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AIの発展と切り離せないGPUの存在 その背景を探る

AIの発展と切り離せないGPUの存在 その背景を探る

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2018/09/12

(写真=michelmond/Shutterstock.com)

ゲームやコンピューター好きなら知っている人も多い半導体メーカーがNVIDIA(エヌビディア)だ。「GPU(Graphics Processing Unit)」という名称の生みの親でもある。GPUはもともと、コンピューターのグラフィックス処理向けに作られたが、今ではディープラーニング(深層学習)や人工知能(AI)の研究・開発になくてはならない存在へと進化しつつある。

グラフィックス専門からAI開発の切り札に変貌したGPU

1993年、サンフランシスコで設立されたNVIDIAはコンピューターのグラフィックス処理を行う半導体チップを開発・販売。1999年には、ジオメトリエンジンと呼ばれる3D座標変換機能を搭載したチップを開発し「GPU」(Graphics Processing Unit)という名称を使い始めた。近年では、GPUを発展させてグラフィックス以外の用途にも利用できるようにすることで、映画CG、自動車のCADデータの視覚化などの「エンタープライズ・グラフィックス」、スーパーコンピュータ、データセンターでの計算などを実施する「HPCおよびクラウド」、自動車、ドローンなどを指す「インテリジェント・マシン」といった分野までターゲットを広げている。日本でもトヨタ自動車や、工作機械メーカー・ファナックと提携するなど、製造現場にも普及してきている。

グラフィックスとディープラーニングの計算処理は同じ

複雑なデザインに見えるグラフィックスも、コンピューターの中ではすべて0と1によるデジタル処理が実施されている。高品質なグラフィックスを目指すほど、計算量は増え、高い演算能力が求められる。浮動小数点演算を用いれば複雑な計算の手間を省けるため、膨大な計算を瞬時に実施するGPUの開発を進める必要があった。
もともとGPUはグラフィックス向けに作られたものだが、今ディープラーニングやAIで注目を集めている。GPUとディープラーニングの相性の良さがその背景にあるのだ。
NVIDIAエンタープライズ・マーケティング本部の佐々木邦暢氏は講演で、「3次元グラフィックスでGPUが処理する膨大な数のポリゴン(CGで用いられる多角形)の座標計算が、ディープラーニングの処理で必要となる行列の積和演算(行列のかけ算と足し算)とまったく同じだった」と話している。逆に言えば、並列ではなく順次処理であるCPUは、ディープラーニング向きではないということになる。

NVIDIAは、グラフィックス以外の領域でもGPUの能力を活用し、コンピューティング能力を飛躍的に向上させる並列コンピューティング・アーキテクチャー「CUDA」を提供する。GPUのジオメトリエンジンを汎用的に使えば、特定の計算をCPUよりも数十倍から数百倍の速度で実行できると以前から見込んでいたからだ。
現在、CUDAはAI処理のフレームワークを高速化するソフトウェアライブラリやGPU対応のための開発ツールを含み、GPUを使用したAI処理の精度を上げている。これにより、ゲームだけでなく、AI、深層学習にGPUが広く使われるようになっていった。
今日までに何百万個ものCUDA対応GPUが販売されており、ソフトウェア開発者、科学者、研究者が、画像・ビデオ処理、計算生物学・化学、流体力学シミュレーション、CT画像再構成、地震解析などに用いている。

GPUの適用分野はさらに拡大へ

以前から世界中のAI研究者がNVIDIAのGPUの存在を認識していた。2012年、「コンピューターがYouTubeの映像から人間と猫を認識するようになった」として、深層学習研究・開発プロジェクト「Google Brain」が話題を呼んだ。そこではGoogleの巨大なデータセンターでCPUが2000個も必要だったが、GPUなら12個で同じパフォーマンスを得られることが立証された。

GPUの性能の高さは、スーパーコンピューターや欧州の先端システムに対応していることからも分かる。
米エネルギー省オークリッジ国立研究所が2018年6月に発表した、世界最小で最もパワフルとも言われるスーパーコンピューター「Summit」にNVIDIAの「Volta Tensor Core GPU」が搭載されている。Summitのピーク性能は200ペタフロップスに上る。
実に、1秒で20京回もの浮動小数点数演算が可能という。膨大な計算パワーを必要とするディープラーニングの研究・開発にはコストが高くつくとの短所が指摘されるが、GPUを導入することで解決するかもしれない。

NVIDIAがGPUの適用範囲拡大に積極的に取り組んでいることも見逃せない。ディープラーニングをベースとする新しい技術や手法が続々と生まれる中、NVIDIA Japan代表の大崎真孝氏は2018年4月に行われたイベントで、「GPUコンピューティングはムーアの法則を超える速度で発展している」と述べた。さらに「人間が開発した動くものは、すべて自律動作型マシーンになる」と指摘。GPUを核に、データ収集、モデル学習、シミュレーション、実際の運転まで、幅広い処理を実施する基盤を構築中であることを明らかにした。

EY総合研究所が2015年に公表したAI市場規模は同年時点で3.7兆円だったが、2020年に23兆638億円、2030年には約87兆円に成長すると予想されている。今後もAIのニーズ、市場は拡大していく。GPUはその成長の鍵を握る重要な要因だと言える。

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