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スタートアップの経営者が認識しておくべき「マーケティング」の劇的な変化

スタートアップの経営者が認識しておくべき「マーケティング」の劇的な変化

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2019/03/27

人工知能(AI)やIoT(Internet of Things)、クラウド、ブロックチェーンなど最新技術が次々と登場する中で、今後の各市場を勝ち抜くために欠かせないのは、革新的な技術を開発・活用する力である。

しかし、技術力と同様に重要なのが、ターゲットとする市場にどのように向き合い、挑戦していくのかを考えるマーケティングの視点である。

近年の技術革新を背景に、従来とは手法がかなり異なってきている点を理解しておかないと、限られた経営資源を効率的に活用する必要のあるスタートアップ企業が市場で存在感を発揮することは難しい。ここでは、今把握しておくべき、マーケティングにかかわる大きな変化について解説する。

ショッピング文化に変化の波

最初に、現在マーケティングの現場に起きている変化について見てみたい。セールスフォース・ドットコムが実施した2018年のホリデーシーズン(11月20日から12月26日)のショッピングについての調査結果では、オンラインでの注文件数は2017年に比べて18%増加、売上高も12%増加し、過去最高を記録した。オンライン購入が着実に伸びていることが分かる。

実際に、モバイルデバイスからの注文数が初めてPCを上回り、クリスマスには閲覧は全体の74%にも上ったという。さらに、サイバーウィークに商品を購入した顧客の16%が、AIによるおすすめ情報を参考にしており、AIが売上高全体を押し上げる動きが見られた。

さらに、デジタルウォレットの利用拡大により、シームレスな支払い処理が一般化してきた。モバイルで買い物をした人の28%がApple PayやPayPalなどのデジタルウォレットを利用。商品を見つけてから決済までの流れがスムーズなため、その他の決済方法と比較して処理にかかる時間が平均90秒間も短縮される。

ソーシャルメディアの利用が急拡大していることも見逃せない。ホリデーショッピングシーズン全体を通して、ソーシャルトラフィックの量は2017年より34%増加し、そのうち93%がFacebookとInstagramからのものだった。

マーケティングに決定的な変化

前述のように、消費者の購買行動に急速な変化が訪れていることが既に数字に現れ始めている。企業は、その変化に合ったマーケティングの手法を再検証する必要がある。

最高マーケティング責任者(CMO)の役割変化について調査しているアクセンチュアのデジタルコンサルティング本部、望月良太氏は、従来のCMOの役割について、広告・広報部門が主な担当者で、成果をチャネルやキャンペーン単位で個別に計測するという特徴を挙げる。

だが、成果を取り組み単位で計測する点をはじめ、従来の在り方が、変化する市場環境の実態と合わなくなってきているという。

「88%の顧客は、自分の経験をパーソナライズしてより魅力的でニーズに合った体験を提供してくれる会社を求めている」(アクセンチュア調査結果)

端的に言うと、従来のマーケティング手法では、顧客ごとにパーソナライズした体験の提供というニーズに応えきれないというのが、最も大きな課題だ。CX(顧客体験。顧客が商品やサービスに興味を持ち、利用するまでの一連の体験、アフターサービスなども含む)が勝負の分かれ道になる局面では、従来のような縦割り体制から提供される体験では印象が薄くなってしまう。

「CXは現代の企業にとって新たな戦いの場」(望月氏)であり、調査対象企業のうち87%が、「従来型の体験では顧客を満足させることができない」と回答しているという。

アメリカの調査会社フォレスター・リサーチは、伝統的なリテールバンクにおいて、CXのスコアが1ポイント上昇すると、年間収益が1億2,400万ドル増加するとの試算を公表しており、CXの向上が企業の利益拡大を促すことを裏付けている。

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(出典:アクセンチュア調査結果)

全社一丸となって生み出す顧客体験

では、どうすればCXをはじめとしたマーケティング指標を向上させ、競争力を高めることができるのか。その答えが、マーケティングの全社最適化であるとアクセンチュアは強調する。

「CMOは今こそ、企業全体でどのように顧客体験を形成し、提供していくかという重要課題に取り組むべき」という。営業、人事、経営企画、商品開発、情報システムといった各部門と並列でマーケティング部門が存在するのではなく、マーケティング部門が中心となって各部門との連携を図り、協働した上で、企業全体として最も強力な顧客体験を作り上げられるようにする。

各部門の潜在能力を最大限に引き出し、さらに代理店や技術パートナーとの連携も強めることで、最も質の高い顧客体験を提供できるか。それが、成功を占う基準となる。

消費者の意識や行動の変化、ニーズの多様化、グローバル化の側面に加え、マーケティングのプラットフォームも多様化し、ソーシャルなど各種デジタルメディアが台頭している。

今後のマーケティング実行には全社最適の視点が不可欠となってくる。デジタル人材の育成や配置といった組織面、企業として一貫した顧客体験を提供するための全社横断的な目標を設定できるかを左右する業務プロセスの面、顧客データを全社的に活用するためのシステム環境の整備の面など、さまざまな側面において、縦割りではなく、一体的なつくり方が求められているという。

「マーケティング=広告、宣伝」という狭い定義は捨て、全社運動としてのマーケティングを取り入れる必要があるとアクセンチュアは強調する。

大企業はもちろん、スタートアップ企業が今後様々な戦略を策定する際に、この視点を取り入れることは、素早く市場にアプローチし、収益を確保していく上で不可欠な取り組みと言えそうだ。

(怒賀新也)

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