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グローバル金融機関が挑むブロックチェーン融資は未来のスタンダードか

グローバル金融機関が挑むブロックチェーン融資は未来のスタンダードか

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2018/10/17

(写真=whiteMocca/Shutterstock.com)

2018年4月、スペインの大手金融機関BBVA(ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行)がグローバル金融機関としては初のブロックチェーン融資契約を成功させた。今後ライバル銀行が後を追う可能性とともに、HSBCやINGによるシンジケートローンのブロックチェーン化に取り組む動きを紹介する。シンジケートローンは、顧客の資金調達ニーズに対して、仲介者が複数の金融機関を取りまとめてシンジケート団を結成し、1つの契約書に基づいて貸し出しを実施する融資形態を指す。

ブロックチェーン融資の旗手BBVA

BBVAは、同じスペインの大手コンサルティング企業Indra(インドラ)と提携した。BBVAとIndraの条件交渉は、Hyperledgerをベースに実行された。契約の合意が得られた時点でEthereumのパブリック・ブロックチェーンを用い、取引に関するハッシュ値またはUUID(データを一意に識別するために用いられる識別子)を登録するという仕組みだ。これにより、合意済みの契約の不変性が保証される。合意文書に何らかの修正が加えられた場合、ハッシュ値は全く異なるものになるためだ。

この試みにおいて、ブロックチェーンは法人融資にともなう実行時間の大幅な短縮や効率化だけでなく、信頼関係のない者同士がデジタル取引を安全に実施する際の条件である「取引の透明性確保」と「データの整合性保証」という2つの要件を満たすことになる。これにより、データと監査証跡が保護されることで、個人情報の漏えいを引き起こす不正やドキュメントの信頼性の低下を避けられるようになる。今回のような2社の提携において、ブロックチェーンが契約の信頼性を裏付けるものとして機能することになる。

BBVAとIndraは、「Hyperledger」のプライベートブロックチェーンと「Ethereum」のパブリックチェーンという2種類のブロックチェーン技術を用い、7,500万ユーロの法人向け融資契約を成功させ、4月に初回発行を実施した。BBVAはさらに2018年の7月に、ブロックチェーン法人融資の第2弾として、スペインの総合建設企業ACSと二国間における1億ユーロの長期的な法人融資契約を締結している。

グローバル金融機関とR3が挑むブロックチェーン・シンジケートローン

HSBCやINGなどグローバル金融機関7行とR3、Synaps Loansが共同開発する、ブロックチェーン・シンジケートローンのマーケットプレイスも、融資システムの基盤に革命を起こすプロジェクトとして注目を集めている。既に1stプロットが完了しており、年内にシンジケートローンマーケットの10%がブロックチェーン化される予定だ。

「Fusion LenderComm」と名付けられたこのプラットフォームは、貸し手から、代理店が手掛ける融資サービスのプラットフォームに、与信関連の契約書や決済データを直接、リアルタイムに提示する。全トランザクションを保存し、それぞれの貸し手に契約履歴やタイムスタンプの付いた監査記録を提供する。運用コストの低下、代理店と貸し手間での事務処理負担の軽減、貸し手への正確な情報へのアクセスなど、代理店と貸し手間のデータ共有を向上することで、シンジケートローンマーケットの効率性と透明性を高めることを目的としている。

2017年3月の概念実証テスト(POC)では、FinTechスタートアップIpreoとSymbiontのジョイントベンチャー、Synaps Loansによって独自に開発されたシステムのデモをR3ラボ・アンド・リサーチ・センターが実施し、クレディ・スイスを筆頭にバークレイズ、BBVA、ソシエテ・ジェネラル、Royal Bank of Scotland(RBS)を含むグローバル金融機関19行が参加した。

POCは、Symbiontの先進的なスマートコントラクト技術と、Ipreoの新しいビジネス・プロセス・ソリューションを組み合わせ、シンジケートローンの決済速度を飛躍的に向上させることを狙いとしていた。

未来の融資はブロックチェーン化されるのか?

こうした動きは、今後あらゆる融資がブロックチェーン化される未来を示唆しているのだろうか?

ブロックチェーン融資で最も期待されている点は、改ざん不可能な構造による信頼性の向上や契約の自動化、プロセスの簡潔化による時間・コスト削減などだろう。ブロックチェーンによる潜在的な恩恵を期待し、様々な形で融資産業が動き出していることは事実である。

アジア圏においても、一部邦銀がカナダのBlockstreamによるブロックチェーン技術を利用した個人向けローンの実証実験を行っているほか、香港金融管理局は中国平安保険の子会社OneConnect、HSBCなど21の銀行と提携し、貿易融資プラットフォームの立ち上げを発表したばかりだ。

銀行や政府のような大規模な機関にとっては、業務を低コストで合理化・最適化するという点で、ブロックチェーンがもたらす恩恵は大きいと期待されている。今後、ブロックチェーン融資の対象は、法人から中小企業、個人へと益々拡大し、需要に見合った革新的な商品やサービスの開発が進むと予想される。

既に様々な分野において、ブロックチェーンとAI(人工知能)を融合させる試みが活発化しているが、例えばAIで与信を行い、スマートコントラクトで融資契約を自動的に結ぶといった「ブロックチェーンAI融資」が、数年後には珍しいものではなくなっていても不思議ではない。

また銀行がブロックチェーンベースの融資を展開する上で、金融インフラが整備されていない発展途上国はブルーオーシャンになり得る。そう考えると、ブロックチェーンが未来の融資に占める割合は想像よりもずっと大きくなるかもしれない。

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