tr?id=1970953653177752&ev=PageView&noscript=1

トップ・エンジニアはこうして確保する 世界の人材採用の実情とは

トップ・エンジニアはこうして確保する 世界の人材採用の実情とは

3,786view

2018/12/19

国家レベルで研究・開発が急速に進む人工知能(AI)分野だが、優秀な人材不足は世界的に慢性化しており、今後さらに加速すると予想されている。効果的なAI人材争奪戦略は「好待遇」が重要なカギを握っているが、優秀なエンジニアが惹かれる職場環境とは具体的にどのような環境を指すのか? AmazonやMicrosoft、Uberを含む大手IT企業が実践しているトップ・エンジニアの確保手段などを例に、世界の人材採用の実情を見てみよう。

エンジニア採用の現状

求人検索エンジン「Indeed」が求人広告に基づいて分析した結果、AI関連職の募集は過去3年間で2倍以上に増えており、過去1年半は継続的な伸びを示している。主に機械学習エンジニアやコンピュータービジョンエンジニアの求人広告が増加している。

特に人材確保争奪戦が激化しているのは、データサイエンティストやアナリスト 、ソフトウェアエンジニアとアーキテクト、機械学習エンジニア、リサーチサイエンティスト、フロントエンドデベロッパーといった分野だ。

対照的に、AI分野に関心を示す求職者の数は横ばい状態 で、需要と供給に著しいギャップが生まれている。一般的なAI関連職の求職者は過去3年間で67%増えたものの、過去1年間は需要の成長ペースを下回っている。求職者の増加が頭打ちになっている原因は明確ではないものの、市場が求めるスキルを身に付けた人材が著しく不足していることは疑う余地がない。

トップエンジニア確保の手段

スタートアップから大手IT企業までAI人材争奪戦に乗り出しているが、「データを充実させる」「高い給与」「自由に問題に取り組める」など、優秀なエンジニアが惹かれる職場環境づくりが成功のカギとなるだろう。米国内のIndeed でAI関連職の募集件数が最も多い Amazon、Apple、Microsoft、KPMGなどの大手企業は資力を生かし、桁外れの好待遇で人材確保に挑んでいる。

希少な才能を惹きつける手段として、高額な給与の提供は必須だ。Amazonを例に挙げると、AIソフトウェア・開発エンジニア は年棒10万7000~13万1000ドル、AI及びビッグデータ関連のソフトウェア開発マネージャー は年棒15.7万~20万ドルで募集をかけているが、大手IT企業の従業員から得た情報によると、AIスペシャリストの実際の給与はさらに高い。
AIを専門分野とする新卒の博士号取得者や高学歴ではないが数年の実績がある経験者には、30万~50万ドル以上の給与と自社株を報酬として提供しているという。Googleが2014年に買収した英国の人工知能企業DeepMindの従業員400人に支払っている給与は、総額で1億3800万ドル。単純計算すると、1人当たりの給与は34万5000ドルに上るのだ。

大学からトップレベルのAI人材をヘッドハントする企業も増えている。Uberは2015年、自社の自動運転プロジェクトに向け、ペンシルバニア州カーネギー・メロン大学のAI研究所National Robotics Engineering Center から、約50人のトップエンジニアをヘッドハントした。スタンフォード大学やワシントン大学からも、過去数年でAI研究者や教授が続々と企業に引き抜かれている。

高給だけでは優秀な人材は確保できない?

しかし高給与さえ提供すれば、優秀な人材の確保が保証されているわけではない。向上心旺盛な人材は、世界にポジティブな影響を与えている組織で働き、自分の可能性を存分に引き出せる職場を求めている。

AI人材は基本的に「データ」と「問題」を重視する。「興味深いデータポイントと共に、攻略するドメイン、あるいは解決すべき問題に自由に取り組める」といった環境に、やり甲斐を見出すのだ。仕事に意義と刺激を見いだすために、あえて大手企業ではなく独立系またはスタートアップなど小規模な企業を選ぶスペシャリストもいる。

「未来の卵」を確保する育成プログラム、ハッカソンなど

高待遇で迎える以外にも、大学と提携して直接「未来の卵」を確保する、組織内で人材を育成するなどの手段が実践されている。人手不足の解消に人材の育成は欠かせない。カリフォルニアを拠点とするソフトウェア企業SnapLogicは、サンフランシスコ大学とのパートナーシップ・プロジェクトを通し、将来有望な学生の学業から有給インターンシップ、卒業後の就職までを支援している。

エンジニアやマーケター、デザイナーなどがチームを組み、短期間でアプリやサービスを開発するハッカソンや、専門トレーニングプログラムからのリクルートなども、隠れた才能を発掘する効果的な手段である。Microsoftが毎年主催している世界最大規模のハッカソンには、2017年、世界400都市から1万8000人もの「未来の金の卵」が集まった。

Googleはオンライン大学講座「MOOC」と提携し、ITサポート専門家のための無料オンラインコースを開始した。ITサポート専門家の需要は2026年までに10%の増加が見積もられており、このコースではITサポート専門家として活躍するために必要なスキルを提供している。またAIを活用した人材マッチングサービスが増えている中、日本のScoutyのように、GitHubやQiitaの情報をAIがクローリングし、AI人材と企業をマッチングさせるヘッドハンティングサービスも登場している。

いずれにしても、エンジニアへの期待は国内外を問わずますます大きくなっている。仕事にやりがいを求める若者の思いを裏切らない、魅力的な職業へとますます成長していきそうだ。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

INNOVATION HUBの最新情報をお届けします