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モノの所有からサービスの利用へ~顧客のニーズに応える注目のサブスクリプションサービス6つの事例

モノの所有からサービスの利用へ~顧客のニーズに応える注目のサブスクリプションサービス6つの事例

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2019/10/18

拡大するサブスクリプションモデル

モノを所有することから利用することへと消費者のマインドが変化するにつれて、あらゆるビジネスが製品からサービスへとその軸を移しつつある。そして、そうした現代の消費者のニーズに応えて、定額の利用料を徴収することでさまざまな価値(サービス)を継続的に提供するのがサブスクリプションモデルだ。

例えば、音楽のApple Music、映画のNetflix、デザインソフトのAdobe Creative Cloud、顧客管理ソフトのSalesforce、そしてマイクロソフトのOfficeまでもが、いまやサブスクリプションで利用できる。

サブスクリプション型ビジネスに最適化したアプリケーションサービスを提供する米Zuoraが、2019年3月に発表したサブスクリプションビジネスの成長の評価基準となるサブスクリプション・エコノミー・インデックス(以下SEI)によると、2012年1月1日から2018年6月30日までの約7年間で、サブスクリプションビジネスの収益成長率は300%を超え、年平均換算では18%となり、ビジネス規模が拡大している。

日本でも同様に、サブスクリプション市場は大きく成長している。株式会社矢野経済研究所が2019年4月に発表したサブスクリプション市場の調査によると、2018年度のサブスクリプションの国内規模は、消費者の支払額ベースで、5,627億3,600万円であったと報告しており、2023年までに8,600億円を超えると予想している。国内外において、サブスクリプションモデルのビジネスは拡大、もしくは、その拡大が見込まれている。

サブスクリプションビジネスを拡大させる5つのトレンド

ニューヨークに拠点を置く市場調査会社ハリス・インタラクティブが世界12カ国、1万3,000人以上の成人を対象にした調査から、現代の消費者において以下の5つのトレンドが報告されている。

① 57%の人が、所有物を減らしたがっている。
② 68%の人が、所有している物によって個人のステータスが決まる時代は終わったと考えている。
③ 70%の人が、サブスクリプションは人々を所有が生む負担から解放すると考えている。
④ 74%の人が、今後、消費者はより多くのサブスクリプションサービスを利用するようになると考えている。
⑤ 71%の人が、何らかのサブスクリプションサービスに加入している(2014年は53%だったのに対して、2019年は71%と大幅に利用者人口が増えている)。

この5つのトレンドからわかるように、モノを所有することからサービスを利用するという価値観に変化している。

こうした背景からサブスクリプションビジネスの規模が拡大していく中、消費者は何を所有しなくなり、サブスクリプションはどのように進化しているのか。これまでデジタルコンテンツの領域で普及してきたサブスクリプションが、リアルな商材まで広がってきている実態を、特に日本の事例に絞って紹介する。

サブスクリプションモデル 6つの参考事例

1. KINTO(自動車)

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(出典:KINTOより)

KINTOは、トヨタ自動車が2019年2月にサービスを開始したクルマのサブスクリプションだ。

KINTO ONEとKINTO SELECTの二つのプランが用意されており、KINTO ONEでは3年間1台の車を、KINTO SELECTでは3年間で6種類のレクサスブランドが利用できる。KINTO ONEの価格帯は月額約4~10万円、KINTO SELECTは月額19万4,400円。

クルマをサブスクリプションで利用することで、転職や海外移住など、生活の変化に合わせて柔軟に利用するクルマを変更することができる。KINTOでは利用に際しての頭金や登録にあたっての諸費用が不要なため、大きな出費を伴わずにトヨタのクルマに乗り始められる点が魅力だ。

KINTOは、日本では初の自動車メーカーが手がけるクルマの定額利用サービスだ。自動車メーカーがサブスクリプションビジネスを手がける意味はどこにあるのだろうか。

トヨタ自動車は現在、クルマへのDCM(車載専用通信モジュール)の標準搭載を進めている。 DCMとはクルマのIoT化(コネクテッドカー化)を担うクルマの専用通信機だ。DCMを搭載することで、盗難時の自動通報や追跡、道路情報の自動更新が可能になる。KINTOでは、ほぼすべての車種にDCMが搭載されている。

DCMのデータはトヨタのモビリティ・プラットフォーム(コネクテッドカーの利用情報を管理・分析する機能を包括したシステム)に送信される。KINTOは利用者の走行状態を常に把握することができ、安全に運転しているか、エコな運転ができているか、メンテナンスを行なっているかなどを分析する。この分析結果をもとに、利用者にはポイントが付与される。そのポイントをKINTOの支払いに充てることも可能で、安全運転をするほどに利用価格が安くなる。

更に、トヨタはKINTOの利用者が増えるほど、ユーザーの走行データを集積することができる。そのデータを分析することで、今後の製品開発、サービス向上につなげることが可能になる。クルマを購入しない層からもデータを収集できるサブスクリプションモデルを利用することで、トヨタが把握できるデータはより重層的で多様なものになるだろう。

クルマのサブスクリプションサービスを展開する企業は数社存在するが、テクノロジーを活用した自社のコネクテッドカーをサブスクリプションのサービスと組み合わせる仕組みは、自動車メーカーだからこそできることだ。トヨタは、DCMから得られるデータを自動運転の開発にも利用する予定だという。サブスクリプションモデルを通してさまざまな分野にデータを活用できるのは、メーカーならではの強みと言える。

2. ALPHA BETA COFFEE CLUB(コーヒー)

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(出典:ALPHA BETA COFFEE CLUB公式サイトより)

2017年4月より月額定額制でコーヒーの飲み放題サービスを提供するのは、東京自由が丘に店舗を構える「ALPHA BETA COFFEE CLUB」。品質が最も高いと認められたインドネシアのスマトラやエチオピアのイルガチェフェなどのコーヒー豆を使用した「スペシャルティコーヒー」を提供しており、テイクアウトも可能だ。

2019年9月現在、同店のサブスクリプションサービスは月額9,000円。加入すると会員カードが発行されるのだが、この会員カードにはRFIDチップが使用されている。RFIDチップとはIoTを利用して情報収集を行う仕組みの一つで、Suicaなどの電子マネーにも利用されている。

ALPHA BETA COFFEE CLUBでは、このRFIDチップを利用することで顧客がどのようなコーヒーを好んでいるかという情報を収集し、データベース化する。同店は将来的には多店舗展開を視野に入れており、会員はどの店舗でもサブスクリプションサービスを利用できるようになる。その際、顧客のデータベースがサービス向上に大いに役立つ。

さらにALPHA BETA COFFEE CLUBでは、コーヒーサーバーにスマートフォンアプリと連動してレシピを記録できるスマートデジタルスケールを搭載している。バリスタがデジタル化、数値化されたレシピを共有し、美味しいコーヒーの再現性を高めるなど、“コーヒーのIT化”に余念がない。

それもそのはずで、ALPHA BETA COFFEE CLUBを立ち上げた大塚ケビン氏は、かつて米Googleでデジタルマーケティングを担当していた。単にコーヒーにサブスクリプションモデルを取り入れるという発想だけでなく、より効果的な形でデータを収集し、サービスの向上に役立てるというアイデアがそこにある。

ちなみに、コーヒー豆のサブスクリプションもある。PostCoffeeは、スマホアプリで注文すれば、スペシャルティコーヒーの豆(特定の栽培地で栽培から精製まで徹底的に品質管理して生産したハイグレードな豆)をポストに届けてくれるサブスクリプションサービス。月額1,280円で毎月150gのパッケージが届く。豆は挽いていない状態のものも注文できる。

3. airCloset(洋服)

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(出典:airCloset公式サイトより)

株式会社エアークローゼットが展開する「airCloset」は、2015年4月に始まったサブスクリプションサービスだ。月額制で洋服をレンタルできるファッションレンタルサービスで、女性顧客をターゲットにしている。

これまでも冠婚葬祭で利用する晴れ着やドレスのレンタルは一般的だったが、airClosetでは月額定額制で、300ブランド以上、10万着以上の中から普段着をレンタルできる。

衣服は購入後もクリーニングに出したり、季節の変わり目に衣替えをしたり、あるいは旬を過ぎて保管場所や処分方法に頭を悩ませたりと、何かと手間のかかるものだが、レンタルであればそのような煩わしさから解放されて、純粋にファッションを楽しむことができる。

airClosetの最大の特徴は、お好みの服を自分で選べることではなく、自分に合った服をスタイリストに選んでもらえることにある。利用者はまずウェブで会員登録を行い、洋服の好みのスタイルや色を登録する。すると、一人一人のカルテをもとにスタイリストがその人に合った服を選んでくれる。月6,800円のライトプランでは毎月3着、月9,800円のレギュラープランでは借り放題だ。

また、アプリではスタイリストとコーディネートの感想を共有したり、コーディネートのリクエストを送ることもできる。顧客とスタイリストをつなぐサブスクリプションサービスに成長したairClosetの会員数は、2019年9月現在で25万人を超えている。

レンタルした服は洗わずに返却しても構わない。返却が完了すれば、次の3着の到着を待つだけだ。ちなみに、airClosetのクリーニングはクリーニングチェーンのホワイト急便が監修している。

さらに、利用者が自ら価格を決める「あと値決め」の試験導入を2019年8月に、利用者同士がコーディネートを共有できる「みんなのコーディネート」機能のリリースを2019年9月に発表するなど、次々と新メニューを投入している。顧客の満足度を維持するサブスクリプションモデルの基本を押さえた戦略だ。

なお、男性向けのスタイリスト付きのサブスクリプションサービスには、「リープ」がある。ラフなスタイルならカジュアルプランで月額7,800円、ややフォーマルに決めたいならジャケパンプランで月額13,800円の2つのプランが用意されている。スタイリストにはLINEで相談でき、レンタルした洋服が気に入ったら、そのまま購入することも可能だ。

4.トイサブ!(幼児向け玩具)

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(出典:トイサブ!公式サイトより)

株式会社トラーナが展開する「トイサブ!」は、幼児向け玩具にサブスクリプションモデルを適用している。子供の成長は早く、それに合わせて玩具を選ぶのは一苦労。また、整理したり、子供が遊ぶ時期が過ぎたものを処分するのも面倒なもの。

そこでトイサブ!では、認定インストラクターが担当者となり、子供の個性や興味、親の要望に対応した玩具を選び、隔月で子供の成長に合わせたおもちゃや知育玩具を届けてくれる。

この認定インストラクターは、これまで7,000件を超えるプランを作成してきた知育玩具のスペシャリスト達だ。玩具は満足度調査のデータを元に、総合評価の高いものが選ばれている。

トイサブ!では、「0~1歳向け」、「1~2歳向け」、「2~満4歳向け」のプランに加え、4~8歳に向けた理工系のおもちゃを提供する「トイサブ!プラス」を用意するなど、子供の成長に合わせてプランを更新できるようになっている。

また、サブスクリプションサービスを利用するということは、子供達が玩具を共有するということでもあるが、トイサブ!では衛生面でも品質管理を徹底しており、玩具は汚れたまま返却しても構わない。

料金プランは地域によって異なるが、関東圏であれば隔月の玩具交換、一度に4~6点の玩具を受け取る場合、月額3,240円で利用できる。1日に換算すると約108円だ。

玩具を選んだり処分したりする作業から解放されるという意味では、ファッションのサブスクリプションであるairClosetと同じだ。選択肢が多すぎる現代だからこそ、こうしたサブスクリプションが消費者に選ばれる。

5. Dyson Technology +(家電製品)

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(出典:Dyson Technology +公式サイトより)

掃除機でおなじみのダイソン株式会社が提供するサブスクリプションサービスが「Dyson Technology +」だ。同サービスでは、ダイソンの主力製品を月額定額制でレンタルすることができる。

プランは、設定期間3年で月額1,000円のパフォーマンスプランと、2年で月額2,500円のアドバンスプランの2種類が用意されている。コードレスクリーナー(掃除機)、ファンヒーター(空調家電)、ヘアードライヤーの3つの製品カテゴリーが用意されており、アドバンスプランではハイグレードの製品を利用できる。設定期間を終え、プランを更新する場合は2年ごとに新しい機種にアップグレードされる。契約期間を終えれば、ダイソンに返却するだけなので処分にも困らない。

製品サポートも充実している。ダイソンのメーカー保証は通常2年だが、Dyson Technology +では、掃除機の利用から1年経過時にダイソンのエンジニアが点検を行うなど、製品利用期間中はメーカー保証と同等もしくはそれ以上のサポートを受けることができる。また、通常は保証の対象外となる落下による破損などにも保証が適応される。

家電は通常、メーカー保証が付いているとはいえ、購入した顧客とメーカーとがダイレクトにつながることは稀だ。顧客は購入した商品を次の製品を購入するまで使用し、メーカーは次のモデルの開発に注力する。その間、双方がやり取りする機会は故障の時以外にはあまりない。そのため、顧客がそのメーカーの製品に満足しなかった場合、改善を要求したり他の製品を試したりするよりも、ただ単に他のメーカーに乗り換えてしまうということもありがちだ。

しかし、サブスクリプションモデルを活用することで、メーカーは顧客との積極的なつながりを生み出すことができる。メンテナンスや苦情の対応に顧客が満足すれば、他メーカーに乗り換える可能性も低くなる。あるいは、顧客のニーズや要望に耳を傾けることで新製品のアイデアに結びつく可能性もある。トヨタ自動車が展開するKINTOの例と同様、メーカーにとっても、サブスクリプションモデルを取り入れることは大きな意義がある。

6. Reduce Go(飲食店の余剰食品)

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(出典:Reduce Go公式サイトより)

一風変わったサブスクリプションのアイデアを実践しているのは、SHIFFT株式会社が展開する「Reduce Go」だ。Reduce Goは加盟している飲食店で廃棄される余剰食品を定額料金でテイクアウトできるサービスだ。

毎月1,980円の利用料を支払えば、一日2回まで余剰食品を持ち帰ることができる。顧客はスマートフォンのアプリから、どの店で余剰食品が出ているかチェックする。アプリ上で注文したあと、設定されている時間内に店舗を訪れ、受け取ることができる。余剰食品はあくまで「このままでは廃棄される予定」というだけであって、食用には何ら問題ない。注文に際しての追加料金は発生しない。

2019年9月8日現在、Reduce Goのサービスは東京都内で展開されている。加盟店舗は登録料などを支払う必要はなく、スマートフォンから一週間ほどで登録完了できる。

加盟店舗は食品の廃棄量が減ることによって廃棄コストが減少するが、さらに注目すべきは、サブスクリプション料金から得た収益の59%をReduce Goが店舗に還元していることだ。Reduce Goによると、廃棄する予定だった食品のおよそ原価分が還元される計算だという。

また、Reduce Goに店舗を登録することで、今まで訪れることがなかった顧客に試食してもらうきっかけにもなる。これまで廃棄するだけだった食材を活用して集客と収益を生み出すことができる。

なお、Reduce Goは顧客から支払われるサブスクリプションの料金の39%を収益とし、前述の加盟店へ還元される59%を除いた残り2%は社会活動団体へ寄付される。

日本では実に年間632万トンの食品が廃棄されており、その約半分が飲食店などの商業施設から発生している。Reduce Goは店舗と顧客の双方の利益となるプラットフォームを構築しつつ、同時に食品廃棄という社会問題の解決にも貢献している。まさにサブスクリプションモデルを活かした新時代のビジネスのあり方と言える。

時代に適したビジネスモデルを

サブスクリプションモデルは利用者のコストの削減や煩雑な作業の排除だけでなく、収集したデータを再活用したり、専門家のサービスを付加したり、あるいは社会的課題に取り組むなど、まさに時代に適したさまざまなシーンで新しい価値を生み出すビジネスモデルとして今後大いに発展する可能性がある。

モノの所有からサービスの利用へ人々の価値観が変化する中、個々のユーザーと向き合う姿勢を持ち、新たな需要に応えるサブスクリプションモデルが今後も生まれていくだろう。

※サービスの価格は2019年9月8日時点。いずれも税抜き価格。

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