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第3期アクセラレータ参加企業連載  第2話: ~スマートフットウェアで世界を変える nnfが仕掛けるイノベーションのゆくえ~

第3期アクセラレータ参加企業連載  第2話: ~スマートフットウェアで世界を変える nnfが仕掛けるイノベーションのゆくえ~

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2018/10/30

株式会社 no new folk studioのCEO /Founderの菊川裕也氏

株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)はスタートアップの事業構築を支援するプログラム「MUFG Digital アクセラレータ」を展開している。2015年の開始以来、多くのスタートアップの事業プラン立案やパートナーシップを支援してきた。第3期に参加した株式会社no new folk studio(以下、nnf)は、靴にテクノロジーを盛り込んだ「スマートフットウェア」の開発を進めている。AKB48のライブなどでも使われ、今後の用途の広がりが期待されるスマートフットウェアについて、nnfのCEO/Founderを務める菊川裕也氏に展望してもらった。

試行錯誤に2年を費やす スマートフットウェアの誕生から事業化まで

菊川氏がスマートフットウェアを構想したのは大学院時代。芸術工学を専攻し、コンピュータを内蔵したシューズを試作したのがきっかけだ。周囲からの反応が良く、出資してくれる投資家とも巡り会い、2014年にノーニューフォークスタジオを創業する。

創業までは順調に進んだものの、その後は簡単ではなかった。スマートフットウェアの試作を繰り返すも、製品としてリリースできるものがなかなか完成しなかったのだ。シューズは着地するごとに地面からの衝撃を受け、その影響は内蔵しているコンピュータにも伝わる。スマートフットウェアを作る上で大きな課題となっていた。

これを解決するため、菊川氏は自作でソール(靴底)を作るなど必死に開発を続けた。過去に例を見ないスマートフットウェアの開発は困難を極めたが、およそ2年にかけて製品化にこぎ着けた。

足の動きに合わせて光を放つスマートフットウェアとしての機能は、エンターテインメント分野で採用されるようになった。ダンサーとのコラボレーションやAKB48のライブで使用されたことで、注目を集める。自動車部品メーカーであるDENSOが、自動車という製品の枠を越えて、移動することの価値を訴求するために仕掛けた「#アルカル」(歩くとカルチャーによる造語)プロジェクトにおいて、nnfと協業するなど、事業は徐々に拡大。スマートフットウェアの利用シーンは広がりを見せる。

しかし、菊川氏はこれだけで満足はしなかった。「スマートフットウェアのポテンシャルはこんなものではない」と新たな活用法を探るべく調査した。そんな中、国土交通省の「歩行量(歩数)調査のガイドライン」を発見する。「1歩歩くごとに0.065~0.072円の医療費抑制効果が期待できる」資料にはそう記されていた。

これはスマートフットウェアの価値の訴求に使えるかもしれない。歩いたことをスマートフットウェアで証明し、それを金額に換算する。これが実現できれば、歩数に応じてユーザーに報酬を与えられ、ブロックチェーンが実現するといわれるトークンエコノミーの仕組みに載せることも可能だ。スマートフットウェアとフィンテックの融合が実現するかもしれない。

しかし、菊川氏はフィンテックの知見を持っていなかった。実現方法を模索している時、知人であるベンチャー経営者から聞いていたMUFG Digital アクセラレータプログラムのことを思い出した。これに参加すれば、実現への一歩を踏み出せるかもしれない。菊川氏は申し込みを決意する。

アクセラレータで学んだ取捨選択の重要性

アクセラレータに参加した菊川氏は、2人のメンターの影響を強く受けたと話す。株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ パートナーで最高執行責任者(COO)を務める今野穣氏と電通ベンチャーズ マネージングパートナーの笹本康太郎氏のメンタリングは、アイデアを否定するところから始まった。「それが本当にやりたいことなのか」など2人から容赦ない質問が飛んだ。「nnfのコアコンピタンスは何か、製品を欲しがっている顧客に最短距離で届けるにはどうしたらいいか、ひたすら考え続けた」と菊川氏は当時のことを振り返る。

スタートアップにとって難しいのは可能性を捨てることだ。面白いアイデアはたくさんあり、そこから事業がスケールする可能性がたくさん見えてくる。一方で、自社のリソースには限りがある。だからこそ、コアコンピタンスに磨きを掛け、そこを起点に事業を拡大することが求められる。

「メンターから細かい指示を受けたことはありません。自分で考えて、それをメンターにぶつける。『それは本当に必要?』と返ってくる。禅問答のようでもありましたが、そこに大切な気づきがありました」

メンターとのコミュニケーションを通じて、菊川氏は自社の「本当の強み」に気づくこともできた。他社でできることはそこに任せ、菊川氏は「自分たちだからこそできる、エレキモジュールとアプリケーションの開発、正確な歩行データをためるところに注力しよう」と決断した。

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アクセラレータ参加企業とコラボレーション 企業の健康経営を支える

アクセラレータを通じて、nnfは事業を加速させるであろうパートナー企業と出会うことができた。その一つが、第1期参加企業のZEROBILLBANK JAPAN株式会社だ。ZEROBILLBANKは沖電気工業株式会社、株式会社ベネフィット・ワンとともに企業の健康経営を支援する「Yume Coin」を展開している。Yume Coinは社員の行動や動きに対して社内通貨(インセンティブ)を与えるというサービスで、社内通貨を用いてベネフィット・ワンが用意する特典と交換することも可能だ。

協業のきっかけは、メンターの1人であるインクルージョン・ジャパン株式会社の吉澤康弘氏から紹介を受けたことだ。菊川氏は、ZEROBILLBANKの担当者と話すうちに、スマートフットウェアを履いて歩くことで、その歩数に応じてインセンティブを付与できることがわかった。「当初描いていた構想が思わぬ形で実現するかもしれない」と菊川氏は協業に手応えを感じている。

また、nnfにとってもう一つ大きな成果があった。三菱UFJ信託銀行が実施する「情報銀行」の実証実験に参加することが決まったのだ。パーソナルデータという資産をどのように管理すべきか検証する先進的な取り組みにnnfも名を連ねた。

「アクセラレータに参加しなければ知る由もない取り組みだった」と語る菊川氏は「三菱UFJ信託銀行とタッグを組めたことは、事業が加速するきっかけになる」と期待を寄せる。

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スマートフットウェアが広まれば世界は変わる

シューズの未来を変える可能性を秘めるスマートフットウェア。菊川氏は「コンピューターの小型化とコスト低減が進めば、当たり前のようにスマートフットウェアを履く未来がやってくる」とビジョンを描く。歩くだけで報酬を受け取れるなど予防医療の在り方が変わるかもしれない。

今後は企業との協業の他に、2019年春を予定するスマートフットウェアの一般発売に向けて開発を進める。

アクセラレータを通じて、事業をスケールさせるためのきっかけをつかんだnnf。菊川氏は、知り合いのスタートアップ経営者にもアクセラレータを勧めている。「MUFGも自分ごとになって参加企業をサポートします。アクセラレータ期間中はメンターとのミーティングや準備で忙しくなりますが、リソースを確保して参加してほしいですね」と今後の参加企業にアドバイスする。

スマートフットウェアとフィンテック、一見すると関連が無いように見える。しかし、この2つが結びつくことで、社会にインパクトを与えるイノベーションが起きるかもしれない。

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