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海外のヘルステックベンチャーの動向とその特徴とは

海外のヘルステックベンチャーの動向とその特徴とは

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2018/11/02

健康管理への関心が高まり、様々な企業で今までになかった製品・サービスが登場している。健康管理サービスは大企業が提供しているものが多いが、海外のヘルステックベンチャーが提供するサービスも注目されている。今回は、国内外の代表的なAI×健康管理のサービスを紹介した上で、海外のヘルステックベンチャーの動向を追っていきたい。

様々な企業が注目 AI×健康管理

NECソリューションイノベータは、社員の過去の健診データとAIを活用して健診結果の予測モデルを導き出す「将来検査値予測システム」を開発し、実際に2017年度からNEC本社を含む3地区の健康管理センターに導入している。さらに、2018年からこのシステムを製品化し、企業や自治体が利用できるサービスとして提供しており、岡山県の倉敷中央病院が2019年6月にオープンする倉敷中央病院付属 予防医療プラザで導入される予定だ。健診データや診療データを組み合わせて分析し、生活習慣とデータの関連性を検証することで、予防医療や市民の健康増進への貢献が期待される。

他にも、メンタルヘルスにAIを活用している企業もある。株式会社お多福labとグループ会社の株式会社GMTは、メンタルヘルスの予兆診断機能の研究開発をしている。人材の離職率や精神疾患に陥る可能性を予測するシステムの統計データとAIをかけ合わせ、専門医とともに予兆診断をしようとしている。毎年3万人以上の診断結果によるビッグデータやアイトラッキング情報とAI技術を組み合わせることによって、従来よりも精度の高い診断結果が得られ、ストレス傾向のある人の早期発見が可能になる。

Googleでは、「Google Coach」と呼ばれる健康管理に特化したウェアラブルデバイスの開発に取り組んでいる。AIとユーザーから得たデータを活用して、健康的な生活を送るための方法を提案してくれる。例えば運動面でのサポートでは、運動の習慣形成を推奨し、進行状況の追跡や、予定されたトレーニングができなかった場合の代替案の提示などが可能である。栄養面でのサポートでは、食事をするお店の場所やパターンに基づいて、健康的な食事を提案できる。自炊が多いユーザーには、毎週の食事プランと買い物リストを作り、ユーザーにメールで知らせてくれる。

以上のように、身体、精神、ウェアラブルの多方面でAIを活用した健康管理が行われつつある。

ヘルスケア領域で注目されるスタートアップ

AIを活用したヘルスケア事業に関するスタートアップ企業が注目を集めている。イギリスのBabylon Healthは2013年に設立された、スマホ診療・AI診断アプリを提供する企業である。Babylon Healthの使命は、地球上のあらゆる人がアクセス可能で、手頃な価格の医療サービスを提供することである。Babylonのアプリは世界で100万回以上ダウンロードされており、イギリス、アイルランド、ルワンダのユーザーは、GP(General Practitioner:イギリスの医療制度で、各市民が登録したかかりつけ医のこと。どのような症状であってもまずはGPへ行き、診察を受けた後に必要があれば専門の病院へ行く)を訪れることなく、チャットボットに自分の症状に関する質問ができる。

そのチャットボットは、患者の症状への対処法などを提供し、必要に応じて医師との有料ビデオ通話を勧める。イギリスでは、医師との通話は1回25ポンドで、専門医との通話はより高額になる。また、定額制のサービスもあり、月額5ポンドもしくは年額50ポンドを支払うことでサービスを受けることもできる。ルワンダのBabylon会員数は2018年5月に200万人を超えたと発表され、診察の費用は50ペンス(イギリスの補助通貨で、1ポンド=100ペンス)である。

また、2017年1月から6ヵ月間、NHS(イギリスの国営保健サービスで、病気やけがへの対策などの情報を電話で相談できる。国民は無料でサービスを受けられる)とチームを組んで、AIの医師を搭載したアプリを開発し、試験的に運用するプロジェクトを立ち上げた。このアプリはロンドン北部の居住者100万人以上が利用可能になった。電話で症状を説明する代わりに、アプリに症状を入力すると、対処方法についてのアドバイスを提供してくれる。

Babylonは多くの企業や人から注目され、様々な投資家から2016年には2,500万ドル、2017年には6,000万ドルの資金を調達した。フィナンシャル・タイムズによると、2017年のラウンドでは、Babylonの評価額は2億ドルを超えているという。2018年9月には、次世代のAI医療技術の構築を目的としたチームの創設に1億ドルを投資する計画を発表した。今後12ヵ月で1,000人以上の科学者やエンジニアを雇用する。このようなアプリの登場によって、小さな症状に関する質問が可能になり、病院での混雑緩和や病院への移動を減らすことが期待できるだろう。

また、米国のスタートアップ企業GRAILは、血液検査で癌をスクリーニングするシステムを研究開発している。GRAILは2016年以来、癌の新しい診断方法の開発と世界的な癌死亡率の削減というビジョンを追求するために、3回の資金調達で15億ドル以上を獲得した。獲得資金は、GRAILの臨床研究プログラムにおける癌の早期発見のための製品開発と検証に利用される。他にも米国スタートアップのFreenome社も血液サンプルを基に癌の早期発見を目指しており、スタートアップの間で1滴の血液から癌を検出する競争は続いている。

テクノロジーで変わる 健康管理の未来

近年、AIを活用することにより、自身の健康状態を把握する方法は、精度が良くなると同時に手軽になってきた。さらに、血液1滴から癌を発見する研究開発も進んでいるなど、本格的なイノベーションも起こりつつある。このまま研究が進んでいくと、健康状態の予測、異常の早期発見や最適な治療が期待できる。

ただし、ヘルステックは人間の命に係わる領域であるため、提供サービスの品質は非常に高いものが求められ、法的にも解決しなければならない事柄が多い。それでも、健康維持に役立つ手軽なサービスの登場が期待されている。

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