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ソーシャルレンディングとは何か~その種類と内外のソーシャルレンディング事例

ソーシャルレンディングとは何か~その種類と内外のソーシャルレンディング事例

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2020/01/23

2000年代中盤に登場した新たな資金調達方法、ソーシャルレンディング(英語でPeer-to-Peer Lendingとも呼ばれる)は、オンラインのプラットフォーム上で、融資を行いたい個人または企業と、融資を受けたい個人または企業をマッチングするサービスだ。

ソーシャルレンディングを利用すれば、借り手は銀行やVCなど既存の資金調達先だけでなく、少額を希望する貸し手の個人や企業からもオンラインで資金調達ができる。

一方、貸し手は借り手とのマッチングが可能なプラットフォームによって借り手の発掘や審査が可能になる。

そして、ソーシャルレンディングのプラットフォーム運営事業者は、借り手が貸し手に支払う利息から、数パーセントの手数料を受け取り収益とするビジネスモデルだ。

統計データを扱うドイツのポータルStatistaによると、2020年のグローバル規模でのソーシャルレンディングの取引額はマーケットプレイス型のものだけで約935億6,340万ドル(約10兆2,920億円)と見積もっている。

また、ソーシャルレンディング専門メディアである日本のクラウドポートは、国内のソーシャルレンディングの市場規模を2017年時点で1,316億円と試算している。これは、2016年の533億円から約2.5倍の成長を示している。

ソーシャルレンディングの種類

ソーシャルレンディングには、大きく分けてマーケット型、オークション型、そして貸付型・ファンド型の3つの種類が存在する。

マーケット型

マーケット型では、ソーシャルレンディングを提供するプラットフォーム運営事業者が借り手の格付けを行い、借り手をプラットフォーム運営事業者が設定したランクに応じて振り分けし、貸し手は希望する対象ランクを選択する。

借り手としては、プラットフォーム運営事業者側の審査をクリアする必要はあるが、希望する調達額の規模に応じてプラットフォーム運営事業者側が資金を振り分けてくれるため、個々の貸し手に対して事業内容や使い道についてアピールを行う必要はない。このため下記のタイプと比較すると容易に資金を調達することができる。

オークション型

オークション型では、ソーシャルレンディングのプラットフォーム上で、貸し手自身が借り手を決める。借り手は調達希望額を設定し、資金提供を受けたいプロジェクトのアピールを行う。

「オークション型」という名前の通り、入札によって貸し手が決定する。通常は最も低い利率で入札した貸し手に優先権が与えられるため、借り手はプロジェクトの魅力と信頼性をアピールすることでより良い条件で資金提供を受けることができる。

貸付型・ファンド型

貸付型・ファンド型では、プラットフォーム運営事業者が借り手の審査を行い、金利や調達金額を決定する。借り手のプロジェクトはプラットフォーム運営事業者によってファンドの形でパッケージ化され、貸し手は好きな借り手を選んで資金を拠出する。

「貸付型・ファンド型」のソーシャルレンディングは、日本で最も普及している形であり、「投資型クラウドファンディング」「融資型クラウドファンディング」と呼ばれることもある。

以上が、ソーシャルレンディングの3つの種類だ。では、ソーシャルレンディングはビジネスモデルとしてどのような特徴があるのか、メリットとデメリットについて見ていきたい。

ソーシャルレンディングのメリット

利ざや

ソーシャルレンディングを運営するプラットフォーム運営事業者の利益は、貸し手への利回りと借り手への貸付利息の差額から生まれている。借り手が利息を加えて貸し手に返済することで、貸し手と借り手、そしてプラットフォーム運営事業者の三者に利益が生まれる有益なビジネスを展開することができる。

オンラインでの対応

ソーシャルレンディングの最大の特徴は、オンライン上で登録や資金のやり取りが行われることだ。P2Pが基本となるマーケット型においては、貸し手と借り手の双方がインターネット上で手軽に参加できる。

個人からの少額投資

ソーシャルレンディングでは個人が少額から資金の出し手となることができるので、まとまった資金がなくても投資を始めたいと考えていた潜在的な貸し手が市場に参加しやすくなった。これらを統合することでより規模の大きな資金のやり取りが実現する。

ソーシャルレンディングのデメリット・リスク

貸倒れのリスク

ソーシャルレンディングの最大のリスクは、貸倒れである。プラットフォーム運営事業者としては、借り手の審査は厳格に行うべきだが、ただ単に貸し手と借り手を繋ぐだけでなく、場合によっては担保を設定したり、貸倒れが発生した場合に貸し手に融資額の一部を補償する準備金を用意したりする必要がある。

利率の高さ

銀行の定期預金や国債などと比較した場合、ソーシャルレンディングの利率は高く設定されている。2017年で業界平均利率は約8%、海外の事業ファンドの場合、10%を超えるものも存在しており、貸し手は高い利率を期待してソーシャルレンディングを利用することになる。利回りを高く設定することで貸付の金利も高くする必要があり、結果的に借り手である事業者の負担が増え、返済へのリスクが高まる。

運用期間の長さ

不動産案件などでは、運用期間が長期にわたる案件も存在する。その場合は、景気の変動にも留意する必要がある。貸し手である顧客との長期的な信頼関係を築いていくためには、支払いの遅延を防ぐなど、そのためのコストを割いていく必要がある。

日本のソーシャルレンディング事例

前述の通り、日本では「貸付型・ファンド型」のソーシャルレンディングが広く普及しており、日本のスタートアップとしては、このタイプを意識しておきたい。以上を踏まえた上で、実際にどのようなソーシャルレンディングが存在しているのか、まず日本の事例を新旧織り交ぜて見てみよう。

CAMPFIRE Owners

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(画像出典:CAMPFIRE Ownersウェブサイト)

これまで購入型・寄付型クラウドファンディングを提供してきたCAMPFIREグループが新たに立ち上げたサービスがCAMPFIRE Ownersだ。CAMPFIRE Ownersは、従来の金融機関では取り扱いが困難な資金需要に対して、資金調達の機会を提供する目的で2019年9月に設立された。CAMPFIRE Ownersは「融資型クラウドファンディング」と謳っているが、前述の3種類の中では「貸付型・ファンド型」ソーシャルレンディングにあたる。

2019年9月に投資家登録とファンド募集を開始すると、同年10月には初号案件の4件が全て満額で成立している。初号案件には、NPO法人テイラーズ・ギルドの障がい者技術育成プロジェクトファンド(300万円)や、日東電化工業株式会社のコスメブランド研究開発ファンド(1,500万円)などが含まれる。

CAMPFIRE Ownersでは、プロジェクト掲載に関して比較的容易に問い合わせることができる。また、投資を募集しているファンドについての説明会も実施されている。

CAMPFIRE Ownersは起ち上げられてまだ間もないが、既にクラウドファンディングの分野で実績のあるCAMPFIREグループが運営していることもあり注目度は高い。その点は、借り手となるスタートアップにとって一考の価値がある。

SBIソーシャルレンディング

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(画像出典:SBIソーシャルレンディングウェブサイト)

SBIグループが2011年に起ち上げたSBIソーシャルレンディング株式会社が運営するSBIソーシャルレンディングは、日本の大手金融グループとしては初のソーシャルレンディング事業だ。2019年7月には累計融資額が1,000億円を突破している。2019年11月末時点で42,000人以上の投資家が登録しており、融資残高は357億円にのぼる。

投資の募集が行われている案件はメガソーラーパネル建設などのSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)案件や不動産案件が主だが、2019年11月からは、地域創生ローンファンドの組成を開始することも発表している。不動産分野における地域経済の活性化をテーマとしており、初号案件では札幌のホテル事業への投資4億1,000万円分を募集している。

SBIソーシャルレンディングは、起ち上げ直後の2011年から2012年に個人向け無担保ローンも提供していたが、現在は不動産を担保とした事業者ファンドとオーダーメード型ローンファンドがメインとなっている。オーダーメード型ローンでは、事業資金の借入も対象にしており、借り手からの応募を受けて審査を行う。審査の終了後、貸付条件が決定し、投資家の募集が始まるという流れだ。

SBIソーシャルレンディングの特徴は、貸倒れリスクを担保と審査でヘッジすることにある。借り手の審査にあたっては、担保力を重視した厳格な審査が行われる。

Funds

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(画像出典:Fundsウェブサイト)

クラウドポートが2019年1月から運営を開始したFundsは、1円からの投資と、投資期間4ヶ月~1年という少額・短期で始められるソーシャルレンディングとして注目を集めている。

案件は上場企業によるプロジェクトに絞られている上、複数の監査役が入っていることなどが借り手の条件として求められている。借り手の企業名は全て公開されており、貸し手にとっては比較的安心して投資先を選ぶことができる。

また、Fundsの最大の特徴は、貸付ファンドという個人向け社債に似た特性を持つ金融商品だ。市場で取引される株式と比較すると、社債は変動リスクが少ないため元本割れのリスクが比較的低い。通常、投資適格の格付けを持たない企業の社債は個人向けに販売されないが、Fundsでは貸付ファンドという形を通じて出資したい個人と企業を結びつけることができる。

Fundsは、フィンテック領域をはじめとする革新的なビジネスに取り組むスタートアップ企業を支援するMUFG Digital アクセラレータで、第4期の参加企業に採択されている。

第4期アクセラレータ参加企業8社が決定! 白熱、超満員のキックオフピッチをレポート

なお、同社は2019年8月、三菱UFJキャピタル株式会社などを引受先とした第三者割当増資で約6億円の資金調達を実施している。また、2026年までに運用残高1兆円を目指すとしている。

海外のソーシャルレンディング事例

グローバルに視点を移すと、ソーシャルレンディングの更なる可能性が感じられる。日本国内では「貸付型・ファンド型」が主流になっているが、海外では多様なソーシャルレンディングが登場している。次に、海外の事例を見てみよう。

Zopa(イギリス)

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(画像出典:Zopaウェブサイト)

2005年に登場した“世界初のソーシャルレンディング”と呼ばれるイギリスのZopaは、個人が小口投資を行うマーケット型としてスタートした。借り手は、借り入れた資金を車の購入やローンの借り換えなど、個人的な用途に用いることができる。マーケット型であるため貸し手からは借り手の姿は見えないが、Zopaで投資を受ける個人はクレジットヒストリーを含む審査を通過している。

Zopaに申し込む借り手は、借入希望額を1,000ポンド~2万5,000ポンド(約14万5,000円~364万5,000円)の間、借入期間を1年~5年の間で申請する。借り手はA~Fの6ランクに分類され、Aランクの借り手は予想損失率が年率0.5%、Eランクで10~15%となっている。貸し手はA~Cランクの借り手が集約されたZopa core(期待収益率4.5%)またはD~Eランクの借り手が集約されたZopa plus(期待収益率5.2%)の二つから投資商品を選ぶ。集められた資金はZopaによってランクごとに分配される。

Zopaは2008年に日本に進出したが、その後撤退している。日本ではまだマーケット型のソーシャルレンディングが浸透していないのが現状だ。

Prosper(アメリカ)

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(画像出典:Prosperウェブサイト)

2006年にアメリカで創業したProsper Marketplaceは、アメリカで最初のソーシャルレンディングであるProsperを運営している。2019年12月時点で、Prosperの累積運用額は160億ドル(約1兆7,600億円)となっている。

Prosperは、かつては「オークション型」のソーシャルレンディングプラットフォームを展開していた。借り手は支払える最高金利を申請し、貸し手は条件を見て投資したいと思った借り手に希望する金利を入札していく。最も金利が低かった入札者が落札し、資金を提供することになる。

貸し手と借り手による直接的なコミュニケーションに依拠したこの仕組みは、クレジットスコアを重視していなかったことが痛手となり、サブプライムローン問題の影響を受けることになる。貸倒れ率が30%前後になるなど打撃を受けたProsperは、一時営業停止していたが、その後、事業を立て直した。

現在、ProsperはZopaと同じく「マーケット型」のソーシャルレンディングを提供している。借り手はAAクラスからA、B、C、D、E、HRまでの7段階にレーティングされ、AAクラスはローリスク・ローリターン、HRに近づくほどハイリスク・ハイリターンの条件となる。貸し手はこのレーティングクラスと使用用途、調達総額を見て投資商品を選ぶ。

資金の使用用途は、自動車の購入費用や歯科医療を受けるための費用など突発的な出費が目立つ。ただし、借り手の平均年収は10万ドル(約1,100万円)を超えており、決して金銭的に困窮している人ばかりがProsperを利用しているわけではない。

Prosperは2007年にSBIホールディングスと合弁会社SBIプロスパーを立ち上げ日本進出を目指したが、その後提携を解消し日本から撤退した。SBIプロスパーはSBIソーシャルレンディングへと商号を変更している。

ソーシャルレンディングは、市場とする地域によって必ずしも同じスタイルが通用するわけではないことを示した事例だ。

SoFi(アメリカ)

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(画像出典:SoFiウェブサイト)

2011年に創業したスタートアップのSoFi(Social Finance, Inc.)は、独自の視点でソーシャルレンディングを起ち上げ、事業を成功に導いた。アメリカで深刻な社会問題となっている教育ローンに着目し、教育ローンに特化したソーシャルレンディングのシステムを築き上げたのだ。

SoFiは当初、借り手を返済能力の高い名門大学の学生に絞り込み、貸し手をその大学のOBに絞り込んだ。名門大学の同門というつながりが双方にとって有利に働いた。借り手は低金利で投資を受けることができ、貸し手は確実な返済が見込める理想のマッチングが実現する。

解決すべき社会課題に目をつけ、絶妙なアイデアで事業を成功させたSoFiは、スタートアップのお手本のような存在だ。SoFiの戦略についての詳細については、以下の記事に詳しい。

SoFiはスタートアップにとって教材の宝庫~いかにして教育ローンの悲劇をチャンスに変えたか

SoFiは2014年に8,000万ドル(約88億円)の資金調達を実施し、事業を教育ローンから不動産ローン、個人ローンへと拡大している。SoFiは、2019年12月時点で、累計25億ドル(約2,750億円)の資金調達を達成しており、ソフトバンクからも出資を受けている。近年は銀行業や暗号通貨交換事業も視野に捉えた動きも見せている。

SoFiは教育ローンという社会課題にソリューションを提供することからスタートし事業を拡大しているが、ソーシャルレンディングの種類としては一貫して「マーケット型」であって特に目新しいわけではない。同社がこの業界で際立っている理由は、従来からの課題に新しい解決策を提供したことだ。

なお、SoFiの共同創業者であるマイク・キャグニー氏は、2017年にSoFiのCEOの座を退いた後、ブロックチェーンを活用したオンライン不動産担保ローンサービスFigureを立ち上げている。Figureでは、5分でローン申請を行うことができ、ブロックチェーンを利用して審査を自動化することで、わずか5日以内で審査を完了させる。

SoFiは教育ローンの返済を抱える若年層を対象にしていたが、Figureは既に住宅を所有している比較的年齢層の高い個人をターゲットとしている。Figureは2019年2月に6,500万ドル(約71億5,000万円)、同年12月に1億300万ドル(約113億3,000万円)の資金調達を実施した。多くの人が住宅を所有するアメリカで、不動産担保ローンの手続きを簡素化させる戦略に注目が集まっている。ここでもまた、需要があるところに的確なサービスを打ち込むマイク・キャグニーの手腕が光っている。

まとめ

ソーシャルレンディングの運用形態にはいくつも種類があり、それぞれ違った特徴を持つ。その違いを理解した上での利用が肝要だ。

そもそもインターネットとは人と人とを繋ぐインフラであり、そこにビジネスのきっかけがある。ソーシャルレンディングもまた、資金の必要な人と資金を提供する人を繋ぐプラットフォームだ。

そして、そこにはまだまだ大きなビジネスの可能性が眠っている可能性がある。新たなソーシャルレンディングの出現に期待したい。

*為替レートは2019年12月13日時点

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