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第4期「MUFG Digital アクセラレータ」参加者インタビュー|SAgri株式会社はプログラムで何を得たのか

第4期「MUFG Digital アクセラレータ」参加者インタビュー|SAgri株式会社はプログラムで何を得たのか

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2020/03/30

2020年3月11日、MUFG Digital アクセラレータ第5期プログラムが始動した。それにともない、第4期プログラムで選定されたSAgri株式会社(以下SAgri)代表取締役社長の坪井俊輔氏にインタビューを実施した。
2019年3月から7月にかけて実施され、8社が参加した第4期のキーメッセージは「本気と本気は、響き合う」だった。今回はプログラムの概要を説明するとともに、参加企業がプログラムを通じて得たものについて紹介したい。

「MUFG Digital アクセラレータ」は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)が2015年に設立した邦銀初のスタートアップアクセラレータ・プログラムだ。MUFGが総力をあげてベンチャー・スタートアップを支援するというこのプログラムは、参加者にとって数多くのメリットがある。プログラムを通じて受けられる具体的な支援は、事業プランのブラッシュアップやプロトタイプの構築支援、事業プランの方向性に合わせたパートナー選定、アライアンス提携など、多岐にわたる。

AgriTechは25億人が教育の機会を得る可能性を作るもの

第4期プログラムに参加したSAgriは、農業分野に衛星データを用いることで、食糧問題と環境問題の解決に取り組む企業だ。日本とインドのバンガロールに拠点を持つ。具体的な事業としては、衛星データを活用して農地の土壌を計測・数値化し、その情報を価値として提供する。
たとえば日本では、茨城県でこれまで目視で行っていた農地確認に衛星データを活用し、高い精度で計測が可能であることを示した。またインドでは、農家が融資を受けられないという状況の打開策として、衛星データを活用したサービスを提供している。これは収穫期にならなければわからない農家の収穫量を、衛星データによって予測することで、農家が金融機関から融資を獲得できるようにするという目的だ。同社は土壌分析や機械学習などの技術を融合させ、各地の農家をサポートすることで「持続可能な農業を地球全体に実装する」ことを目指す。

代表取締役社長 坪井俊輔氏はもともと宇宙への関心が強かったという。小学生時代からあった宇宙への興味を中学・高校でも持ち続け、大学進学後に本当に自分が学びたいことを学べるようになった。専門的な領域の知識を深めていくなかで、全国各地の子どもたちに向けて「宇宙」の話をする機会を持つようになり、宇宙に関わる教育事業を在学中に立ち上げることに。ビジネスとしての起業というよりも、興味のあることを突き詰める姿勢を子どもたちに伝えていきたいという思いからの行動だった。その活動は国内にとどまらず、海外にも広まりを見せていき、そこで農業に目を向けるきっかけを得たのだという。

ある国で坪井氏が出会ったのは、小学校は行けるが中学校に進学できないという子どもたち。子どもたちには自分の親のあとを継ぎ、農業に従事するという決められた将来があった。自分の夢を語る一方でそれがかなわないこともわかっている子どもたちの運命を、坪井氏は残酷だと感じると同時に、今自分が行っている教育事業ではそれを変えることはできないと感じたのだという。

統計では、地球の人口約75億人のうち、おおむね25億人が農業に従事している。「やりたくてやる」のではなく、「やらざるを得ない」という状況がある。その人たちのためになにかできることはないかを考えていた坪井氏は「衛星データ」に行き着いた。同時期にタイミング良く衛星データがオープンアンドフリーで使える状態になったのだ。
「自分は25億人のもとを回ることはできないが、この自分のやっている研究をいかして衛星データを使えば日本にいても途上国を救えるのでは」と考え、事業として取り組み始めた。

「事業の成長」と「MUFGとの協業」を実現したアクセラレータプログラム

期待したのはMUFGとのシナジーによるさらなる成長

SAgriがMUFG Digital アクセラレータに応募した背景には、海外で農業を行うにあたって金融が大きな役割を果たすという認識があった。日本のJA(農業協同組合)のように農家を支援するシステムが、海外にはほとんどない。そのため生産・流通に対する金銭的なリスクが日本よりも大きく、農業での経済圏を作るためにMUFGとのシナジーがあれば心強いと考えたという。また、MUFGが多くの情報を持っていることへの期待もあった。それはSAgriも同じく情報を集めることでプラットフォームを作っていきたいと考えていたからだ。

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すべてが崩れ落ち、再構築された4ヶ月間のプログラム

こうしてMUFG Digital アクセラレータに応募し、その参加権を得たSAgri。同社にとって3ヶ月間はどのようなものだったのか。その感想について、坪井氏は「辛かった」という言葉を即答した。しかし、そこにネガティブな声色はなかった。「何度も本質を見つめなおし、積み上げたものが崩れ落ちる経験を味わった」といいながら、「変わっていく未来が見えた。毎回のミーティングでアップデートされることがあり、会社が成長していることを実感して取り組むことができた」と4ヶ月間のプログラムを振り返った。

「中途半端はやめたほうがいい」を思えるほど濃いプログラム

MUFG Digital アクセラレータプログラムに対し、上記のような感想を語った坪井氏。実はMUFG以前にも8つアクセラレータプログラムに参加した経験を持つという。過去に参加した他のアクセラレータプログラムと比較し、MUFG Digital アクセラレータはどのようなものだったのか。

まず坪井氏はプログラムの支援体制について「関わる人が多い」と語った。外部メンターとMUFGメンターが4人~5人がかりというサポート環境に、「1社にどれだけのリソースを割くのか」と思ったという。「総研・銀行・信託・VC(ベンチャーキャピタル)の方々がついてくれていた。通常1対1でもありがたいものに、いったいどれほどのコストをかけてくれるのか」と、坪井氏は期間中の状況を思い返す。そして、そのようなメンター陣との関わり方が「他のプログラムより圧倒的に濃い」と言葉を続けた。それぞれのメンターが核心をついたアドバイスをくれる。こちらが目を背けてしまいたいと思っていながら、やらないといけないとわかっていることを的確に突いて、良いほうへ持っていくきっかけをくれる。それは「中途半端はやめたほうがいい」と思えるほどだった。

プログラムを通じて得られた成果は

プログラム終了後、同社は技術要素を確立し、特許化した。これはプログラム中にプロセスが見えたから実現できたことだという。他にも、坪井氏はプログラム後に農水省の委員となり、プログラム中にやってきたことを農水省のプラットフォームにあげていこうとしている。経産省の委託事業も、取り組んできたことから広まりを見せるビジネスの1つだという。

また、MUFGシンガポールと様々なディスカッションをスタートしているという同社。坪井氏は「実はシンガポールにも法人ができる」と語る。ASEANでのハブとして、またグローバルで特許を取得していくために、シンガポールに拠点があることに意味があると語った。今回のプログラムで「ビジネスの確立」と「MUFGとの協業」という成果を得られたからこそ、事業が大きな広がりを見せていると総括した。

事業拡大に加え、未来に活きる経験に

プログラム終了後に優勝を果たした「シンギュラリティ・ユニバーシティJAPAN GLOBAL IMPACT CHALLENGE 2019ファイナルピッチ大会」について、「MUFG Digital アクセラレータプログラムを通じて作成した資料をベースにした。プログラムがあったから(優勝できた)」と振り返る。このピッチ大会に優勝したことによって、GoogleやNASAの技術を使える起業家養成プログラムに参加する権利を得た坪井氏。「(プログラム参加は)とても楽しみだ」と語った。

また、坪井氏は今後の事業計画について、まずはインドで結果を出していくことを目指すという。「サステナブルなモデルを作り、広めていくことに注力する」としたうえで、並行して日本の技術を高め、海外に送り出していく必要性についても考えているという。インドで事例を作り、海外で「日本の技術はすごい」と思わせたうえで、アメリカ ボストンを経由し、アフリカへ。アフリカを、アメリカ・ヨーロッパの中間にありハブになる存在だと捉えているという同氏。事業開始から今日までの期間は2年。次の目標であるアフリカ進出までの期間は5年と設定している。

2020年3月11日、第5期MUFG Digital アクセラレータ始動

3月11日に第5期プログラムのエントリー受付がスタートした。応募締め切りは5月22日。対象事業領域は下記3つの領域となっている。

  • フィンテック
    決済、融資、資産管理、資産運用、仮想通貨、デジタルバンキング、マーケット取引、等
  • 先端技術を活用したビジネスモデル
    AI、ブロックチェーン、IoT、量子コンピューティング、ロボティクス、等
  • その他
    不動産テック、フロンティアテック、デジタルマーケティング、等

1次選考(書類)、2次選考(面接)、3次選考(個別面談)を通過し、3ヶ月間のプログラムに参加することができれば、メンター陣の事業サポートやビジネスマッチングの機会、MUFGからの出資チャンスといったメリットを得られることになる。

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