tr?id=1970953653177752&ev=PageView&noscript=1

仮想通貨取引所の課題を解決できるのか 分散型取引所DEXがもたらす新たな仮想通貨管理方法

仮想通貨取引所の課題を解決できるのか 分散型取引所DEXがもたらす新たな仮想通貨管理方法

1,694view

2018/07/06

(写真=RRice /Shutterstock.com)

仮想通貨のトレードには取引所を利用するのが一般的である。取引所の分類として、運営主体のある中央集権的な取引所のほか、DEX(Decentralized EXchange)と呼ばれる分散型取引所がある。中央集権的な取引所に関しては、古くはMt.Goxでの巨額のビットコイン窃盗事件のほか、最近ではCoincheckでの580億円ものNEM流出事件など、不透明なオペレーションや管理体制、ハッキングに起因する事件があとを絶たない。

このような状況であるためか分散型取引所に注目が集まっている。ここでは分散型取引所の概要を解説し、メリットやデメリット、将来性について紹介する。

分散型取引所とは

分散型取引所について説明する前に、まず比較対象となる中央集権的な取引所について触れよう。

仮想通貨のトレードでは、一般的に運営主体のある中央集権的な取引所が利用されている。海外のものも含めると無数の取引所が存在するが、代表的なものとして国内では、bitFlyer、bitbank、Zaifなど、海外ではBinance、Bittrex、Coinbase、Poloniexなどの取引所がある。

利用する際は、通常のWebサービスを利用するようにブラウザで取引所のウェブサイトにアクセスし、ユーザー登録してアカウントを作成する。各取引所は違法な取引や脱税を防止しようと本人確認を強化しており、パスポートや運転免許証といった本人確認書類を提出し、取引所側のチェックを通ってはじめて取引が可能となる。取引する際は、法定通貨か仮想通貨を取引所にいったん送金して、取引所に資金を預けた状態で取引する。

これに対して、分散型取引所には運営主体がなく、ネットワークを構成し、つなぎ目を意味する「ノード」が取引所のシステムを形成している。代表的なものとして、CryptoBridge、EtherDelta、OpenLedgerといった取引所がある。

CryptoBridgeとOpenLedgerは分散型金融プラットフォームの、Etherdelta、Bitsharesは分散アプリケーションプラットフォームであるイーサリアムのネットワークでそれぞれ構成されており、いずれもノード上で自律的に動作する「プログラム」である。これらのプログラムはスマートコントラクトと呼ばれることもあるが、実体としてはプログラムと考えて良いだろう。

これまでのウェブサービスと違うところは明確だ。どこかに一つの運営主体があり、システム上で取引所のプログラムが動いているわけではない。分散型取引所には運営主体がないといわれるゆえんである。取引にあたって必要なのは実質的に仮想通貨を入れたウォレットのみで、本人確認の必要はない。資金を常にユーザー自身の管理下に置くことができるのだ。

分散型取引所のメリット

中央集権的な取引所を狙ったハッキング事件があとを絶たない。そんななか、分散型取引所を利用する最大のメリットは、取引所に資金を預ける必要がないことだろう。これまでも中央集権的な取引所を利用する際、取引所に多くの資金を預けたままにせず、ユーザーのウォレットに仮想通貨を移動させ保管することが推奨されてきた。しかし、取引所に預けたままにしているユーザーも少なくないだろう。これに対して分散型取引所では秘密鍵を自身で管理する必要はあるが、資金を自身のコントロール下に置くことができる。

さらに分散型取引所のプログラムがオープンソースであれば、コードを読んで取引の処理を把握することができる。コードが読めなくても、コードを読める人たちの見解を知れば、取引所を監視し、その取引所を利用するかをユーザー自身が判断できる。中央集権型の取引所も多くは金融庁に登録して情報を公開し、監査を入れるなどユーザーの保護に努めているが、コードをユーザーが読むだけで監査できるような「究極的な透明性」を実現するには至っていない。

また、分散型取引所では、中央集権的な取引所が強化している本人確認に手間がかかることもない。海外の取引所や複数の取引所を利用する場合に、各取引所に個人情報を提出するのは煩雑なだけでなく、個人情報が流出する懸念もある。しかし、そもそも本人確認が不要であればこのような心配は生まれない。国家が分散型取引所に本人確認を強いるのは不可能ではないが、すでにブロックチェーン上で稼働している分散型取引所の稼働を止め、コードの変更を強要するのは難しいだろう。

分散型取引所のデメリット

分散型取引所にはメリットも多いが、当然ながらデメリットも存在する。運営主体がなく、ユーザー自身の責任でウォレットの鍵を管理する必要があり、トラブルがあったときの解決が難しい。秘密鍵を忘れてしまっても、パスワードを復元する手段は一般的なWebサービスと違って用意されていない。

また、取引する際は、注文などの処理一つひとつがブロックチェーンに記録される。そのため、中央集権的な取引所ではかからなかった細かな手数料がかかってくる。取引所によっては取引が同じブロックチェーン上の仮想通貨間に限られ、ドルや円といった法定通貨とも取引できない。また、分散型取引所がまだ一般に普及していない点も気がかりだ。

仮想通貨を自己責任で鍵管理することや、ブロックチェーンにまつわる手数料の仕組みは複雑だ。しかし、資金が完全にユーザー管理下にあり、本人確認に伴う問題を排除し、オープンソース化で透明性が確保されれば、分散型取引所は、中央集権的な取引所が抱える問題を解決する革新的なシステムとなりえる。

中央集権型取引所と分散型取引所の今後

巨額の仮想通貨流出事件以降、ユーザーが仮想通貨を自身の手で管理するハードウェアウォレットや分散型取引所が注目を集めている。一方で、分散型取引所が広く普及するまでにはまだ時間が必要だ。

中央集権型の取引所との関係でいうと、完全に排他的な関係になる必要はないだろう。法定通貨の取り扱いという点で、法定通貨を仮想通貨に交換する手段として中央集権型の取引所の存在意義がなくなることはない。仮想通貨間の取引の主役は徐々に中央集権型の取引所から分散型取引所に代わりつつも、両者は共存していくのではないだろうか。

将来的に分散型取引所は、ユーザーが拠点にする中央集権型の取引所に本人確認のための個人情報を提出し、銀行口座にリンクするようになるかもしれない。ここで法定通貨と取引した主要な仮想通貨を分散型取引所に持ち込み、マイナーな仮想通貨と取引して再度、中央集権型の取引所で法定通貨に戻すといったような利用方法が考えられる。

分散型取引所は仮想通貨の根底にある、中央集権的な思想を持たない「リベラル」なシステムだといえる。仮想通貨が一般的になり、中央集権的な取引所が普及し、さまざまな問題が浮き彫りになるなか、分散型取引所がいかに普及するか注目したい。

執筆者:Aki T.

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

INNOVATION HUBの最新情報をお届けします

プログラム

スタートアップ・アクセラレータ

  • MUFG DEGITAL ACCELERATOR

コンテスト/ハッカソン

  • 三菱UFJ銀行 FINTECH CHALLENGE 2018
  • 三菱UFJ銀行 FINTECH CHALLENGE 2016
  • 三菱UFJ銀行 FINTECH CHALLENGE 2015

月間記事ランキング

MUFG関連記事

Facebook公式ページ