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2020年東京五輪を「新・超臨場体験映像システム」で支える最新映像テクノロジーとは

2020年東京五輪を「新・超臨場体験映像システム」で支える最新映像テクノロジーとは

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2019/12/04

開催までのカウントダウンがはじまった2020年東京オリンピック・パラリンピック。開催期間中の来場者数は1,000万人超と予想されている。

経済効果も大いに期待される一方で、開催会場への移動手段となる交通網、多数の海外からの来場者に対応するための言語の問題、会場の建設などが課題となっており、それらを解決するために多くの最新テクノロジーが活用されている。

今回は、その東京オリンピック・パラリンピックを支える重要な役割を担うテクノロジーについて紹介する。

オリンピックで培われてきたテクノロジー

過去のオリンピックの際にも、当時の最新のテクノロジーが活用されてきた。

1932年ロサンゼルス大会では、海外へのラジオ中継が行われた(日本では試合後にメモを読み上げる放送であったため実況ではなく、実感中継と呼ばれた)。1936年ベルリン大会では国内初のテレビ中継が行われた(放送範囲はベルリン市内のみ)。1960年ローマ大会では海外(欧州18カ国)へのテレビ生中継が行われた(日本には1時間遅れで放送された)。1964年東京大会では、日本IBMが開発したシステムにより、オンラインでリアルタイムに試合情報を確認・整理できるようになった(このシステム以前は記録の整理に1ヶ月かかっていた)。1988年ソウル大会では、衛星を用いたハイビジョン放送が実験的に行われた。

オリンピックを契機として、我々の生活にもテクノロジーが普及した。1964年東京大会ではテレビ、1988年ソウル大会ではハイビジョンテレビ、2000年シドニー大会で採用されたデジタル一眼レフカメラ、そして今、2020年東京大会に向けては4K、8Kテレビの普及が進んでいる。

2020年東京大会ではどのようなテクノロジーが使われるのか

オリンピック期間のみならず、2020年に日本を訪れる海外からの観光客は4,000万人に迫ると期待されている。様々な言語に対応する自動音声翻訳機、競技会場を案内するロボットが、世界各国からの観光客をサポートする。

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(画像出典:内閣府ウェブサイト

競技観戦も大きく変わりそうだ。競技会場だけでなく、自宅では4K、8Kテレビによる繊細で臨場感あふれる競技映像を、屋外では5G通信により、スマートフォンなどのIoTデバイスで通信遅延のないリアルタイムの実況を楽しめる。

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(画像出典:内閣府ウェブサイト

それだけではない。街中のビルに設営された大型の有機ELシートディスプレイでの観戦や、VR技術により360°から見ることができる立体映像、あるいはドローンで上空から撮影された競技映像など、視聴者がどこにいようとも競技会場の熱気を様々な視点から伝える技術開発が進む。

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(画像出典:内閣府ウェブサイト

競技会場と街中など、スムーズな移動システムも開発されている。公共車両を優先する信号、乗降時間を短縮する自動課金、車いすに合わせた乗降ステップの自動調整などもそうだ。AIを使い、無人運転車が選手や観客を運ぶ計画もある。

安全と安心のための取り組みも進んでいる。最新のセンシング技術(センサーなどにより情報を計測・数値化する技術)を使って人の流れを分析し、ドローンを駆使した警備システムやウェアラブルカメラで不審者を素早くとらえる。このようなことが実際に東京大会では実現しそうだ。

東京大会を支えるテクノロジープロジェクト

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(画像出典:内閣府ウェブサイト

内閣府は、「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けた科学技術イノベーションの取組に関するタスクフォース」として、オリンピックの開催時期に向けたテクノロジー研究開発として9つの分野でのプロジェクトを発表している。以下がその概要だ。

プロジェクト1:スマートホスピタリティ
海外からの来場者がストレスなく会話、移動できるようにするテクノロジープロジェクト。多言語音声翻訳、多言語対応デジタルサイネージ、高精度GPSなど。

プロジェクト2:感染症サーベイランス強化
大規模イベント開催時の感染症等の異常発生の早期探知と迅速な対応を行うプロジェクト。感染症の診断機能向上のための研究、昆虫媒介性ウイルス感染症に対する総合的対策に関する研究など。

プロジェクト3:社会参加アシストシステム
パラリンピック競技者も含め障がいがある方、高齢者の移動、身体的アシストを行うテクノロジープロジェクト。センサー付き自動運転車椅子、パワーアシストスーツ、体温調節支援スーツなど。

プロジェクト4:次世代都市交通システム
誰もがストレスフリーに会場、周辺地域を移動可能なアクセシビリティを実現するテクノロジープロジェクト。次世代都市交通システムART(Advanced Rapid Transit)、PTPSの高度化(公共車両優先システム)など。

プロジェクト5:水素エネルギーシステム
東京大会開催時期に環境負荷の低い水素エネルギーの可能性を世界に向けて発信するプロジェクト。燃料電池バス・自動車の活用、選手村等への定置用燃料電池等によるエネルギー供給など。

プロジェクト6:ゲリラ豪雨・竜巻事前予測
突発的自然災害の予測技術向上と確実な情報伝達による安全・安心を確保するプロジェクト。従来の10倍以上の高時間分解能、定量的観測が可能なマルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダの開発、パッシブレーダーの開発など。

プロジェクト7:移動最適化システム
空港、駅、会場などに設置したカメラや各種センサーで人の流れを解析し、最適な場所へ警備員やスタッフを配置し、安心安全な「おもてなし」を行うためのテクノロジー。サイバーフィジカルシステム、センシングデータの分析配信システムなど。

プロジェクト8:新・超臨場体験映像システム
超臨場感と距離の壁を超える空間映像、立体映像などを実現するテクノロジー。有機ELシートディスプレイ、多視点映像表示技術など。

プロジェクト9:ジャパンフラワープロジェクト
日本の高品質な花卉を世界へアピールし、生産・輸出の拡大を加速させていくプロジェクト。品質保持剤技術の開発、日持ち性、早生性等の基盤的品種の開発など。

この9つのプロジェクトの中で特に注目なのが、「プロジェクト8:新・超臨場体験映像システム」だ。

そこで今回は、あらゆる事象をリアルに楽しむことを可能にするために、劇的な進化を続ける映像に関する最新のテクノロジーを紹介しよう。

競技の数値を視覚化:3Dアスリート・トラッキング

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(画像出典:Youtube動画

米Intel社と中国アリババ社の協業により、映像技術にAI、3D技術を取入れ、アスリートの動きをデータとして視覚化出来るようになった。

両社が進めている新しい技術コンセプト「3Dアスリート・トラッキング」は、特殊なセンサー付きのスーツを着用する形式ではなく、複数台のカメラで撮影されたアスリートのパフォーマンスを3Dメッシュ化(対象をメッシュ状に複数の立体に分割する技術)、AIにより解析を行い、3D映像として数値で表示する。

主にトレーニングプロセスの改善に活用される技術であるが、アスリートのパフォーマンスが数値で視覚化出来るため、オリンピックでの競技視聴において視聴者の体験を一新する画期的な技術になると期待されている。

圧倒的な臨場感を体験:超高臨場感通信技術「Kirari!」

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(画像出典:Youtube動画

NTTが開発を進めている「Kirari!」は、ネットワークを介してリアルタイムで競技空間やライブ空間をそのまま伝送し、再現をめざす技術だ。

NTT独自の3つの最新技術「任意背景リアルタイム被写体抽出技術(動いている選手だけをリアルタイムで切り出すことが可能な撮影技術)」、「サラウンド映像合成技術(複数台の4Kカメラで分割して撮影された映像をリアルタイムに合成し、高精細なワイド映像を作成する技術)」、「Advanced MMT(照明などの空間情報を伝送・同期し、中継先の広さ、設備に合わせたリアルな臨場感を作りだす技術)」などを使い遠隔地の空間情報を伝送することが可能としている。

競技会場から離れたライブビューイング会場などで、臨場感ある映像を体感出来るシステムとして期待されている。

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(画像出典:NTTウェブサイト

競技パフォーマンスに彩りを添える:高速追従プロジェクションマッピング

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(画像出典:Youtube動画

パナソニックが開発するプロジェクションマッピングの技術は、建物の壁など動かないものへの投影から進化し、ランダムに動く人間や動物のパフォーマンスに追随し映像を投影することを可能にした。「東京2020オリンピック1年前セレモニー」のオープニングパフォーマンスでも披露された技術だ。

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(画像出典:パナソニックウェブサイト

このシステムは、映像を投写する高速プロジェクター、センサー部である赤外線ライトと高速度カメラから構成され、演者がスティックの先につけたマーカーに赤外線を照射し、高速度カメラで撮影する。高速プロジェクター搭載の演算部でマーカーの位置を特定し、位置情報をもとに1920fps(1秒間で1920枚のフレーム)で瞬時に投写。位置情報の検出からコンテンツの投写までがわずか0.0016秒という高速追従性だ。

このシステムによりスポーツやダンスといった激しい動きをするパフォーマーの動きを追随しながら、プロジェクションマッピングにより彩りをそえる事を可能にした。

新・超臨場体験映像システム:有機ELシートディスプレイ

映像テクノロジーで注目されるのが有機ELシートディスプレイだ。有機ELとは、有機エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence)の略で電圧を加えると発光する有機物質を使ったディスプレイだ。

有機ELディスプレイ自体が発光するのでバックライトの必要がない。そのため、液晶ディスプレイに比べ薄くできるという特徴があるのだが、開発が進み、紙のように巻き取れる薄さのものまで現れた。これが有機ELシートディスプレイである。

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(画像出典:内閣府ウェブサイト

薄くできること以外にも軽量、壊れにくい、省電力、広視野角(180°)、高画質、高輝度、高応答速度など多くのメリットがある。軽量で大型化しやすく、しかもスタジアムのような大きな会場では、どの角度からも見え(広視野角)、高応答速度でスポーツの激しい動きがダイナミックに伝わる。

また、高輝度で屋外の明るい場所でも見やすく、4K、8Kといった高解像度の映像も映し出すことができる。オリンピックを体感するにはうってつけの映像デバイスだ。

参考:アップルとLG、折りたためるiPhone用OLEDパネルや基板を開発中とのウワサ。製造は2020年スタート? - Engadget 日本版

内閣府の「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けた科学技術イノベーションの取組に関するタスクフォース」では、「科学技術イノベーションで世界を大きく前進させる。」という基本理念を掲げている。そして、その取り組みの基本的な柱となるのが以下の3つだ。

Ⅰ. 競技や観戦、観光を“快適”に楽しむためのサポート

Ⅱ. “環境”への負荷を軽減したクリーンな大会の実現

Ⅲ. 選手・観客・来訪者の“安全”性の確保

これらを実現するため、あらゆるテクノロジーが導入される。それらは、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会を機会に広く社会に普及し我々の生活に浸透していくことだろう。大会開催に向けて、さらなるテクノロジーの進化と普及を期待したい。

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