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IoTが挑む21世紀の商業不動産業

IoTが挑む21世紀の商業不動産業

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2018/07/12

(写真=zhu difeng /Shutterstock.com)

テクノロジーの導入という観点で出遅れ感の強かった不動産業が、ようやく動き出した。効率性・高コスト・安全性など、既存の商業用不動産業が抱える問題を、テクノロジーの力で改善していくという取り組みが活発化している。

なかでも注目されているのはIoT(モノのインターネット)技術の活用で、商業不動産管理のシステムそのものを市場の需要に見合った効率的かつ安全なものへと作り変え、情報の交換や共有、管理がスムーズに行えるアライメント化に焦点が当たっている。コスト削減はもちろん、安全に管理・使用しやすい環境の整備が目的だ。

Deloitte Center for Financialは、2015年に発表したレポートの中で、2015~2020年にかけてセンサー導入でIoT化を図る商業用物件が年間78%の割合で増え、13億件に達すると予想していた。数年で大きな変化・整備がされる不動産業界。ここからは不動産業におけるIoTの影響をみていこう。

商業不動産が抱える既存の問題

住宅や街のスマート化が進むなか、商業不動産市場では今もなおアナログ的な手法が根付いている。

成長を妨げている要因の一つとして、既存のシステムの非効率性があげられる。仲介業者と管理会社、そして家主間でやりとりされる物件や契約などに関する膨大な量の情報が、主に書類や口頭で交わされているだけではなく、建物内の各機能が個別に管理・利用されていることなどが原因だ。

物件探しから契約までに膨大な時間と手間を要し、入居後には管理・利用面でさまざまな不便性が待っている。こうした煩雑で非効率的な既存のシステムは、家主にとっても賃借人にとってもコストがかかる。そこで情報の交換や共有、管理がスムーズに行えるシステムを新たに構築し、大幅なコスト削減を試みる動きが加速している。

IoTであらゆる作業を自動・アライン化

現在、注目されている技術はIoTだ。建物自体を自動的・効率的に機能させ、付加価値を持った「生きた建物」に創り変える―という発想である。建物に命を吹き込むことで、コスト削減から安全性や効率性、精密度の向上まで、事業を加速させるためのツールとして利用する。

たとえば、センサーと通信機能を融合させたIoT技術を活用して、セキュリティーチェックや建物内の空気・温度調節(HVAC)といった、建物を安全かつ快適に保つことが容易になる。駐車場を含む建物の監視・管理、停電時の非常用電力供給、火災や人命救助システム、コミュニケーション・インフラの構築や更新を自動化できるほか、モバイルアプリなどを通してあらゆるデバイスからのアクセスが可能になる。

オフィスであればスペースや資材の有効利用に役立つ、あるいはクリエイティビティやコラボレーションをサポートするデジタルボードといったIoT製品を導入することで、「スマートオフィス」に創り変えるのも一案だ。

また建物から収集したデータは、より効率的に利益を生み出すための貴重な情報源となる。不動産業者や家主はこれらのデータを蓄積・分析することで賃借側の動きや需要を把握し、ビジネス戦略に役立てることも可能だろう。

商業不動産のIoT化が企業経営に与えるポジティブなインパクト

商業不動産のIoT化はコスト削減だけでなく、ESG(環境・社会・企業統治)経営にもポジティブな影響を与えるだろう。社会や環境への配慮を無視した経営戦略では、利益や価値の向上は期待できないと多くの企業が認識している現在、IoT技術でESG経営の向上を目指す手法が探索されている。

IoT技術によるHVACシステムのエネルギー効率化は環境に貢献し、セキュリティー・安全性の向上は社会に貢献する。ムダを省いた経営、顧客への利益還元などで競争力・収益力を高めることは企業統治の向上にもつながる。

商業用不動産のスマート化をサポートする企業も増えており、米総合不動産企業JLL(ジョーンズ・ラング・ラサール)の「Smart Building Program」が代表例だ。コンサルティングを通してソリューションを設計し、理想のスマート・ビルディングを実現してくれる。

未来の商業用不動産ブローカーの役割=テクノロジー・ストラテジスト?

こうした風潮を受け、商業用不動産ブローカーの役割が今後大きく変わると予想される。建物の管理や仲介に焦点を置いた既存のサービスから、テクノロジーやサイバーセキュリティー、イノベーション分野の知識・経験に精通したストラテジストとしての能力が重宝される時代が訪れるだろう。このあたりは他の多くのセクターと共通するかと思われる。

長年にわたり人間が対応して来たルーティン業務は、近い将来、確実にロボットが引き継ぐはずだ。未来の不動産ブローカーには、顧客の物件のスマート化を設計し、事業ゴールの達成をサポートするコンサルタントの役割が求められる。ITの知識に乏しい不動産ブローカーはデジタル化に対応できず、苦戦を強いられることとなりそうだ。

スマート化で不動産の価値が変わる?

商業不動産のIoT化は、不動産の価値そのものを覆す可能性も秘めているのではないだろうか。
これまでの立地重視の価格評価に代わり、建物自体の機能性を評価する風潮が生まれるかもしれない。いくら一等地の建物でも、利便性や安全性が低く、コストばかりかさむ環境では、入居者の不満は募るばかりだ。逆に多少立地条件の悪い建物でも、最新のスマート技術によって快適な環境が整っていれば、入居者は満足するかもしれない。将来的にスマート化のレベルが不動産の価値に影響しても不思議ではない。

住宅や街のスマート化とともに、商業不動産業が新たな社会を築こうとしている。21世紀の不動産業はIoTを駆使しなければ生き残れない時代がすぐそこまで到来している。

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