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次なるFintechのトレンドはここから!? パキスタンで発展する次世代の金融システム

次なるFintechのトレンドはここから!? パキスタンで発展する次世代の金融システム

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2018/08/09

(写真=Shahid Khan/Shutterstock.com)

中東でFintech分野が成長している国と言えばバーレーンやアブダビが真っ先に思い浮かぶが、その中でこれまでFintechに馴染みのなかったパキスタンが急浮上している。革新的な新技術やビジョンを取り込み、既存のシステムにはない商品やサービスを続々と生み出して行く上で、ニューカマーの参入は歓迎すべき潮流である。しかしなぜ、今パキスタンが注目を浴びているのか―。

政府や支援機関による強力なサポート、勢いあるスタートアップの登場、アントフィナンシャルやMastercardといった国際大手の参入、市場の需要など、パキスタンFintechを急激に拡大させている要因を探る。

1億人の成人が銀行口座を所有していないパキスタン

世界銀行が2016年に実施した調査によると、金融当局の認可・規制の元業務を行っている金融機関の口座を所有していない成人が、パキスタンには約1億人いた。これは銀行口座を所有していない世界の人口20億人のうちの5%を占める。

デビットカードを所有している成人は2.9%で、支払いに利用しているのはわずか1%だ。これらの人々が今後、利便性の高い金融サービスを選ぶようになることは間違いない。モバイルバンキングやオルタナティブ決済を普及させるには、理想的な環境である。

しかし確固たるデジタル金融システムを築くためには利便性だけではなく、市場の健全性や安全性、透明性を確保するのが必須となる。

政府の掲げる「国家金融包括戦略」はFintechの発展が要

パキスタン政府は2015年5月、自国の金融包括発展を目指し、「国家金融包括戦略(NFIS、National Financial Inclusion Strategy)」をスタートさせた。女性や若者を含む成人の50%以上が認可を受けた金融サービスにアクセスできるよう環境を整え、銀行による中小企業向け融資の割合を2020年までに15%に引き上げることを最終的な目標としている。オンラインバンキングの普及促進やアクセスポイントの多様化・増設、金融サービスプロバイダーの対応能力の向上など、さまざまな角度からパキスタンFintechの発展を試みている。

国家を挙げた金融システム改革を後押しするのは、英国国際開発省(DFID)とビル&メリンダ・ゲイツ財団が共同設立した、金融分野を包括支援する非営利組織「Karandaaz Pakistan」だ。

Karandaaz Pakistanはパキスタンにおける金融改革戦略として、「金融サービスへのアクセス」「決済」「eコマース」「相互運用性」のほか、モバイルウォレットの利用法、テクノロジーを利用した金融リテラシー向上、デジタル貯蓄などに関する「初期アイデア」の発案の5つの分野に専念している。

想像を超える経済効果に期待?

パキスタンでは金融リテラシーの向上とともに、想像を超える経済効果が期待されている。マッキンゼー・グローバル・インスティテュートは2016年に発表したレポートの中で、パキスタンの強固なデジタルインフラと金融規制をポジティブな要因とみなしている。

マッキンゼーの予想では、パキスタンはFintechの発展により、2025年までに9,300万件の新規口座が開設され、400万件の新規雇用が創出される。GDP(国内総生産)が年間360億ドル押し上げられるほか、パキスタン政府に70億ドルの収入をもたらすと期待できるという。

こうした経済発展を見越し、世界の大手企業もパキスタンに資本を投資し始めた。中国からは2018年3月、アリババグループ傘下のアントフィナンシャルがTelenor Microfinance Bankに1.84億ドルを出資し、45%の株を取得した。ノルウェーの国営通信サービス企業Telenor Groupはパキスタンでマイクロファイナンス向けの銀行Telenor Microfinance Bankを運営している。

投資データアプリ大手のWebull(微牛证券)は、2017年からパキスタン証券取引所に先進的な国際金融情報を無料で提供している。Googleの分析によると、2018年4月の時点でパキスタンのWebullユーザーは、カラチ、ラホール、イスラマバードなどの大都市を中心に、15万人を突破している。ユーザーの年齢層は25~44歳と若い。

パキスタン決済市場をリードするキープレーヤー

パキスタン国立銀行(SBP)の発表によると、パキスタンのモバイル決済サービス「TPL Rupya」「Monet」に加え、Mastercard と Inov8によるキャッシュレス決済サービス「FonePay」が新たに参入した。パキスタン決済市場をリードする台風の目となりそうだ。

パキスタンのコングロマリットTPL Holdings Limitedが提供する「TPL Rupya」は、パキスタン初の相互運用可能なモバイル決済ネットワークで、スマホにリンクさせた銀行口座やウォレット、携帯番号で気軽に商品・サービスを購入できる。商業銀行やモバイルオペレーター、マイクロファイナンス銀行とも提携している。

「Monet」を立ち上げたMonet Private Limitedは、社内のデータセンターで独自のシステムとインフラを管理する決済プロセス企業だ。モバイルバンキングアプリや支店不要のバンキングCRM(顧客関係管理)、プリペイカード、ペイメントゲートウェイなど、さまざまな決済関連ソリューションを提供している。

「FonePay」は、MastercardとパキスタンのモバイルプロバイダーであるInov8が2017年9月、パキスタンのFintech市場向けに開始したサービスだ。ユーザーは銀行口座やモバイルウォレット、デビットカード、クレジットカード、プリペイカードなどを一つのプラットフォーム上でリンクさせ、MastercardのQR決済サービス「Masterpass QR」を利用して決済できる。

Inov8の会長兼共同CEOハスネイン・シェイク氏は、「FonePay」がパキスタンのデジタル決済の在り方を変える―とコメントしている。

支店不要のバンキングシステム構築という野望

パキスタンがモバイル決済を強力に促進している背景には、支店不要のバンキングシステムを構築する野望があるのだろう。

同国は2008年4月に支店不要のバンキング規制を導入して以来、SBPが明確なガイダンスを提示すると同時に、企業からの意見や要望に耳を傾け、必要に応じて規制を調節する柔軟な姿勢を貫いてきた。こうした取り組みは、モバイルネットワークオペレーターからIT企業、配送業者などが関与し、多様なビジネスモデルを生み出している。さらには政府機関への決済手段として支店不要のバンキングを利用する革新的なアイデアも、政府から求められている。

世界銀行グループの研究機関CGAPはパキスタンを、「支店不要のバンキング市場で急成長中の国の一つ」とし、今後の成長に期待を寄せている。

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