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5Gの次に来るもの「6G」とは何か

5Gの次に来るもの「6G」とは何か

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2019/07/11

2019年9月を目処に、5G(第5世代移動通信システム)のプレサービスが始まる見込みだ。5Gの事業化が進む中、既に次世代通信「6G」の研究開発が進んでいる。今回は、米国のトランプ大統領も言及する6Gとは何かを紹介した後、6Gのアプリケーションや6G実現に向けた課題を考える。

6G通信とは何か

6Gとは、5Gに続く新たな次世代通信規格のことである。5Gの登場によってダウンロード速度はより一層高速化し、待ち時間は減少することが予想される。しかし、イギリスの携帯電話会社Vodafone UK(ボーダフォン)のCTO(最高技術責任者:Chief Technology Officer)であるScott Petty(スコット・ペティ)氏は、「5Gは数年後にはネットワークに接続されている『モノ』の数を処理できなくなる」と述べている。

なぜなら今後登場するさまざまな分野のIoT製品によって、IoTがより一層複雑になったり、データ需要が大幅に増加したりとネットワークへの負担が増大する可能性があるからだ。そのため、早急に6G実現に向けて動き始める必要があり、世界中の研究機関やネットワークベンダー(IT関連製品の販売業者)が6Gを実現させるための技術開発に挑んでいる。

ITU(国際電気通信連合)においても、2030年の6Gネットワーク実現に向けた技術研究グループ(FG NET-2030:Focus Group on Technologies for Network 2030)の構築が始まっている。各国の対応状況は下記の通りだ。

・米国
トランプ大統領が6Gインターネット技術の早期実現への期待をツイッターで述べている。

・フィンランド
6Gの開発プロジェクト「6Genesis」を立ち上げ、6Gの時代に対応しようとしている

・中国
工業情報化部IMT-2020(5G)無線技術開発グループのリーダーが、6Gの開発が2020年に正式に始まり、2030年に商用化される見通しとコメント

・韓国
LG電子が6G研究センターの設立を発表

6Gの技術により、伝送容量(伝送可能な情報量の上限)は、最低毎秒10ギガビット(5Gの場合)から毎秒100ギガビットへ増加する。通信遅延は、1ミリ秒から1ミリ秒未満に、接続密度は100万台/平方キロメートルから1,000万台/平方キロメートルとなる。

6G通信で何ができるようになるか

6Gでは、現状と比べて通信容量が拡大し通信も高速化。通信に必要なモジュール(構成要素)があらゆるものに溶け込むため、人々がバックグラウンドでの通信を意識することなく情報処理が行われるようになると考えられる。また、これまで一般的に利用できなかったサービスの実現も期待できるだろう。例えば、米マイクロソフトが開発中のテレポーテーションをしたかのような体験ができる”Holoportaion”(遠隔地にいる人を、3D映像として別の場所へ移動させる技術)がより現実味を帯びてくる。

この技術は、必要とする通信量が多く4Gでは実現不可能であるため、5Gの活用が期待される。更にきめの細かい3D映像を利用したコミュニケーション、つまり遠くにいる人があたかも目の前にいるような状況を今以上の3D映像で実現するには、より高速かつ低遅延の通信が必要だ。6G通信が実現すると、16Kの3D映像も高速で通信できるため、直接対面して話す場合の解像度に近づいてくる。

6Gは、このようなコミュニケーションツールだけではなく、リアルタイムオンラインゲームにも活用されるだろう。高解像度の3D映像をリアルタイムで送信することで、SF映画のようにネット上のもう一つの仮想世界を体験できるのだ。今後16Kに代表される高解像度の映像が、触覚情報とともに高速低遅延で通信することが可能になると、例えば、医療分野では、遠隔治療・診察等への活用など、6G活用の可能性が広がり、さまざまな用途が生まれてくるのではないだろうか。

6Gの実現に向けた課題

まずは、5G以上の大容量かつ超低遅延通信、高接続密度が求められる。直近ではNTTが世界で初めて、無線による毎秒100ギガビットデータ伝送実験を成功させた。(100ギガビット=現在のLTEやWi-Fiの約400倍、5Gの約40倍に相当する伝送容量)この実験は、OAM(Orbital Angular Momentum:起動角運動量。量子力学において電波の性質を表す物理量の一つ)多重伝送技術を用いたものである。

さらに、信号処理を改良することで、毎秒120ギガビットのデータ伝送にも成功している。今回の伝送実験は、室内で行われたため、次の段階では、屋外での伝送実験による実現性の検証が求められるだろう。その後は、多種多様なアプリケーションを実行するために、衛星通信網など他ネットワークとの協調、相互互換性の確保が必要になる。

例えば、スマートダストと呼ばれるような大量のワイヤレスIoTや、将来、宇宙空間での衛星通信に6Gを活用する場合などに、関係者間での標準化が必要だ。また、別の観点としては、6Gにおける電磁波の人体への影響が懸念されている。2019年から展開される5Gの周波数帯域の電波に関しては、人体への影響について充分に検証されており、現行のばく露限界値(連日繰り返しばく露されても健康に影響を受けないと考えられている濃度又は量)以下では人体への影響は認められていない。

しかし、6Gにはより高い周波数帯域が使われることになり、その影響が未だ充分に検証されていないことは懸念材料だ。このため、ドイツ連邦放射線防護局(BfS)は、新たな周波数帯域の影響について、今後研究を進めていく予定である。

6Gは、2030年以降の商用利用が予定されているが、今からその高速・低遅延・高接続密度が期待されている。6Gの社会では、人々がバックグラウンドでの通信を意識することのない、まるで通信技術が社会に溶け込んでいるかのような世界が待っているだろう。5Gが活用されつつある現代において、現状の課題を把握しながら、6Gの実現に向けても期待していきたい。

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