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ヨーロッパでも盛んなアクセラレータプログラム 国家開催ではビザの発給も

ヨーロッパでも盛んなアクセラレータプログラム 国家開催ではビザの発給も

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2018/08/16

(写真=everything possible/Shutterstock.com)

起業やスタートアップ支援が盛んな地といえばアメリカを思い浮かべる人が多いだろう。しかし、ヨーロッパでも国家や企業によるアクセラレータプログラムが盛んになっている。特に国などが主催する場合はビザを発給することもある。

世界中で行われているアクセラレータプログラム 国が主催するケースも

アーリーステージのスタートアップをビジネス、ネットワーキング、資金などあらゆる面から支援するアクセラレータプログラム。参加するスタートアップはビジネスやプロダクトのアイデアはあっても資金や人材、経験が少ない。そこで3ヵ月から半年程度といった短期間に、ネットワーキングやビジネスに必要なメンタリングを集中的に受け、ビジネスやプロダクトの開発に集中する。

スタートアップに資金や人材を援助する側が受け取るのは、株式の数パーセントであることが多い。提供したプログラムでスタートアップが成長を「加速(アクセラレート)」してくれないと、株には値はつかず、経済的なメリットは少ない。

以前からベンチャーを支援する仕組みや取り組みはあったが、今のような形でスタートアップを支援するプログラムが開催されるようになったのは、2000年代のアメリカといわれている。当時誕生したのが、ベンチャーキャピタルであり、アクセラレータの先駆けとも言われるY Combinatorだ。

Y Combinatorは2005年、プログラマーでエッセイストとしてもファンの多いポール・グレアムらが設立。以降、AirbnbやDropboxなど数多くの企業を世に送り出してきた。今もスタートアップや起業家の発掘と育成を続けている。

Y Combinatorに続いて2006年には同じくアメリカでTechstarsが設立された。テーマごとのプログラムのほか、ロンドンやパリなどヨーロッパの主要都市でもプログラムを開催。卒業したスタートアップには、トレーダー向けのWebサービスのトレーディングビューなどが含まれている。

この2つのトップアクセラレータ以外にも、数々のアクセラレータやプログラムが誕生。現在、全世界で数百ものプログラムが存在するとみられる。

プログラムを主催するのは、Y CombinatorとTechstarsのようなVCやシードアクセラレータだけではない。昨今では金融機関など大手企業がイノベーションを求め、事業とシナジーを発揮する可能性のある分野でプログラムを開催する事例も少なくない。

企業にとどまらず国家もスタートアップや起業家によるイノベーションを求めている。最近では各国政府や行政機関が国・地域外の才能を呼び込むために開催することもあり、こうした場合には起業ビザが提供されるケースもあるという。国家によるアクセラレータプログラムとしてはチリの政府が主導するStart-Up Chileが有名だ。

Start-Up Chileは国家によるアクセラレータプログラム主催の先駆けであり、年間200から250社のスタートアップを支援する規模の大きさでも知られている。国外からの参加者には滞在のためのビザも提供されるなど手厚く、既に1,300社以上を支援している。その影響力は大きく、Start-Up Chileが始まって以降、50の国・地域でStart-Up Chileにならったプログラムが作られたといわれるほどだ。

アメリカに遜色ない歴史、ヨーロッパのアクセラレータプログラム

ヨーロッパのアクセラレータプログラムの中でも古いのはイタリアのH-Farmだ。2005年の設立でアメリカのY Combinatorよりも数ヵ月早く、「世界初のベンチャーインキュベーター」と主張している。同じEU加盟国で隣国であるドイツの企業との連携も密接で、AudiやDeustche Bank(ドイチェバンク、ドイツ銀行)をパートナーとして挙げている。

金融都市シティを擁するロンドンで2007年に創業したSeedcampは、投資額、エグジットでヨーロッパ発のアクセラレータプログラムの中では群を抜いている。過去に輩出したスタートアップには国際送金のTransferWiseなどがある。

その他、デンマーク・コペンハーゲンで始まったStartupbootcamp、ヨーロッパ最大の出版社Axel Springer SEとシリコンバレーのイノベーションプラットフォームPlug and Play Tech Centerのジョイントベンチャーで、ベルリンに拠点を置くAxel Springer Plug and Playアクセラレータの知名度も高い。Axel Springer Plug and Playアクセラレータは「スタートアップと若いアーティストは共通点が多い」としてアーティストの支援も行なっており、このような取り組みは歴史と文化のあるヨーロッパならではといえそうだ。

社会起業家を支援するプログラムもある。ドイツ各地に支部を持つSocial Impact Labだ。移民が多く、とかく分断されがちな社会の統合を目指し、移民同士がともに料理をするプロジェクトや廃棄される食材を利用したレストランなど社会問題を解決するスタートアップなどが生まれている。

ヨーロッパでも大企業によるアクセラレータプログラムが盛んになっている。コンサルティング会社mm1の調査によると、ドイツの主要30銘柄を構成する企業の90%はスタートアップやイノベーションに関するプログラムを持っていて、このような67のイニシアチブのうち半数がアクセラレータプログラムだという。

起業ビザプログラムを提供する国も

国や行政機関によるプログラムはヨーロッパでも行われている。ヨーロッパで起業や就労を考える際に越えなければならない大きなハードルがいわゆる「ビザ」、滞在許可や就労許可の取得だ。

EUでは、年収約5万ユーロ以上や、科学者や医師、エンジニアなどの専門職で年収約4万ユーロ以上といった一定の条件を満たす労働者を優遇する「EUブルーカード」が2012年から発行されている(一部のEU加盟国は対象外)ほか、フランス、オランダ、ポルトガル、エストニア、リトアニアといった国々はスタートアップの人材を対象にしたビザを提供している。

たとえばフランスは2016年にFrench Tech Visaと呼ばれるプログラムを開始し、フランスで起業を目指す人材の受け入れを始めた。現在は起業家に加え、プログラムが指定する約100の企業への就労希望者、フランスのスタートアップに投資する投資家にも対象を広げている。

オランダ、ポルトガル、エストニア、リトアニアの同様のプログラムについてはそれぞれのウェブサイトを参考にしたい。いずれの国でも公用語は英語ではないが、応募は英語で可能だ。

オランダ: Start-up | Immigration and Naturalisation Service (IND)

ポルトガル: Startup Visa — Startup Portugal

エストニア: Startup visa — Startup Estonia

リトアニア: Startup visa for non-EU entrepreneurs | Go Vilnius

ヨーロッパでは、国家だけでなくEU自体が加盟国に拠点を置くスタートアップに対して手厚い支援を提供している。一例を挙げると、研究やイノベーションを対象とした大規模なプログラム「Horizon 2020」は2018年-2020年の間に300億ユーロの投資を予定しているという。

ヨーロッパで起業することの魅力

本稿で見てきたように、ヨーロッパでもスタートアップを支援するプログラムは盛んだ。

まず想起されるヨーロッパのスタートアップハブはロンドンやパリだろう。しかしこれらの都市は物価も高いうえ、ロンドンの場合はイギリスのEU離脱の影響も懸念される。こうした背景から、最近ではベルリン、アムステルダム、ウィーンなどの都市の存在感も高まってきている。またバルト三国の一つであるエストニアは、外国人が同国の電子国民になれる制度e-Residencyなどで知られる電子国家で、世界中から注目されている。

外国でのビジネスを考える時に、心配になるのが言葉の問題だろう。だが今回取り上げたような都市のスタートアップハブでは、英語でのコミュニケーションが可能で、そこで開催されているアクセラレータプログラムも同様だ。

冒頭で触れたように、スタートアップ、起業といえばアメリカ、特に西海岸が思い浮かぶだろう。だがヨーロッパも魅力的な選択肢の一つといえるのではないだろうか。

署名: Aki T.

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