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スマートウォッチの未来 「ハイブリッド」は主流となるか?

スマートウォッチの未来 「ハイブリッド」は主流となるか?

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2019/03/22

スマートウォッチ、出荷台数は2022年までに1.7倍に拡大

腕時計、衣服、アクセサリー、イヤホン、メガネなど、様々なアイテムが登場しているウェアラブル市場。幅広い年齢層をターゲットに、利用シーンはスポーツからエンターテインメントまで広範囲にわたる。

IT専門調査企業のIDCは、ウェアラブル・デバイス市場シェアの58.2%を占めるスマートウォッチの総出荷台数が、2018年に7,280万台、2022年までには1億2,220万台に達すると予測している。

ウェアラブル・デバイス全体の出荷台数にはスマートウォッチほどの勢いはみられず、2018年の予想出荷台数は1億2,530万台(前年比8.5%増)、2022年までは1億8,990万台と、スマートウォッチと比較して緩やかな成長となりそうだ。

若年層がスマートウォッチに求める進化は「多機能性」

スマートウォッチに関心を示す発展途上国の消費者が増加していることに加え、先進国の消費者の間でより高機能な製品への要求が高まっていることが、スマートウォッチの需要が継続的に拡大している2大要因と推測される。

先進国では、消費者の世代交代に伴い、スマートウォッチに求める役割にも変化がみられる。年配層が「ガジェット(電子機器)」として利用しているスマートウォッチを、若年層は「高機能な腕時計」や「小型版スマートフォン」として位置付けている。

そのため、単なるベーシックな機能を備えたものよりも、スマートフォンのような多機能性や利便性を兼ね備えたものへの需要が高まっている。

米市場調査企業NPDの調査によると、ウェアラブル・デバイス「Fitbit」の主要利用者が年齢35歳以上かつ所得10万ドル超の比較的裕福な年配層であるのに対し、「Apple Watch 」を筆頭とするスマートウォッチは、所得4.5万ドル以下の若年層が主要利用者である。フィットネス・トラッカーとして一世を風靡した「Fitbit」の売上高が低迷する一方で、決済機能や音声通話機能などが付いた「Apple Watch」が順調にシェアを拡大している理由は、この辺りに起因するものだろう。

実際、IDCの分析によると、消費者の嗜好はより洗練されたものへと変化している。スマートフォンのいつでも使える便利さと、通信におけるフォーマットやデバイスの違いを自動調整するストリーミングマルチメディアのエンターテインメント性をスマートウォッチに融合させたという点で、Apple Watchが絶大な支持を誇るのは当然の成り行きである。

同様の傾向は日本でも報告がある。IoTNEWS生活環境創造室の調査からは、若年層の間でスマートウォッチへの関心が高まっていることが明らかになった。15~59歳のスマートフォン利用者のうち、10代男性の47%、10代女性の30%が、スマートウォッチを利用したいとの意向を示した。

「ハイブリッド・スマートウォッチ」

こうした傾向はハイブリッド・スマートウォッチの登場という形で、既に顕在化しはじめている。

テクノロジーによってファッション性と機能性を融合させたハイブリッド・スマートウォッチは、スマートウォッチ本来の機能はそのままに、デザインのみを従来の腕時計に近づけたものだ。

「Fitbit」や「Apple Watch」のように画面タッチで操作する必要もなく、外見はあくまで普通の腕時計である。シンプルだが洗練されたデザインのものが多く、フォーマルな席で着用していても違和感がない。

リチウム電池使用のものが多いため充電のわずらわしさがなく、「スリープモードですぐに時間がチェックできない」という、既存のスマートウォッチの不便さから解放されるメリットもある。

従来のスマートウォッチが機能性優先であるのに対し、ハイブリッド・スマートウォッチは高級感とファッション性を優先させた印象が強い。

様々なファッションブランドが市場に参入する中、特に米アパレル企業Fossilは独自のハイブリッド・スマートウォッチにとどまらず、Kate Spade New YorkやDIESELといった自社ブランドを介し、豊富な商品ラインを展開している。

他にもGPS機器メーカーGarminが開発した「Garmin Vivomove HR」、シンプルなデザインに徹したデンマーク発の「Skagen Connected」、クラフトマンシップを感じさせる「Kronaby」など、豊富な商品がラインアップされている。消費者は、その中から、それぞれの予算や目的、ライフスタイル、センスに合ったデザインの商品を選ぶことができる。

ハイブリッド・スマートウォッチが主流となる可能性

本来、スマートウォッチとは異なる顧客層をターゲットにしているため、ハイブリッドが従来型の商品を差し置いて主流になるとは予想し難い。

機能性だけを重視するのであれば、ハイブリッドは未だApple Watchのレベルにはほど遠い。よって、「利用シーンに合わせて両者を使いわける消費者が出てくる」と予想する方が自然だろう。

ただし、スマートフォンが普及している環境で生まれ育った世代がスマートウォッチを「腕時計」とみなしている事実を考慮すると、ハイブリッドの機能や利便性がスマートウォッチに追いつく、あるいは追い越すレベルまで進化すれば、立場が一気に逆転する可能性も十分に考えられる。

次世代スマートウォッチ、予想される3つのシナリオ

AppleやFitbitなどスマートウォッチ市場のトッププレーヤーは、次世代の顧客獲得に向けての戦略構築を余儀なくされている。今後の「次世代スマートウォッチ」開発にあたり、3つのシナリオが予想される。

1つ目のシナリオは、スマートウォッチの機能をスマートフォンへ近づけることだ。現時点においては、2018年に発売された「Apple Watch Series 4‎」がそれを体現している。表示が見やすい大型の画面、音声通話機能、iPhone通知との連携、Apple PayやSuicaといった決済機能、Apple MusicやSiri、カメラ、ヘルストラッカー機能の利用など、スマートフォンに最も近いスマートウォッチだ。

次なる世代が「小型版スマートフォン」を求めているのであれば、Apple Watchのさらなる進化、あるいはよりスマートフォンに近い新たなブランドが登場する可能性が考えられる。

2つ目のシナリオは、高級感とファッション性の追求。既にロレックスやフランク・ミュラー、タグホイヤーといった高級腕時計ブランドがスマートウォッチ市場参入に関心を寄せている。高級ブランドとのコラボレーション要素をさらに強めた「最強のハイブリッド・スマートウォッチ」が市場に出回る日も、そう遠くはないかも知れない。

3つ目のシナリオは、さらなるテクノロジーの進化。AI(人工知能)技術を取り入れたチャットボット付きスマートウォッチや、AIカメラ(人工知能を用いて被写体を認識し、最適な撮影モードを自動的に設定する等の機能を備えたカメラ)を内蔵するタイプなどが予想される。

アクセサリー的な要素を持った商品で、スマートウォッチ市場参入を狙うメーカーも目につく。例えばソニーは、スマートウォッチ機能を内蔵した腕時計バンド「wena wrist」を開発した。手持ちの腕時計のバンドをwena wristに交換するだけで、あらゆる腕時計がスマートウォッチに早変わりする。様々な情報は、バンド部分の有機ELディスプレイに表示される。

スマートウォッチは今後も次世代デバイスと融合し、消費者の需要に応えながら絶え間なく進化を続けていくだろう。

(アレン琴子)

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