tr?id=1970953653177752&ev=PageView&noscript=1

AIとIoTは国民の医療費を削減できるのか?官民で進める新たな予防医療サービス

AIとIoTは国民の医療費を削減できるのか?官民で進める新たな予防医療サービス

10,346view

2018/04/13

(写真=Mohd KhairilX /Shutterstock.com)

日本の医療費の高止まりが続き、2年連続で40兆円を突破した。この金額は高齢化に伴い、さらに増加することが予想される。

そのような中、経済産業省は、2018年からAIやIoTを用いた予防医療システムを提供しようとしている。また、民間でも予防医療を目的としたサービスを提供しようと、各社が力を入れている。果たしてこれらのサービスの拡充により、医療費の削減は実現するのだろうか。

AIで実現する 経済産業省が実用化を目指す予防医療システムとは

医療費の削減に向けた動きの一つとして、経済産業省では「次世代ヘルスケア産業協議会」を設けた。高齢化による諸問題だけでなく、健康・医療ニーズの多様化などを踏まえて、健康増進や生活習慣病予防サービスなど、生涯現役を前提とした社会ニーズに対応するべく動きを見せている。

また、政府としてもヘルスケア産業を成長分野の一つとして掲げており、ヘルスケア産業の市場育成や雇用の創出を目指していることから、協議会の取り組みは内閣官房や厚生労働省、スポーツ庁などの関係省庁とも連携して進められている。

協議会が2017年にまとめたアクションプランによると、主要施策の一つとして掲げた「健康情報などを活用した行動変容サービスの創出・高度化」の中で、 AIを活用したサービスの開発を進める方針が示された。

ウェアラブルデバイスなどから収集された体重や血圧、生活や運動習慣に関わる歩数のデータをもとに、AIがアドバイスできるシステムの開発を目的としているようだ。病気になる前に手を打てるようにAIを活用した予防医療に力を入れるのだろう。

自治体も推進する予防医療システム導入

自治体レベルでも予防医療システム導入を進める動きがある。経済産業省がまとめた「ヘルスケア分野におけるIoT・ビッグデータ利活用事業モデルの考え方」では、自治体でシステムを導入する際の基本的な方針が示されている。その中で「IoT機器の種類」、「データベースの内容」など4要素を考慮する必要があるとし、自治体や協議会は、地域にあるヘルスケアサービスの事業者とIoT・ビッグデータを結びつけるコーディネーターとしての役割が求められる、と述べている。

このような動きの例として、2016年からの福岡県みやま市における取り組みがあげられる。みやま市ではウェアラブル活動量計を活用して、地域住民が自宅のテレビ上でフィットネス事業者の運動指導を受けられるサービスを展開している。また、神奈川県藤沢市では、認知症の発症・重症化の予防を目的に医療法人と連携して、コミュニケーションロボット・PALROを活用した実証実験を行い、地域在住高齢者の認知機能や身体機能の維持・向上に寄与することが確認できた。その成果も踏まえ、PARLO は神奈川県「さがみロボット産業特区」発の製品として認定を受けている。

このように、予防医療に対する国や自治体の動きは活発になってきている。医療費削減に向けて、最新テクノロジーを活用する動きは今後さらに活発化するだろう。

もっと手軽に 世界で進むウェアラブルデバイスやスマホを利用した予防医療

予防医療に関する新たなビジネスの誕生が期待されており、ベンチャー企業も予防医療分野への参入が進んでいる。

海外では、健康改善へアドバイスするウェアラブルデバイスを開発している「Fitbit,Inc.」が、本社のある米国のみならず、日本や中国、韓国、インドなどに進出して市場を開拓している。Fitbitのウェアラブルデバイスとアプリケーションでは、睡眠や歩数、食事などさまざまなアクティビティを記録。日々リアルタイムで健康管理ができるようになっている。

また、英国発のヘルステックベンチャー・SweatCo Ltdは、歩くことでポイントが貯まり、アプリ内でポイントと欲しい景品と交換することができるSweatcoin(スエット・コイン)を開発している。Sweatcoinは米国、アイルランドでもユーザーを抱えており、登録ユーザー数は500万人以上、週間アクティブユーザーも200万人を超えているという。2018年1月には490万ドルの資金調達にも成功し、今後、大きく飛躍するかもしれない。

国内でもヘルステック企業がアプリの提供を通じて予防医療を実現しようとしている。その先駆けが株式会社FiNCだ。同社は、独自開発したAIを用いて健康管理アプリケーションを提供。すでにダウンロード数100万を超え、利用が進んでいる。このように予防医療産業は民間でも着実に進んでおり、今後も活発化するだろう。

予防医療システムで医療費を削減する上で考慮したい2つのポイント

日本でも官民で予防医療システムの提供が進んでおり、今後さらに普及することが予想される。しかし、この動きは今後、国の医療費削減につながるのだろうか。これを考えるうえでのポイントは2つだ。

1つめは、ユーザーに対して予防医療システムを利用するインセンティブ(動機付け)を提供できるかどうかだ。予防医療システムを使えば健康になれるとメリットを伝えるだけでは、利用の継続は難しく利用者は一部にとどまる可能性がある。健康になれるというメリット以外にも動機付けは必要だろう。

例をあげるなら、先にあげたベンチャー企業のように、ポイント還元などの形式で具体的なインセンティブを提供することが考えられる。自治体であれば、予防医療システムの活用実績に応じてポイントを付与し、ポイントを地域指定の店舗で利用できるという仕組みを構築するのも一つのアイデアだ。インセンティブを提供して、予防医療サービスの活用が進めば、医療費削減に寄与することができるだろう。

2つめは、予防医療を国の戦略として有効に機能させるために、官民一体となって動ける体制の構築、制度の拡充が大切だ。ベンチャー企業の革新的な技術やサービスをより早く組み込めるような柔軟な体制や、国として世界情勢も含めたマクロな視野を提供する機会、産業育成の為の補助金等の制度の充実といった互いに出来ることや強みを組み合わせ、シナジーを発揮することが必要になるだろう。

このように予防医療を国として実現するうえでクリアすべき課題もある。一方で、これらの課題は解決可能なものばかりだ。官民一体となってどのように課題解決に取り組むのか、医療費削減に向けた今後の動きに引き続き注目したい。

執筆者:山田雄一朗

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

INNOVATION HUBの最新情報をお届けします

プログラム

スタートアップ・アクセラレータ

  • MUFG DEGITAL ACCELERATOR

コンテスト/ハッカソン

  • 三菱UFJ銀行 FINTECH CHALLENGE 2018
  • 三菱UFJ銀行 FINTECH CHALLENGE 2016
  • 三菱UFJ銀行 FINTECH CHALLENGE 2015

月間記事ランキング

MUFG関連記事

Facebook公式ページ