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三菱UFJ国際投信が投信のネット直販「mattoco」をスタート~大企業内でのプロジェクト起ち上げの狙いとは?

三菱UFJ国際投信が投信のネット直販「mattoco」をスタート~大企業内でのプロジェクト起ち上げの狙いとは?

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2019/08/13

(左から:三菱UFJ国際投信株式会社ダイレクト・マーケティング部 吉冨尚輝氏、神尾美智子氏、西村彬宏氏、平床賢太氏)※2019年6月時点

自ら資産形成が必要な時代。若年世代をターゲットに据えた投資商品が重要になってきた

近年、資産形成の手段としての投資の存在感が増してきている。あらゆる人が自発的な資産形成を求められる時代がやってきつつあるのだ。

しかし、日本銀行による資金循環統計(速報)の家計金融資産構成比率(2018年12月現在)を見てみると、現金・預金(53.8%)、保険・年金・定形保証(28.6%)に対し、投資は株式等(9.5%)、投資信託(3.7%)と低い割合にとどまっている。

資金循環統計(速報)2018年第4四半期

国も、NISA(少額投資非課税制度)などの制度によって、国民が資産の一定割合を投資に振り分けることを支援する政策をとっており、特に、現役世代や若年層が投資を行い、長期的に資産を形成していくことの必要性を訴えかけている。

これは、裏を返せば、投資関連の市場規模は今後拡大してゆく可能性が高く、そこにビジネスチャンスがあることを意味する。特に、現役世代や若年層の長期的な資産形成に適した投資信託の分野は、これから拡大していく可能性が高い。

これまで投資の中心だったシニア世代だけでなく、現役世代や若年層にアプローチするとなると、既存の方法では課題も残る。独立系投信会社や、他業態から参入した新興企業では、インターネットや独自のチャネルを使って若年層へのアプローチを図る取り組みも増えてきている。

そのような状況の中、三菱UFJフィナンシャル・グループの三菱UFJ国際投信株式会社が新しいサービス「mattoco(マットコ)」を2019年3月にリリースした。mattocoは、口座開設申し込みから投資信託の購入、運用成果の確認をスマートフォンから行うことができる、インターネット直販型の投資信託取引サービスだ。三菱UFJフィナンシャル・グループから生まれたこの新規事業は、金融業界にどのようなインパクトをもたらすのか。サービスの企画・運用の中核を担う4人に話を聞いた。(2019年6月取材)

現役世代に対し、スマホで手軽な投資を提案する「mattoco」

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mattocoの特徴は、短期間でのリターンを追求するのではなく、目的・目標を定めてそれに向けて長期的な投資を促す点だ。特に、子育て世代の顧客向けには「学資つみたて」という考えを軸に、子どもの将来のために資産形成を行うというコンセプトを掲げている。

これは、これまで投資を行っていたのは50代以上の世代が中心だったのに対し、20代、30代、40代を中心とした現役世代にとっての投資のメリットを打ち出す戦略で、販売方法も、これまでの販売会社(証券会社、銀行などでの対面)を通したものとは異なり、スマートフォンを通じた直接販売チャネルで行っている。

また、長期的な投資をしてもらうために、資産の短期間での増減に一喜一憂しないよう複数の「目的」を定めた上で、その目的までの達成率を可視化することで、投資を継続しやすい環境も整えているという。

「mattoco」という名前にも、気長に「待っとこ」という意味と、身近な目標である「的(まと)」をコレクションするという意味が込められているそうだ。

ダイレクトに顧客の声を集めることができるチャネルを構想

三菱UFJ国際投信はこれまで、投資信託の商品をつくり、販売会社を通して投資家に販売するというビジネスモデルで成長を続けてきた。

mattocoに初期から関わる西村氏と平床氏は、今後は顧客と直接関わるチャネルを持つことが必要になってくると考え、インターネット直販の立ち上げを構想したという。

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(三菱UFJ国際投信株式会社 平床賢太氏)

平床 投資信託業界は販売会社起点で成長し、私たちメーカーは販売会社を通じて得たお客さまの声をもとに商品を作ってきました。しかし、ネット証券などの販路を広げる中で、私たちがダイレクトにお客さまの声を聞き、資産形成に直接コミットできる環境を作ることが可能なはずだし、それが武器になると思うようになったのです。

西村 大手企業でもイノベーションや他社との協業が重要になってくる中で、新しいものを生み出すには、自分たちでコントロールすることができる販売のチャネルを持つことが必要だと考えるようになりました。

販売会社を通じた従来の販売も続けながら、一部に自分たちがコントロールできる販売チャネルを持つことで機動力を上げ、時代の変化に敏感に反応できるようにすること。それが、mattocoが生まれた背景にあった狙いのようだ。直接販売できるチャネルが必要だという現場からの声に対し、経営陣からの後押しもあったという。

変化に柔軟に対応する、スリムな体制

大手企業の新規事業であるにもかかわらず、mattocoは小さな規模でスタートした。

西村 mattocoは、最低限の機能でスタートしました。ベンチャー企業だとリーンスタートアップ(最低限のコストと短いサイクルで仮説の構築と検証を繰り返しながら、市場やユーザーのニーズを探り当てていく手法)が当たり前なように、新規事業でも立ち上げ時のリスクを考えると、最適な方法ではないかと考えました。まずは最低限の機能でスタートし、お客さまとコミュニケーションを取りながら必要な機能を増やしていく方向で進んでいます。投資信託のような金融商品は、一度売り出すと、後から内容を変更するのが難しいのです。しかし、これだけ変化が激しい時代ですから、自分たちに柔軟さがどれだけあるかということはとても大事です。直販であればお客さまのニーズを見ながら商品を進化させていく事ができるので、そのためにも最初は商品数を絞ってスタートしました。

これから市場の拡大が予想される中で、10年後・20年後にどのような商品が望まれるかは予想しにくい。その中で対応力を持つための戦略であるようだ。

さらに、大手の傘の下にいるからこその利点もある。

西村 まだMUFG内での連携はやっていないのですが、将来的には可能になるかもしれません。お客さまにも、MUFGの名前を出せば安心してもらえるという信頼感はあると思います。

グループ外の企業と協業することになった場合でも、私たちが持つ信頼性やブランド力をベースに、必要な機能を外部と連携して載せていくということもやっていきたいと考えています。

ただ商品を販売するのではなく、投資を「文化」にしていきたい

mattocoが今後成長していく上で、様々な連携が必要になってくることが予想できる。どのような企業、業種との連携を視野に入れているのだろうか。

西村 一番わかり易いのは家計簿アプリのようなお客さまの資産状況を可視化するサービスです。お客さまの情報をトータルで得ることで、投資を始めるまでのシームレスな流れを作ることができます。あるいはライフプランをシミュレーションするサービスも、投資を検討するタイミングをお知らせできるので、連携することができたら面白いと思います。

西村氏は、顧客獲得の目的以外でも、投資の裾野を拡大することができる連携を行っていきたいと言う。

西村 多少時間がかかったとしても、今まで投資をしてこなかった方に投資を始めてもらう、言い換えるならば投資の文化を作っていきたいです。その思いを共有することができれば、別の連携の形もあるかもしれないと思います。

例えば、現状では未成年の方は口座を開設することができませんが、小中学生が擬似的に投資を体験できるサービスを提供するアイデアなど。本当に投資を文化にしようと思ったら、そういうところから手がける必要があると思います。

オウンドメディア運営で見えてきた、よりリアルな顧客の姿

mattocoでは、顧客の声を探る一つの手段として、オウンドメディア「mattoco Life」を運営している。それによってわかったことがあると言う。

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(三菱UFJ国際投信株式会社 西村彬宏氏)

西村 ネット直販で難しさを感じるものの一つは、例えば「サイトを訪れたものの、最終的に購入するまでには至らない」というような、行動が表すお客さまの声にならない声を、どう明確にするかという点です。私たちが思っていることと、お客さまが思っていることは違うということですね。

神尾 たとえば、私たちは老後資金にまつわる話を本当に数多く見てきましたし、資料もたくさん作ってきたので、一般的にもそのような知識が浸透していると思っていました。しかし、オウンドメディアにそういった記事を掲載するとアクセスが集まることがわかりました。お客さまが知りたいことは、私たちが想定しているものとは違う可能性もあるのではないかと実感しました。ダイレクトに反応やニーズがわかるのは面白いですね。

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(三菱UFJ国際投信株式会社 吉冨尚輝氏)

吉冨 資産形成の必要性などをライトに伝えられれば、投資に興味を持って始めようと思った方の入り口になれる。だから、購入に直接つながるものばかりではなく、広く間口を構えることが重要だと感じました。

「投資のイメージを変えて楽しめるようになれば、若い世代まで裾野が広がるはずです」

投資を文化にし、裾野を広げるために必要なのは、単に投資についての知識を広めることだけではなく、お金が増える以外の価値があると知ってもらうことではないだろうか。

20190813_05.png(三菱UFJ国際投信株式会社 神尾美智子氏)

西村 投げ銭(インターネット上で、コンテンツ制作者に手軽に金銭的な支援を行えるようにする仕組みやサービスの総称)やクラウドファンディングにお金を使う方を見ると、お金が何に使われているかわかるということが重要なのだと思います。それは、お金を出してでも買いたい経験があるのかどうかということでもあります。投資信託でも投資先の企業がこんなに面白いことをやっている等、お伝えすることができればいいのですが、規制などの関係で難しい場合もあります。その中でどうしたら伝えることができるのか、試行錯誤しながら考えていきたいですね。

神尾 私は今20代ですが、若い世代だと、投資に対するイメージがそもそもあまりないと思うのです。親世代も、そもそも投資をしていないか、あるいは損をした方が多かったりします。だから、投資のイメージを変えていくことができれば、裾野も広がっていくと思います。例えば30代くらいの先輩が成功体験を作ってくれるとか、あるいはゲームをするくらいの気軽な感覚で少額を投資できるようになるとか。

平床 確かに、投資の成功体験を持つ方が少ない一方で、上の世代は預貯金や保険に成功体験を持っていて、そのイメージを子ども世代がそのまま受け継いでいるという傾向はあると思いますね。投資の成功体験が増え、お金の預け先の一つとして認識されるようになり、投資が文化として根付けば面白いと思います。

西村 イメージでいうと、投資信託を自分が考えなければならない資産運用をアウトソースする「時短ツール」だと思ってもらいたいです。例えば家事など、自分でやった経験があることはアウトソースしやすいのですが、未経験の投資を人に任せるのは不安ですよね。ですから投資の知識を広め、安心感を持っていただくのが大事だと思っています。

資産を増やすだけではない投資の魅力

投資を始める動機には、老後や子どものための資金を貯めたいという資産形成の考えと、投資自体に面白さや魅力を感じる興味の2つがある。今は基本的に前者を満たすために投資信託は設計されている。

今後を考えると、ただ資産を増やすというだけではなく、例えばゲームのように投資を楽しむことができたり、自分が投資をすることで社会が良くなったことが目に見える形で示されたりというような、投資自体の魅力を増やしていくことが必要だ。若い世代がこうした付加価値を感じるようになれば、投資の裾野は更に広がっていくだろう。

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