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「クラウドファクタリング」のOLTAが変える中小企業金融の未来

「クラウドファクタリング」のOLTAが変える中小企業金融の未来

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2019/08/20

(左から:OLTA株式会社 取締役CSO武田修一氏、代表取締役CEO澤岻優紀氏)

OLTA(オルタ)株式会社は、中小事業者向けのキャッシュフローを改善させるオンライン完結型の請求書買取サービス(クラウドファクタリング)を展開。サービス開始1年半で申込総額100億円を突破。先日、更なる事業拡大に向けて総額25億円の資金調達を公表し、今注目を浴びているFinTech スタートアップ。

同社は、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)が主催するスタートアップ支援プログラム「MUFG Digital アクセラレータ(以下、アクセラレータ)」第2期の参加メンバー。

アクセラレータに採択されたのをきっかけに創業した同社は、同プログラムをどのように活用し、ここまでの成長に至ったのか。これまでの歩みについて代表取締役CEOの澤岻優紀(たくし・ゆうき)氏、取締役CSOの武田修一氏に話を聞いた。

短期・少額運転資金の悩みを解決するファクタリング

OLTAの提供するサービスは、「クラウドファクタリング」という金融サービスだ。

ファクタリングとは、企業が事業によって得た入金待ちの請求書(売掛金)を売却し、運転資金を調達する「借りない資金調達」という手法。例えば、A社がB社の案件を請け負い、そのための経費として100万円の支払いが必要だとする。B社からの入金は1~2ヶ月後であることが多く、この時点では先に支払った経費分の100万円がマイナスとなっている。

しかし、B社からの入金前に新たにC社から依頼が舞い込んだ場合、B社の案件で支払った経費分がまだ回収できていないので、C社の仕事に必要な資金を確保できないケースも考えられる。これでは、C社からの新規依頼というビジネスチャンスを諦めなければならないかもしれない。

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そこで登場するのがファクタリングサービスだ。B社からの入金を待つことなく、B社向けの納品代金の請求書をファクタリングサービス提供会社に売却。手数料分を引いた資金を調達することによって、ビジネスチャンスを逃すことなく新たな仕事にとりかかることができる。キャッシュフローが安定していないことも多い中小企業にとって、こういった一時的な資金需要を補完する仕組みは多くない。企業が成長過程で連続して大きな仕事を請け負う時にぶつかりやすい悩みを、ダイレクトにカバーする。

テクノロジーの力でこれまでにない金融体験を提供

事業が好調な故の資金調達ニーズを有する中小企業を中心に注目を集める同サービスだが、金融機関が提供する従来型のファクタリングを利用する場合、審査などに一定の期間が必要となる。おおむね、対象となるのは数千万円ないし数億円以上の債権規模であったり、初回の相談から実際の資金調達まで1ヵ月程度を要するなど、早期に資金を調達したいという中小企業のニーズとは乖離してしまうことも多かった。

また、時間の問題以外にも、ファクタリングサービス提供会社が、売掛金の回収をファクタリング利用者であるA社から行う二者間取引ではなく、売掛先であるB社から行う三者間取引(売掛先にA社がファクタリングを利用したことが知られる)であることや、二者間取引に応じる小規模なファクタリング会社は割高な手数料を求めるケースもあることなどが活用のハードルとなっていた。

OLTAでは、これらの課題をテクノロジーの力で解決。申込から契約までの手続きはオンラインで完結できるようにすると共に、ファクタリングを利用したい企業の審査にAIを活用。さまざまなデータから得たスコアリングモデルを基準に、提出書類の数字などからAIと人間の双方が査定を行うことで、スピーディーな審査を可能にした。

そのほかにも、独自のスコアリングモデルを活用し、極短期の資金提供を行うことで貸し倒れのリスクを抑えているため、OLTAが売掛先から直接売掛金を回収する三者間取引の形を取る必要はない。ファクタリング利用者に売掛金の入金があったら、そのままOLTAへと振込を促す二者間取引の仕組みにより、ファクタリングを利用していることが取引先企業に知られないようになっている。

手数料に関しても、AIを活用した審査モデルによりコスト削減を実現し、2~9%と業界内で最安値に近く、大企業と比較すると資金調達力が弱い中小企業に寄り添ったサービス内容を実現している。

代表取締役CEOの澤岻氏は語る。

「ファクタリング自体は、昔から存在するサービスです。弊社の事業は、従来は対面で行われることが多く、手続に時間が必要だったファクタリングに、AIやオンライン取引というテクノロジーを組み込み、速く、簡単に、リーズナブルに資金調達ができるようにしたものです」

クラウドファクタリングに必要な書類は、決算書、銀行口座の入出金明細、本人確認書類、買い取りを行う請求書だけ。審査に必要な書類提出から24時間以内の審査、契約当日もしくは翌営業日の振り込みは、業界的にも類を見ないスピード感だ。

多くの中小企業経営者の悩みは、日々の資金繰りにある。OLTAが実現するスピードは、こういった中小企業の資金繰りの不安を払拭し安心して事業に取り組むための大切な要素といえる。

アクセラレータで法人立ち上げから口座開設・資金調達まで、さまざまな局面をトータルで支援

OLTAのクラウドファクタリングは、2017年11月のサービスローンチ以来、多くの中小企業経営者に受け入れられ、累計で100億円の申込を突破した(2019年6月取材時)。

さまざまな業界からも注目されているサービスの展開に、アクセラレータはどのように役立ったのか。

「正直に申し上げて、MUFGのアクセラレータに参加したからこそ今があると言っても過言ではありません」と、取締役CSOの武田氏は語る。

CEOの澤岻氏は、以前は野村證券株式会社の投資銀行部門で大企業向けの資金調達を担当。起業の意向はあったものの、多忙の中で新たな事業の構想を練る時間がなく、いったん退職してから事業アイデアをまとめることを決意。

時間をかけてアイデアを煮詰めていく中で、ファクタリングが中小企業の資金調達に一石を投じるのではないかと考えつく。同じ頃、現CSOの武田氏と出会うなど、事業の骨格を構築していく。

「退職後、事業構築に集中できたので、いろいろな人とファクタリングについて話す機会がありました。その中で、このアイデアが世の中に受け入れてもらえるのか、力試しのような感覚で複数のビジネスコンテストやアクセラレータプログラムに申請してみたんです」と澤岻氏は回想する。

MUFGのアクセラレータに応募したのは、同プログラムの第1期が終了した後。メンターや事務局が手厚く支援してくれるという評判を聞いていた。どのような反応を得られるか楽しみにしていたが、実は応募時点ではまだ法人化しておらず、ピッチ(プレゼンテーションの短縮版)資料しかないような状態だった。

これでは審査には通らないかもしれないと思いながらも「どんな結果であっても、もらったフィードバックは必ず勉強になるはずだ」と考えた。結果、書類審査やプレゼンなどを通じ、マーケットのポテンシャルや事業の将来性が評価されアクセラレータへの参加が決定した。

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(武田氏は前職ではソニー株式会社にて経営戦略策定を担当)

「通常、アクセラレータプログラムであれば、既に法人化した企業が対象となると思います。そのため、人によっては申請することを躊躇(ちゅうちょ)するかもしれません。私たちの場合は0からの部分、会社を創る段階からMUFGに相談させていただき、実際にプログラム参加者に提供されるさまざまな機能をあますところなく活用させていただきました」と武田氏。

当初はオフィスもなかったため、参加者にプログラム期間中無償で提供される専用ワーキングスペースをオフィスとして活動していた。

「ワーキングスペースには大きなホワイトボードがあって、そこに事業構想を書き出していました。そうしてまとまったアイデアや考えを、メンターの方々に話してはご意見をいただく壁打ちのようなことを繰り返していましたね」(武田氏)

アクセラレータには、ビジネス立ち上げの専門家、金融事業領域の専門家などからなる充実のメンター陣に加え、金融業界の法制度や商習慣等に精通したMUFGグループ社員メンターも集まっているため、金融業界特有の知識についてもアドバイスを得ることができる。

OLTAの場合は、法人化についてもアドバイスを受けながらの進行だったため、法人口座もMUFGからの紹介で開設した。現在の顧問弁護士も、実はスキーム検討時に相談をしていたメンターであるなど、アクセラレータ期間中のみならず、現在も良好な関係が続いている。

大企業の持つ膨大なデータとベンチャーの持つ発想力をかけあわせる

会社設立や事業構築支援に留まらず、大企業向けのファクタリングを展開する三菱UFJファクターの知見を活用するなど、事業の中核をになう部分についても支援を受けた。

「単に事業の相談を受けていただくだけではなく、事業に関わる実務的なご支援をいただけるというのは、他のアクセラレータプログラムとの大きな違いだと思います。ほかにも、ベンチャー企業は設立時に知名度や信頼度が低いという特徴がありますが、創業期には『MUFGのアクセラレータに採用されたOLTAです』とPRすることで信用を得ることもできたと思っています」と、澤岻氏。

事業はスタートから好調で、2019年6月には約25億円を資金調達したことも大きな話題となっている。 今後はどのような展開を考えているのか。

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(今後の展望を語る澤岻氏)

「クラウド会計ソフトのfreeeと連携をし、先方のプロダクト上で売却できる可能性が高い請求書があれば、ユーザーにお知らせとして通知するという機能を発表しました。まだファクタリングを知らない、もしくは利用したことはなくとも、必要としているかもしれないユーザーに利用を呼びかける仕組みを、プラットフォーマーのみなさんと構築していきたいと考えています」(武田氏)

「今後は、金融機関と協力していきたいと思っています。ファクタリングは資金力の乏しい中小企業向けのサービスとして有効です。しかし、その後ステップアップをするためには銀行融資のようにまとまった資金が必要なタームというのが存在します。その場合は、我々から銀行側への橋渡しをしたり、逆に融資よりも早い資金調達を必要とする企業を金融機関側からご紹介いただいたりするような、ユーザーが状況に合わせて使い分けできるサービスになることが目標です。ファクタリングは数十~数百万円の間での利用がほとんどなので、融資の代替になろうとは考えていません。銀行融資ではカバーしきれない領域を補完して、金融の仕組みを変えながら、業界全体で中小企業の成長を支援していく、そういった流れを構築したいと考えています」(澤岻氏)

最後に、アクセラレータはどのような企業にとって有益か、澤岻氏が答えてくれた。

「FinTechを扱うならば起業前、起業後どちらの段階でもおすすめします。ただ単に事業について発表して終わりということではなく、大企業のブランドやアセットと、大企業にはないものを持つベンチャーとをかけ合わせた先にあるものを目指して、メンターの方々や運営に携わる人々が膨大な時間を割いてくれます。事業だけでも、人だけでも実現できない、ケミストリーとも呼べるようなこの状態こそが、アクセラレータの最大の特徴です。単なる支援だけではなく、一緒になって取り組むことでできあがるものがあります。それが、結果として双方の中長期的な利益にも繋がるのではないかと信じています」

アクセラレータを通して生まれた企業が、金融業界に大きな波を起こしていく。そのプロセスで多くの支援者を得たOLTAの今後から目が離せない。

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