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UberやAirbnbが頼りにする「新興国版ペイパル」ウルグアイ発フィンテックdlocalとは?

UberやAirbnbが頼りにする「新興国版ペイパル」ウルグアイ発フィンテックdlocalとは?

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2019/02/18

Photo by rawpixel on Unsplash

9億人のネット人口増、新興国市場のデジタル消費ポテンシャル

成長速度と可能性に注目が集まる「新興国市場」。中間層の台頭やインターネット、スマホの普及で今後デジタル消費が大幅に伸びると予想されている。

ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が2018年9月に発表したレポートによると、世界のGDPのうち新興国が占める割合は、2000年は11%だったが2016年には28%に高まり、世界全体の消費ではその割合が11%から24%に伸びた。

また現在新興国でインターネットにアクセスできる人は21億人いるとされるが、2022年には9億人増の30億人に達する見込みという。ネットがすでに普及している先進国で予想される増加数は8,000万人のみ。今後、新規でネットにアクセスできる人の増加は90%が新興国で起こることになる。

これにともない新興国におけるEコマース市場も急拡大すると見込まれている。新興国でのEコマース売上高は、2017年に8,000億ドル(約90兆円)に達した。これは新興国の小売市場全体の15%を占める規模という。さらに、オンラインの情報に影響を受けた購買は、1兆8,000億ドル(約200兆円)に上り、2022年には3兆9,000億ドル(約440兆円)に達する見込みだ。

なおBCGがこの予測の算出にあたり参照したのは、ブラジル、中国、インド、インドネシア、ケニア、モロッコ、ナイジェリア、フィリピン、南アフリカの9カ国。

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Photo by sergio souza on Unsplash

新興国のEコマース、デジタル消費の急速な高まりを受け、アマゾン、Uber、Airbnbなど同市場への参入を試みるグローバル企業が増えている。

インターネットを介した販売やサービスは一見スムーズなビジネス展開ができそうだが、新興国特有の理由によって事業がつまずく場合も少なくない。その理由の1つが「決済」だ。

日本や欧米では、ほとんどの場合クレジットカードで海外のモノやサービスを購入することが可能だ。一方、新興国では海外トランザクションに対応したクレジットカードやデビットカードは普及しておらず、独自の決済手段が広く普及している。

たとえばブラジルでは、国内だけでしか利用できないクレジットカードがEコマースオンライン決済でもっとも多く使われており、その割合は45%に上る。一般的な国内外で利用可能なクレジットカードは26%にとどまる。またブラジルではBoletoと呼ばれる同国独自のキャッシュベースの決済手段が広く使われている。Boletoはブラジル国内の個人・法人・政府機関の資本流動性を高めることを目的として、同国銀行業界団体FEBRABANが運営する決済手段である。支払いは、ATMや銀行支店、銀行ウェブサイトを通じて行われる。これも国内だけでしか利用できない。

中国では、日本でも知られるようになったAlipayやWeChat Payなどのモバイルペイメントが主流になっており、その割合は49%に上る。その他は、クレジットカード決済が25%を占めるほか、中国工商銀行などを通じた電子送金もよく利用されている。

Paystream Advisorの調査によると、国内だけでしか利用できないローカルな決済手段に対応できていないグローバル企業では、顧客の決済時のエラー率が上昇する傾向が明らかになっており、ローカルな決済手段への対応の必要性を示している。

細分化した新興国の決済手段を統合、ウルグアイ発フィンテックdlocal

ウルグアイ発のフィンテック・スタートアップdlocalは、新興市場に特化した決済プラットフォームを提供し、同市場での展開を目指すグローバル企業を支援している。

ウルグアイ出身の創業者のSebastian Kanovich氏は、ウルグアイで自身が体験したオンライン決済の不便さを解消すべく、2016年にdlocalを立ち上げた。Kanovich氏は、ウルグアイの大学を卒業後、イスラエル・テルアビブ大学と米スタンフォード大学でビジネスを学んでおり、イスラエルと米国のスタートアップコミュニティに強いネットワークを持っている。

同社のプラットフォームは新興各国300以上の決済手段に対応。クライアントは、APIを通じてプロダクトやサービスを地元の決済手段に対応した形で提供を受けることが可能となる。

前述したとおり、新興各国では独自の決済手段が普及しており、細分化された状況となっている。各国の税制や金融規制を含め、これらの決済手段すべてに自力で対応するのはオンラインサービスやプロダクトの提供企業にとって現実的ではない。dlocalはこのギャップを埋めるソリューションを提供しているのだ。

セキュリティソフトのAvastの事例は、新興国独自の決済手段を提供する重要性を示している。同社は2001年から新興国向けにプロダクトを展開。無料版を提供し、アップグレード時に課金する仕組みだが、海外利用可能なクレジットカードでしかサービスを購入することができず、当時多くの見込み客を逃した。一方、dlocalを通じて国内クレジットカードなど地元の決済手段に対応したところ、購入コンバージョン率はメキシコで15%、アルゼンチン、チリ、コロンビアでは25%増加したという。

このほかdlocalのプラットフォームを利用している企業には、Uber、Airbnb、Booking.com、Wix、Nike、ソニーなど新興市場で積極的に事業拡大を目指すグローバル企業が名を連ねている。

また、最近ブラジルなどの中南米市場へ進出を始めた中国配車最大手Didiもdlocalを利用している。中南米の配車サービス市場ではUberが先行しており、Didiはそれを追いかける形となる。

中南米の配車サービス市場では、海外プレーヤーにとってのdlocalに相当するようなオンライン決済プラットフォームの重要性が高まる可能性がある。

中南米では、クレジットカードの普及率が低いため、配車サービスを利用する際には、現金での決済需要が相応にあるといわれている。ロイター通信によると、Uberがブラジルで現金決済の受け付けを開始したところ、現金狙いの強盗にドライバーが襲われるケースが増えたという。Uberはこの状況を受け、ドライバーを守るため、サービス利用者の身元確認を強化するツールなどを導入した。

一方Didiはメキシコ市場では現金決済を受け付けない方針を明らかにしている。メキシコでは現金決済を導入した方が売上増が見込めるといわれているが、まずはドライバーの安全を優先する姿勢を示し、安全・高品質を重視したブランディングを行うようだ。決済はクレジット・デビットカードなどでキャッシュレス化。メキシコ市場にも対応しているdlocalが支援していると思われる。

中南米でのUberとDidiの競争のように、dlocalの存在は新興国市場におけるグローバル企業の競争を促進するものといえるだろう。中南米だけでなく、アジア、中東、アフリカにも展開するdlocalが今後どのような競争を生み出すのか、その動向から目が離せない。

文:細谷元(Livit

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