというバブル的側面もある。また、一部マネタイズが進む衛星分野等の領域も出てきているものの、宇宙ビジネスは投資家、起業家共に我慢強い長期的な視点が必要であるともいえるだろう。

しかし、今後もロケットや衛星の開発・打ち上げコストの低下が更に進むことで宇宙ビジネスへの参入障壁は低下していくと考えられている。衛星ブロードバンド通信の普及によるコンシューマーサービスの拡大などにより、長期的な宇宙ビジネス市場規模は100兆円にまで達するとの予測もあり、今後も宇宙ビジネスの動向から目が離せない。

(※為替レート:2020年3月31日現在)

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