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インシュアテックの発展に欠かせない ブロックチェーンを活用した新たな保険サービスに迫る

インシュアテックの発展に欠かせない ブロックチェーンを活用した新たな保険サービスに迫る

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2018/05/10

(写真=wutzkohphoto /Shutterstock.com)

世界の保険料の総額は、保険サービスの提供を行うSwiss Re Instituteによると、2016年に4.6兆ドル(約490兆円)に達した。その規模は世界のGDPの6.3%に相当する。保険は売り手と消費者、事業者が多くのプロセスを踏んで取引しており、手続きも煩雑だ。また、取引に関係する企業は保険という商品性から他の企業と共有できる情報が限られている。それがリスク管理や保険料、保険金請求の手続き管理プロセスに必要な情報の共有を難しくしている。

このような保険業界の現状を変えるのではと期待されているのが、Insurance(保険)とTechnology(テクノロジー)を掛け合わせ、ブロックチェーンを用いたInsurTech(インシュアテック)の存在だ。ここでは保険業界の実態と、ブロックチェーンを用いた新サービス「iXledger(アイエックスレジャー)」の取り組みについて紹介し、今後のインシュアテックの展望を考える。

保険業界の実態

昨今の保険業界は業務プロセスの改善や各種規制への対応など、多くのことを求められている。業務プロセスについては現状、保険会社や仲介業者、再保険会社など複数の関係者が別々に取引を記録しているため、効率的にデータ収集・分析している状況とはいえない。

また、保険会社や保険仲立人(ブローカー)には世界中で厳密な規制が設けられており、管理上の負担が大きいのだ。規制の例としては、EU一般データ保護規則(GDPR)、保険販売業務指令(IDD)、ソルベンシーⅡがある。ITシステムには保険を司る機関に適切な監査手段を提供し、透明性を確保することが求められる。

保険業界の課題に取り組むiXledger

iXledgerとはブロックチェーンを利用して、主に保険会社と、保険会社がリスク分散のために加入している再保険会社をつなぐサービスを提供する企業で、英国ロンドンで2017年に設立された。CEOのIngemar Svensson(インジェマー・スベンソン)氏は以前、サンガード・アセットマネジメントでリスク評価部門の技術責任者をしていた人物だ。また、バンク・オブ・アメリカ、メリルリンチ、バークレー・キャピタル、リーマン・ブラザーズ、三井住友海上などでシステム構築に携わっていた人物でもある。

iXledgerのプラットフォームでは「IXT」というトークンを活用して保険商品を売買することが可能だ。また、ブロックチェーンを用いてデータを暗号化し、自分が加入している保険の管理をすることもできる。保険の契約を結ぶに当たって仲介人が不要なので、即座に低価格で保険契約を結ぶことが可能だ。

このプラットフォームでは、保険の契約に合意すると、スマートコントラクトがつくられてブロックチェーン上に取引記録が残る。そしてブロックチェーンの性質上、契約内容は改ざんできない。また、多種の保険をiXledgerの上で一元的に管理でき、企業の担当者は保険市場を容易に分析できるようになる。

iXledgerは2017年8月、大手再保険会社のGen Re(ジェン・リー)と業務提携した。Gen Reは世界3位の再保険会社であり、生命保険や医療保険、損害保険などの再保険を提供している。業務提携の目的はGen Reを通して、より便利なサービスをクライアントに提供することだ。

大手コンサルティング会社のPwC(プライス・ウォーターハウス・クーパース)によると、ブロックチェーンを活用することで再保険市場は最大100億ドル(約1.1兆円)ものコストカットを実現できるともいわれている。保険業界は、ブロックチェーンの活用で大きな変化が期待される市場なのだ。

インシュアテックがもたらす保険業界の変革とは

保険業界へのブロックチェーン活用について解説してきたが、実はAIの活用まで見込んでブロックチェーンを活用しようとする企業も存在する。

たとえば、iXledgerとも提携している「INSCHAIN(インスチェーン)」は、AIを活用して自動的に保険商品を試行的に作っている。INSCHAINはプラットフォーム上で、AIを活用し保険のリスクレベルを設定する。ユーザーは自身のデータをAIに覚えさせ、AIが算出した結果のみをブロックチェーンに保存する。これにより、クライアントの機密情報が漏れる可能性を排除しようとしている。

AIで保険を作るだけでなく、さらに保険自動売買の実現を目指す「Aigang(アイガン)」も存在する。Aigangはブロックチェーンを用いるだけでなく、AIを活用したリアルタイム価格決定アルゴリズムを実装し、完全自立型保険を開発して保険を自動売買する世界を目指している。

このようにブロックチェーンをはじめとしたテクノロジーによって、保険業界に今、変革が起きようとしている。業界にとっても、ユーザーにとっても、より便利で自動化された世界が、すぐそこにまで来ているといえるだろう。

執筆者:金本 拓

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