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GAFAに死角はあるか

GAFAに死角はあるか

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2019/06/05

今、「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業が世界を席巻している。Google、Apple、Facebook、Amazonの4つの世界的企業の頭文字を合わせて「GAFA」と呼び、ここ数年で急成長している。今や世界の時価総額トップ10に4社全てがランクインしている状況だ。世界中でIT化が進み、ボーダーレス化していく中で、このGAFAの勢いはどこまで続くのか。また、彼らのビジネスに死角はないだろうか。検証してみたい。

ここ10年で急成長した「GAFA」

Google、Apple、Facebook、Amazonの4社は、今や押しも押されもせぬ大企業だ。しかし、忘れてはならないのが、この4社は、あくまでもここ10年で急激に成長してきた、ということである。

10年前の2008年時点で、4社の中で時価総額が最も高いのはGoogleの約8兆8,000億円。時価総額の世界ランキングでも31位にとどまり、大手IT企業の一角という位置付けでしかなかった。しかし、2019年3月末時点では、Apple、Amazon、Googleはそれぞれ時価総額90兆円を超え、それぞれ世界ランキングの2、3、4位、またFacebookも50兆円を超えて6位にランクインするなど、大躍進を見せている。時価総額首位のMicrosoft、7位のアリババ、8位のテンセントを含めると、ランキングトップの10社のうちIT企業が7社を占めており、まさにIT企業の全盛期と言える。

GAFAにも死角は存在する

GAFAは、どの会社も人工知能(AI)やIoT(Internet of Things)に積極的に投資しており、現時点では死角がないように見える。しかし、GAFAといえど、弱点がないわけではない。では、彼らにとって何がリスクになるのだろうか。

今回は、GAFAのそれぞれを、「イノベーション」、「成長性」、「収益性」の観点で見てみる。それぞれを比較することで、GAFAのどの部分に死角があるのかを検証してみたい。

カントリーリスクはなくなっていない

まず、一つ大きなリスクとしてあるのが、「カントリーリスク」である。

彼らがその売上や利益の大きさ以上に、投資家に期待されているのは、ITという新しいフィールドが、世界中でビジネスを展開するための基盤になっているからだ。しかし、ここ最近になって、そのグローバルでの展開力に疑問が生まれるケースが増えてきている。

その最たるものがチャイナリスクである。実際に、2019年4月にはAmazonが中国事業から撤退を決定した。既にGoogle、Facebookは中国でビジネスを実施しておらず、GAFAのうち、中国市場でビジネスを手がけているのはAppleだけである。そのAppleも2018年の10-12月の決算で、中国での事業は26%の減収となっており、苦戦を強いられているのが現状と言える。

中国は12億人もの人口を抱える巨大市場である。様々な事情はあるにせよ、4社ともが中国で苦戦を強いられており、この市場を奪えずにいる。その一方で、中国市場におけるGAFAの領域で成長してきたのが、アリババやテンセントなのである。

さらに、ヨーロッパ市場においても、暗雲が立ち込めている。フランスでGoogleやAppleなど大手IT企業に課税を行う「デジタル税」法案が可決されるなど、GAFAにとってはネガティブなニュースがあった。日本でも公正取引委員会が彼らの調査に乗り出すなどの動きがあり、今、彼らは、米国外のあらゆる地域で、逆風を受けていると言える。今後もこういった状況が続くとすると、GAFAの優位が変わるとまではいかなくても、グローバルでの成長スピードは鈍化する可能性がある。

Googleはイノベーションが成長のカギ

では、個別の企業を見ていこう。まずはGoogleから、死角を探ってみたい。

Googleの持株会社であるAlphabetは2018年、売上高が23%増、税引き前利益では28%増と、堅調な水準を維持している。また、純利益率も22%と、以前と比較すると低下しつつあるとは言え、高い水準を保っている。成長性や収益性においては、申し分ない。

一方、イノベーションにおいては、現状課題が残っていると言わざるを得ない。実際、広告収益を最優先するという従来の戦略に沿うものであるものの、売上高に占める広告事業の割合が実に85%以上を占めている。現状、アプリやクラウドなどの売上は、全体の15%にも満たないのである。その中でも、新規事業と呼ばれるセグメントは、0.4%弱にすぎない。

実際、高い利益率が期待できるクラウドの売上高は、Amazonやマイクロソフトに大きく見劣りしており、広告以外のビジネスでは拡大の目途が立っていないのが現状である。現在は、無人タクシーを始めるなど、自動運転などの分野で新しい活路を見出そうとしているものの、まだ本格的なビジネス展開には至っていない。広告事業が堅調に成長している間に、次のビジネスのチャンスを探す必要があるのだ。

Appleはサブスクリプションモデルへの切り替えがうまくできるか

次にAppleを見てみたい。Appleは2018年の四半期決算の売上高はマイナス5%だった。純利益は微減にとどめたものの、売上高のマイナスは市場の失望を呼んだ。ただ、税引前の利益率は28%となっており、引き続き高利益体質は維持できている。Appleの売上高がマイナスに転じたのは、iPhone事業の不振、とりわけ中国市場のビジネスが不調だったからだ。今や、iPhone事業は売上の60%を超えている中で、その主力製品が不調に陥っている。成長性という面で、現在、Appleは苦境に立たされているのである。

2019年3月下旬に、Appleは、Apple Arcadeを含む、4つのサービスを新しいビジネスとしてローンチすることを発表した。今回発表したビジネスは、いずれもソフト面でのビジネスであり、サブスクリプションモデルのビジネスだ。この新しいビジネスを軌道に乗せることができるかどうかが、今後のAppleの成長に大きくかかわってくる可能性がある。

Facebookにも新しいイノベーションが求められている

Facebookは、先日発表された第1四半期の決算で、売上高成長率25%、営業利益率22%と、引き続き高い成長を見せた。営業利益率は、前年が46%と高い水準のため、物足りないようにも見えるが、一時的なコストの増加であり、また、それでもなお22%と高い収益性を誇っている。

一方で、Facebookも、Googleと同様の課題を抱えている。同社も、売上の大部分を広告収入が占めている。しかも、Facebookの広告は、個人情報や人と人との繋がりなど慎重な扱いが求められる情報に基づいて構成されている。ウェブ上での個人情報の保護やデータの取り扱いの重要性が年々増している中で、Facebookはデータの不正取得や情報漏えいなど、その渦中にある個人情報問題に直面している。まぎれもなく、Facebookはそういったセンシティブなデータを利益の源泉としている。新しいビジネスも特に生まれていないため、Facebookも今後はイノベーションの推進に力を入れる必要がありそうだ。

Amazonは小売りでの低利益を打破できるか

Amazonは、先日発表された第1四半期を見ると、売上高成長率は17%、営業利益は197%成長した。売上以上に、営業利益の成長の大きさに注目が集まっている。

営業利益の成長はクラウドビジネスを手掛けるAmazon Web Servicesのビジネス伸長から来ている。クラウドは売上高で41%の成長、営業利益で59%の成長を見せた。今後も、既存の基幹システムのクラウドへの刷新や、AIやIoTを活用したビジネスの拡大など経済や社会全体のIT化に拍車がかかると見られており、さらなる成長が期待できるクラウドビジネスで、AWSは世界最大のシェアを獲得している。

一方、そんなAmazonにも課題はある。それが本業である小売り事業の利益率の低さだ。北米でもわずか6%、北米以外ではマイナスである。

これまで、Amazonは、長期的なキャッシュフロー確保のために常に投資を続けてきた。しかし、小売り事業においては、その投資がまだ利益という成果で還元されていない。クラウド事業や広告事業が伸長するなか、小売り事業、特に北米以外の小売り事業の収益性の改善が、Amazonの今後の課題と言える。今後、利益率の向上が見込めなければ、中国同様、他のエリアでの撤退も考えられる。

10年後のGAFAはどうなっているだろうか。

Google、Apple、Facebook、Amazonの4社は、それぞれが各分野で圧倒的な強みを持っているものの、各社ともがそれぞれの課題を抱えているのも事実だ。しかし、彼らはイノベーションで課題を解決し、成長してきた企業である。10年後、GAFAはこれまでと同様に課題を解決し、さらに地位を強固なものにしているのか、それとも淘汰されてしまうのか。今後しばらくは主役であることに変わりはないと考えられるが、その先の動向にも注目していきたいところである。

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