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ブロックチェーン開発者向けの学習プログラム「Binance X」とは何か

ブロックチェーン開発者向けの学習プログラム「Binance X」とは何か

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2019/11/29

スピード感を増す暗号通貨取引所Binanceの勢い

世界最大級の暗号通貨取引所であるBinance(バイナンス)は、2017年に中国で設立され、現在は暗号通貨やブロックチェーンの開発を国を挙げて支援するEU加盟国、マルタに本拠地を移している。

1,000種類以上の暗号通貨を取り扱い、手数料も他社に比べて安価な上、Binanceコイン(BNB)で支払う場合は手数料がさらに半額になるなど、投資家ファーストの姿勢が好感され急速にユーザーが増加している。

過去には日本の金融庁や香港証券先物委員会などから暗号通貨取引に関わる法規制に基づいて警告を受けたこともあり、マルタへの移転もそうしたことが背景にあると見られるが、一方で、9月にはBinance USを開設しアメリカへ進出、12種類の通貨の取引を開始するなど、そのスピード感は衰えない。なお、同社はこれまでにイギリス領ジャージー島、シンガポール、香港、ウガンダに取引所を開設している。

同時にBinanceは9月、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格である「ISO27001」の認証を取得した。この認証は世界最大の認定機関であるDNV GL(ノルウェー・オスロのDet Norske Veritasとドイツ・ハンブルクのGermanischer Lloydの合併によって設立)と、イギリス政府が承認した唯一の国家認定機関であるUKAS(英国認証機関認定審議会)の監査によるもので、同社は暗号通貨関連企業としては初の認証となる。セキュリティマネジメントが評価されることで、ユーザーからの信頼度はより高まるものと思われる。

さらに、2019年10月、同社は新たに開始した中国人民元(CNY)建てのOTC取引(売買の当事者同士が取引所を介さずに行う相対取引)で、人民元の入金ルートとして銀行カード以外にAlipayやWeChat Payからの入金も可能になると発表した。

この2つのサービスは多くの中国人が利用している。暗号通貨取引所を介した取引が禁止されており、国外のOTC取引を行う取引所を利用することが多い中国市場において、Binanceの存在感は増すと予想される。このように、Binanceが世界中で展開する戦略の勢いが収まる気配はない。

参考:
取引所を超える取引所、物議をかもすBinance | MUFG Innovation Hub

続々と展開されるBinance注目の事業

Binanceは、同社独自の取引所トークン「Binanceコイン(BNB)」はもとより、設立以来わずか2年の間に数々の事業を起ち上げ、新しい商品やプラットフォームを開発し続けている。

例えば、今年(2019年)8月に開始したのが、暗号通貨の貸付事業だ。これまで、Binanceのユーザーは基本的にBNBを借り受けるしかなかったが、これによりBNB以外の暗号通貨でも貸付を行うことができるようになった。9月18日に実施された4回目の貸付募集ではBinanceコイン(BNB)、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、イーサリアムクラシック(ETC)、Tether USD (USDT)の5銘柄で、貸付期間はいずれも14日間だった。

暗号通貨の貸付事業は活況を呈している。なお、暗号通貨信用評価のスタートアップであるGraychainは、この事業領域は現在約47億ドル(約5,000億円)と評価している。ただし、貸し手へのリターンである利息は約8,600万ドル(約93億円)で1.83%に過ぎない。

またBinanceは、2019年8月19日に新しい仮想通貨プロジェクトとして「Venus(ヴィーナス)」を発表した。このプロジェクトでは、政府・企業・組織などと協力し、既存の金融システムを「オープンなコミュニティ」へと再構築するとしている。

これは、世界各国の法定通貨とペッグ(特定の通貨との為替レートを維持する仕組み)されたステーブルコインによるものであり、同社は6月にフェイスブックが公表したステーブルコイン「Libra(リブラ)」の地域版のようなものだと説明している。

この場合、Binanceは暗号通貨を創造するためのブロックチェーン技術を政府に提供し、暗号通貨を担保する方法や発行量など、通貨システムの根幹部分を政府がコントロールすることを可能にするとしている。そのため、Binanceは現在、主に発展途上国の中央銀行や規制当局に働きかけ、銀行口座のない人々を国際的な金融市場へ誘導することを意図していると伝えられる。

また、先物取引もすでに開始している。「Binance Futures」がそれで、2019年10月15日には、BTC/USDTにおける24時間出来高で、過去最高値となる7億ドル(約760億円)以上の取引額を記録した。

注目事業でもうひとつ取り上げておきたいのが、2019年4月にスタートしたBinance DEX(バイナンスデックス)だ。

DEXとはDecentralized Exchanges(分散型取引所)の略称で、従来の中央管理者が管理する取引所ではなく、分散台帳ネットワークを形成するプログラムにより自律的に機能する取引所で、参加者が管理し、参加者間で直接取引を行う取引所のことを言う。 中央管理者がおらず、ユーザー自身が秘密鍵を管理し、ブロックチェーン上で取引記録を承認する。秘密鍵をそれぞれのユーザーが管理しているため、取引所がハッキングされたとしても資産を奪われるリスクが低い。Binance DEXでは、ユーザーの各ウォレットからDEXのアプリケーションを起動することで取引を行う。

このように、同社は単なる暗号通貨の取引所という概念を越え、人と人とが直接取り引きできる世界、いわゆる非中央集権化社会を実現するために、ブロックチェーンのさらなる進化に積極的に取り組んでいる。

BinanceXが開発者に提供するさまざまなプログラム

そのBinanceが、ブロックチェーン開発者向けの学習プログラム「Binance X」をスタートさせた。

Binance X

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(画像出典:Binance X ウェブサイト

Binanceは前述のように、数々のサービスを起ち上げているが、Binance Xはこうしたプロジェクトに関わることのできる多くのサードパーティの開発者の育成を目的としており、Binance X のTeck Chia氏が暗号通貨のウェブメディアThe Blockに語ったところによると、「Binance Xの長期的な目標は、暗号エコシステムを前進させ、暗号通貨の導入に貢献する製品とサービスを革新する開発者のエコシステムを育成すること」としている。

同氏は、「Binanceの開発者向け製品の数が増えており、またそのプラットフォームで製品とサービスを構築するサードパーティの開発者の数も増えている。今こそ、適切なタイミングだ。こうした開発者たちは、開発のすべての段階で成功をもたらすことに貢献するチームとして評価に値する」と述べている。

開発者はBinance X で、ブロックチェーンエコシステムやBinance独自のパブリックブロックチェーンであるBinance Chain、BinanceのAPI(アプリケーション・プログラム・インターフェイス)、Trust WalletのSDK(ソフトウェア開発キット)などといったBinance独自のサービスの学習、ソリューション構築に活用することができる。

Binance X では、「Learn」「Collaborate」「Grow」の3つのセクションを設けている。

「Learn」では、以下のリソースが提供されている。

・Binance.com APIs:データを回復したり取引を実行したりするためのAPI

・Binance Chain :DEX(分散型取引所)環境でデジタル資産を取引できるコミュニティ主導型ブロックチェーン

・Trust Wallet:開発者に十分な開発経験がなくてもアプリやウォレットを開発できる完全オープンソースのマルチコイン暗号通貨ウォレット

・Binance Charity:ブロックチェーンによってグローバルで継続的な開発を行う非営利型組織

「Collaborate」では、Binance X全般と、上記のBinance Chain、Binance.com APIs、Trust Wallet等に関するディスカッションや、イベント告知などに参加できる。

「Grow」では、開発者の次の成長段階へのプロジェクトをサポートするために以下のプログラムが用意されている。

Binance X Fellowship:開発者・研究者の支援

Binance Launchpad:BinanceのICOプラットフォーム

Binance Labs:初期段階のプロジェクト支援

・Africa Initiative:アフリカ大陸におけるユースケース

・Strategic Partnerships:戦略的パートナーシップ

・Strategic Investments, M&A:戦略的投資およびM&A

ちなみに、「Binance X Fellowship」は、暗号化経済における新しいイノベーションとビジネスを可能にする無料のオープンソースソフトウェアを作成する、才能ある開発者と研究者を支援するために開始された。

またこのプログラムでは、短期的には必ずしも商業的な可能性があるとは限らないオープンソースプロジェクトにも取り組む自由が与えられ、Binance X Fellow として、Binance社創設者、研究者、ポートフォリオ企業、開発者といった幅広いネットワークにアクセスして、メンターシップとアドバイスを得ることができる。

なお、「Binance X Fellowship」参加者には毎月奨学金が支給され、ロードマップの策定や、ユーザーや協力者のコミュニティ育成についてサポートを受けられる他、世界中の出願者にローリング方式(毎年度アップデートを行う)で公開される。

このプログラムには2019年9月時点で40以上のプロジェクトが動いており、その中には以下のプロジェクトが含まれる。

GoBNB by Hammad Tariq
BrowserBNB and BNBTextWallet by Nikita Kozlov, Alexandr Safonov
PISA by Patrick McCorry, Sergi Delgado Segura
Burner Wallet by Austin Griffith
OP_SECURETHEBAG by Jeremy Rubin

なお、このプログラムでは、開発者に5,000ドル(約540,000円)または15,000ドル(約1,626,000円)相当の暗号通貨を初期段階のアイデアに資金提供したり、開発に活用したりできるとしている。

拡張を続ける暗号通貨経済圏

BinanceのCEOであるChangpeng Zhao氏は、非中央集権社会やオープンコミュニティでのP2Pの取引をブロックチェーンによって実現することを目指しているが、同時に、一ヶ所にとどまったり、特定の規制に縛られたりすることを良しとせず、拠点を移すことも厭わない。

香港から紆余曲折を経て地中海の島国マルタへと移転したのも、同国が暗号通貨に対しての規制を比較的好意的な範囲にとどめているためだが、一方で、リスクを分散化し、事業を継続させるための措置とみる向きもある。

同氏はかつてあるインタビューで「投資の自由を推進する必要がある」と語っているが、暗号通貨は国境を越えて投資の自由を行使できる。「暗号通貨は世界をつなげる」とも語る同氏は、Binance Xに集まる有能な開発者やユーザーと共に、暗号通貨の経済圏を拡張し続けることだろう。

※為替レート:2019年10月19日現在

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