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AR/VRは既存のビジネス環境をどう変えていくのか

AR/VRは既存のビジネス環境をどう変えていくのか

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2019/06/18

これまでARやVRといった技術は、ゲームなどエンターテインメント分野での利用が中心であったが、不動産やインテリア、さらには医療などでもその革新性が注目されサービスを大きく変えつつある。製造業における試作や検査などの作業にも利用されるようになってきた。本記事ではさまざまな業界でゲームチェンジャーとして中核技術の1つとなり得るAR/VRの現状を説明する。

AR/VRとは

ARとVRはそれぞれAugmented Reality、Virtual Realityの頭文字をとったもので、日本語では拡張現実、仮想現実と呼ばれる。ARは現実世界を拡張する技術で、2016年に世界的に流行した「Pokémon GO」を思い浮かべるといいかもしれない。プレーヤーはスマートフォンのカメラを通して現実世界を見ることで、モンスターを見つけることができる。現実世界がモンスターのいる世界として「拡張」されているのだ。

一方のVRは、コンピューターが作り出した仮想的な世界を体験させる技術だ。ウェブブラウザで体験できる身近なVRとしては、Googleストリートビューがある。作品をVRで公開する美術館もある。ただし、本格的なVRを実現するデバイスは比較的高価で、利用できるソフトウェアが少ないため、まだ広く身近になっているとは言い難いが、AR同様2010年代後半から一般への広まりを見せている。類似技術として、仮想世界と現実世界を融合させるMR(Mixed Reality)といった技術もあり、これらを総称して「xR」を呼ぶこともある。

ARやVRの歴史は古く、そのアイデア自体は20世紀前半から語られてきた。研究と開発を経て、2016年ごろからAR/VRは一般にも広まりを見せ、ゲームチェンジャーとなり得る技術として改めて注目を集めるようになった。

これにはスマートフォンといった身近なインターネットにつながったデバイスがある程度の処理能力を持ち、ARアプリが提供可能になったこと、スマートフォンとヘッドセットを組み合わせた比較的安価なVRデバイスの登場などが寄与していると言えよう。Microsoft、Googleといった大手企業も、アプローチはそれぞれ異なるものの、デバイスを発売し、アプリケーション開発用のソフトウェアライブラリの公開を進め、AR/VRの広まりに一役買っている。

日本貿易振興機構が公開している資料「マーケットレポートVR/AR(産業用ソリューション)」によると、2020年には、世界のVR/AR市場規模は7,320億円(2016年時点)から約23倍の17兆1,960億円に、日本では141億円(2016年時点)から約15倍の2,111億円に成長する見通しだという。また、総務省が公開している三菱総合研究所の資料「VR/ARを活用するサービス・コンテンツの活性化に関する調査研究」によれば2017年の世界のAR/VR関連の投資額は25億ドルを超え、5年間、増加の一途をたどっている。

AR/VRの利用環境が整いつつある中、世界中で注目が集まっている。続いて、AR/VRが具体的にどのように利用されているのか事例を見てみよう。

顧客の体験を向上するAR/VR

AR/VRというと、ゲームをはじめとするエンターテインメント分野での利用を思い浮かべがちだが、この数年で、幅広い分野でのサービスの向上に利用されるようになっている。不動産業界がその一例だ。これまで不動産の賃貸や購入を検討する場合、オンラインで間取り図や写真を見ることはあっても、気になった物件については不動産会社の担当者とともに現地へ足を運んで内見することがほとんどだった。今、導入が進んでいるのが、オンラインで物件を360度内見できるシステムだ。国内だけでもオンライン内見を可能にするさまざまなVRソフトウェアが提供されている。

顧客が購入前に商品をイメージしやすくするものとしては、世界中で家具や生活雑貨を販売するIKEAのARアプリ「IKEA Place」を使うと、実際に家具を配置した様子を見ることができる。家具に限らず、洋服、靴、メガネといったアパレル商品の試着、髪型や髪の色をシミュレーションできるアプリでもARが利用されている。

その他、医療・福祉分野での利用がある。安静にすることが難しい子供が穏やかに医療行為を受けられるように、また病気のために制限があることを体験するためにVRを利用する動きがある。高齢化が進む中、高齢者に対してVRで旅行を体験できるようにしようというプロジェクトもある。

製造業でのAR/VR活用

顧客へのサービス向上を目的に、AR/VRを活用する以外の動きも出てきている。古くはパイロットのトレーニングにフライトシミュレーターが使われたり、医師が手術をイメージしやすくしたりするためにVRで予行演習するといった取り組みが知られていた。だが、現在AR/VRは製造業や物流にも広がりを見せているのである。

ソフトウェア大手Microsoftは、HoloLensと呼ぶゴーグル状のデバイスで現実世界に情報をオーバーレイし、操作することを可能にした。2019年5月時点で、最新版のHoloLens 2は法人向けに、開発用途で税込33万3,800円、商用利用の場合は税込55万5,800円で提供している。MicrosoftはHoloLensを「ビジネスに対応したMR(複合現実)デバイスである」と説明している。

HoloLensの価格が他のVRデバイスと比べて高価なのは、すべての機能を内蔵し、単体で機能するスタンドアロン型のデバイスだからだ。製造業の現場でHoloLensが活用される様子はトヨタ自動車の利用事例に見ることができる。ボディーのコーティングの膜厚を調べる検査は、紙を切って車体に配置し、2人がかりで丸1日かかる作業だが、HoloLensで作業を仮想化することで1人でも2時間で完了する。製造工程の効率化以外では、前述のIKEAのアプリケーションのように、工場での大型機器の配置シミュレーションにも活用できる。また、HoloLensを活用することにより、現場とマネジメントが問題を共有して、より近い「視点」で問題を共有することもできるという。

2000年代後半からの3Dプリンタの普及で素早く安価な試作が可能になり、2010年代後半に入ってAR/VRの活用で製造業の作業や働き方に新たなる変化が押し寄せている。

今後の展望

VR/ARデバイスというと、2012年に発表されたGoogle Glassを思い浮かべる人もいるかもしれない。Google Glassは大きな期待と注目に反し、広く一般に使われるものとはならなかった。一般向けの販売は中止されたが、2017年にGoogle Glass Enterprise Editionとして復活し、Google Glass Enterprise Edition 2の開発が噂されている。両手が自由になることの恩恵の多い、製造業をはじめとする産業分野では、今後AR/VRの活用が期待される。ビジネス向けAR/VR市場はGoogle、Microsoftといった大手を含め多くの企業が参入する市場となりそうだ。

一方で、一般のユーザーは日常でスマートフォンが身近になり過ぎてしまい、ウェアラブル型のAR/VR専用デバイスのメリットを感じにくい。Pokémon GOやIKEAのようなスマートフォンアプリで十分なのだ。

映画のような多くの人が楽しむエンターテインメントで利用されるようになれば、時間はかかるかもしれないが、一般ユーザーへもデバイスを含めAR/VRが浸透するのかもしれない。ユーザー数の多い広義でのエンターテインメントといえばSNSがある。Facebookは2014年にVRデバイスを開発するOculusを買収し、AR/VRを長期的な成長領域とみなしているようだ。また、Facebook researchは研究分野のひとつとしてAR/VRを挙げている。

ビジネス向けAR/VR市場では高価格帯の製品を販売しやすく、ソリューションを提供することでも収益をあげられることから、市場は今後ますます活況を呈すると予想される。ビジネス向けAR/VR市場の盛り上がりが一般の市場にもデバイスも含めて波及するのか、それともFacebookのような企業がまったく新しいアプローチで一般へのAR/VRの浸透をリードするのか、今後の動向に注目したい。

署名: Aki T.

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