tr?id=1970953653177752&ev=PageView&noscript=1

国際IT企業が競う ブロックチェーンで進化するクラウド

国際IT企業が競う ブロックチェーンで進化するクラウド

2,062view

2019/06/13

セキュリティーやクラウドの弱点を補うため、「ブロックチェーン技術をクラウドに応用する」という画期的な試みが、大手企業間で加速している。

Amazon傘下のクラウドサービス提供企業であるAmazon Web Services(AWS)の「Amazon Managed Blockchain 」をはじめとしたクラウド型ブロックチェーンサービスの出現により、ブロックチェーン活用の幅が急速に広がる可能性が高い。

クラウドのメリット・デメリット

クラウド(コンピューティング)とは、インターネット上に構築されたクラウドサービスプラットフォームを介し、必要に応じて様々なサービスを利用するという、いわば計算能力やデータ、アプリケーションなどのオンデマンド配信である。

クラウドの利用者は、PCやスマホなど様々なデジタルデバイスから、ネットワーク経由でクラウド内のソフトやアプリケーションを利用できる。

そのため、従来のように自社が所有する機器へ直接ソフトやデータを保存したり、インフラを構築したりする必要がなく、導入の手間や初期費用、保存容量などの点で、従来の常識を覆した。その他、更新やメンテナンス、バックアップが不要、様々なデジタルデバイスからアクセスできるといった利便性の高さから、ビジネス市場における需要が急激に拡大している。

企業向けのクラウドサービスでは、自社サーバーやシステムに依存することなくリソースを利用できるため、時間とコストを大幅に削減でき、その結果、組織の俊敏性が著しく向上するといった利点もある。

クラウドは夢のテクノロジーか

こうした利点のみに焦点を当てると、クラウドは「夢のテクノロジー」のように思えるが、実際にはデメリットも多く指摘されている。

第一には、仕様の柔軟性に欠ける点だ。アプリケーションの機能があらかじめパッケージ化されてしまっているため、カスタマイズなどを施すのが難しい傾向にある。第二には、セキュリティーへの懸念である。組織外部のクラウドにデータを保管するという事は、漏えいのリスクがつきまとうことを意味する。

実際、クラウドに保管された重要機密や個人情報を狙ったハッキングが多発している。各サービスプロバイダーがセキュリティー強化に挑んでいるものの、そのレベルは様々だ。英国のiPhoneユーザーから、個人情報を不正に収集したとして最大43億ドル(約4,730億円)の損害賠償を求められたGoogle(ただし2018年10月の裁判で訴え無効の判決)や、4月にWindowsのセキュリティー更新プログラムと一部のマルウェア対策ソフトの非互換問題を公表したMicrosoft、2016年に6,800万人のアカウント情報を流出させたDropbox、会員にフィッシングメールが届くことが問題になっているAmazonなど、比較的信用度の高いイメージのある大手企業でさえ、データ保護、プライバシー、ライセンシング、データの管理および所有権をめぐり、課題を抱えている状況だ。

第三には、システム障害などの際、「保管したデータに全くアクセスできない」といった一時的な不具合が生じるだけでなく、最悪の場合はデータが永遠に失われるといった深刻な事態に陥る可能性もあるということだ。

ブロックチェーン技術で「最強のクラウド」を構築

これらのクラウドサービスの弱点を克服するソリューションとして、ブロックチェーン技術が注目を集めている。ブロックチェーンが持つ「改ざん不可能」、「分散型ネットワーク」などの特性を生かし、透明性が高く、安全で半永久的に使い続けられるクラウド環境を構築するという発想だ。

例えばブロックチェーン技術を融合させた「分散型クラウドストレージ」では、プロバイダーや管理企業がデータを保管する代わりに、ブロックチェーンネットワークに保存する。つまり、「データの管理者」が存在しないため、プライバシーや改ざんのリスクが著しく軽減する。

さらに、データは暗号化され、各ユーザーは自分の暗号化キーを制御することで、解読および攻撃が困難となる。また、分散型クラウドストレージ(分散型ネットワーク)は、数百万ものコンピュータやサーバーに相当するため、集中型ネットワークと比較すると、低コストで可用性が高いという利点がある。

AWS「ブロックチェーン・ソリューションの構築環境」

AWSは、ブロックチェーン分野の主要プレーヤーの1つである米ConsenSysや、ブロックチェーン・コンソーシアムであるR3とパートナーシップを組み、自社のクラウドサービスAWS上で、ブロックチェーン・ソリューションの構築環境を開発者向けに提供している。

AWS上に構築されたブロックチェーン「Amazon Managed Blockchain」は、多くのAWSサービスと統合可能で柔軟性が非常に高い。Hyperledger Fabric、Hyperledger Sawtooth、Ethereumなど、幅広いブロックチェーンフレームワークが特徴で、データ分析から参加者の秘密キーの管理、ブロックチェーン以外にデータを置くオフチェーンデータストレージなど、様々な活用法が考えられる。

AWSのブロックチェーン・クラウドソリューションを使用することで、開発者は基盤となるブロックチェーンと補足アプリケーションへの接続を、ワンクリックで構築できる。また、たった数回クリックするだけで、世界中の複数の場所にアプリケーションを構築できるのも特徴だ。

クラウドの理想像を実現しているブロックチェーンというアーキテクチャー

前述したように、ブロックチェーンとクラウドの主な違いは、クラウド経由で配信されるデータが1つの企業の集中型データセンターに保存されるのに対し、ブロックチェーン上のデータはサーバーコミュニティ全体に保存される点だ。

分散型ソーシャルアプリ・スタートアップである米Lumeosの創設者兼CEOであるアリ・アイヤーシュ氏は、「ブロックチェーンは、クラウドが本来そうあるべきだと想定されていたもの」と発言している。

GoogleやAmazonでソフトウェア・エンジニアとして経験を積んだ同氏曰く、ブロックチェーンは、「中央集権的なトランザクション認証の必要性を排除し、クラウドの最大の課題であるセキュリティーリスクを解決する、真に透明で相互接続されたネットワーク」なのだ。

同氏の言葉を裏付けるように、より安全で利用しやすいブロックチェーン開発・採用環境の整備が着実に進んでいる。

クラウドインフラ大手であるAzureを運営するMicrosoftは2018年6月、75億ドル(およそ82億5,000万円)を投じ、ソースコード共有プラットフォーム「GitHub」の買収を発表した。世界中で2,800万人を超える開発者が利用するプラットフォームと協働することで、開発環境を向上させると同時に、企業によるGitHubの利用を加速させ、Microsoftの開発者向けツールとサービスを新しいユーザー層に提供することが狙いだ。圧倒的な影響力を持つ巨大IT企業が開発者プラットフォームを握ることで、このケースで言えばMicrosoftがブロックチェーンへの注力を表明した際に、ブロックチェーンの開発、導入環境が一気に整う可能性も出てくる。

当然ながら、一部の開発者からは、Microsoftのような大手企業の傘下となることで、「同プラットフォームのオープン性が抑制されるのではないか」との懸念も上がっている。逆に言えば、それだけ世界の開発者に与える潜在的なインパクトが大きいことになる。

いずれにせよ、国際IT企業による「ブロックチェーン×クラウド」への動きは、今後益々加速していくものと推測され、そこから次々に新たなイノベーションが生まれるだろう。

1兆ドル市場といわれるクラウドが、ブロックチェーンよりもはるかに早いペースで社会に浸透したのは周知の事実だ。そして今、ブロックチェーンがクラウドのペースに追いつこうとしている。もちろん、ブロックチェーン×クラウドの組み合わせにも課題がある。例えば、大量の取引を適切な時間内で処理できるかどうか、といったキャパシティの問題などである。これらの課題を1つ1つ解決することで、プラットフォームとしての信頼を得ていく必要がある。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

INNOVATION HUBの最新情報をお届けします

プログラム

スタートアップ・アクセラレータ

  • MUFG DEGITAL ACCELERATOR

コンテスト/ハッカソン

  • 三菱UFJ銀行 FINTECH CHALLENGE 2018
  • 三菱UFJ銀行 FINTECH CHALLENGE 2016
  • 三菱UFJ銀行 FINTECH CHALLENGE 2015

月間記事ランキング

MUFG関連記事

Facebook公式ページ