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進化を続ける決済カード「バイオメトリクス決済カード」

進化を続ける決済カード「バイオメトリクス決済カード」

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2019/07/08

2018年頃から国際クレジットカード2大ブランドであるMastercardとVISAが、「バイオメトリクス(生体認証)決済カード」の導入準備を進めている。端末にかざすだけで支払が完了するコンタクトレス(非接触型)ICチップと、指紋認証技術を融合させたものだ。セキュリティや利便性など、コンタクトレス決済の課題である点を補うバイオメトリクス決済カードの誕生によって、「パスワードや暗証番号不要の未来」がいよいよ現実になる可能性がある。

コンタクトレス決済カードの普及状況(VISAやMastercardの取り組み)

海外では「NFC決済」と呼ばれるEMVコンタクトレス決済が圧倒的な普及率を誇る。(EMV=Europay、Mastercard、VISAの頭文字を取ったICチップ搭載クレジットカードの統一規格)Mastercardの発行するコンタクトレス決済カードの顧客数は、2018年1月の時点で3億7,000万人を超え、発行国は111ヵ国に達した。

VISAの2019年5月の発表によると、国際規模では同社の決済の約半分(48%)がコンタクトレス決済であることが明らかになっている。コンタクトレス決済の人気が高いカナダやCEMEA(中央ヨーロッパ、中東、アフリカ)では約60%、欧州では3分の2を上回っている。一方、アジア太平洋圏の平均普及率は約3分の1と低めだ。

MastercardやVISA のような大手カード企業が、新たに発行されるカードや決済端末のコンタクトレス決済対応を義務付けている背景から、今後数年間で世界的に普及が拡大するものと予想される。

コンタクトレス決済の課題

セキュリティ面における懸念は、コンタクトレス決済の普及拡大とともに焦点が当てられている課題の一つだ。ロンドン市警の詐欺およびサイバー犯罪報告センターAction Fraudの報告によると、コンタクトレスカード先進国である英国では、2017年の被害総額は約71万ポンド(約9,600万円)だった。さらに、コンタクトレスカード関連の詐欺事件の被害総額は、2018年の10ヵ月間で約180万ポンド(約2億4,000万円)に膨れあがったのである。(2019年6月24日現在)

「端末にカードをかざすだけで決済が完了する」という手軽さは、裏を返すと「カードさえ入手すれば、誰でも使える」というセキュリティの低さにつながってしまう。防止策として、一部の国ではコンタクトレス決済の上限額が設定されているが、その金額はさまざまだ。例えば、日本のSuicaのように1回あたりの決済額の上限が2万円に設定されている場合(2019年6月時点)、ある程度自由に利用することができるが、イギリスのように上限が30ポンド(約4,000円)だと少額決済にしか利用できないため、利便性に欠ける。(2019年6月24日現在)

また、電子決済アプリケーションではデバイスに対するマルウェア、またはスパイウェアによる攻撃の危険性もあるだろう。安全性を高める目的でデータの暗号化が用いられているが、ハッカーは常に、あらゆる手段を使って貴重な情報を盗みとろうと画策している。

バイオメトリクスへの移行によるメリットと開発状況

そこで、既存のコンタクトレス決済の課題を克服する最新の決済法として、バイオメトリクス決済カードが開発された。指紋スキャナーとEMV技術を融合させることでセキュリティレベルを高め、盗難やハッキングでカードやPIN(暗証番号)が他者の手に渡った場合でも、悪用を未然に防止できるというわけだ。本人以外は利用できないため、上限額の設定も不要になる。

現時点において、バイオメトリクスのメリットを最大限に活かした決済ソリューション開発をリードしているのは、Mastercardである。同社は、世界トップクラスのICカードベンダーとして知られるオランダのデジタル・セキュリティ企業、Gemalto (ジェムアルト)と提携し、2017年4月に南アフリカの大手スーパーマーケットで、バイオメトリクス決済カードのテスト運用を成功させた。

Gemaltoの技術は、高セキュリティでありながら利用者側の手続は非常に簡単である。利用開始にあたり、カード保有者は取引先の金融機関に自分の指紋とカードを登録する。指紋は、カード内に暗号化された状態で保管され、世界中のEMVカード端末で利用可能になるのだ。店頭では、指紋認証センサーに登録した指を当てた状態でカードリーダーにカードを挿入、あるいはかざすだけで取引が完了する。

PINや署名も必要なく、「カードリーダーからの電力を利用して指紋リーダーを起動し、指紋認証を行う」という仕組みだ。Mastercardが競合しているVISAだけではなく、英国NatWest(ナットウェスト)銀行やロイヤルバンク・オブ・スコットランドといった金融機関もGemaltoの技術を採用し、開発・テストに取り組んでいる。バイオメトリクス決済カードのシェア争いが本格化するのは、時間の問題だろう。

こうした背景から、英国コンサルティング企業Goode Intelligence(グッドインテリジェンス)は、「バイオメトリクス決済カードの発行数は、2023年までに5億7,900万枚に達する」と予測している。

バイオメトリクスの必要性

ここで一つの疑問が生じる。バイオメトリクス認証による決済は、すでにスマートフォンや着用型のウェアラブルデバイスで可能だ。しかし、あえてバイオメトリクス技術を決済カードに持ち込む必要性はあるのだろうか。

市場データサイトStatistaは、世界中のオンライン・ショッピング利用者を対象に調査を実施した。その中で「好ましい決済手段は?」という質問の回答は、第1位がクレジットカードで42%、次いで電子決済39%、デビットカード28%という回答結果だった。(2017年3月実施)

つまり、消費者の間では「カード」という形態へのこだわりが根強いということだ。また、さまざまな事情により、スマホ決済を利用することができないオンライン・ショッピング利用者もいるはずだ。バイオメトリクス決済カードは、「コンタクトレス決済の進化版」という域を超え、あらゆる人々が安全に、かつ簡単に利用可能な決済手段として、社会に新たな恩恵をもたらす可能性を秘めている。

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