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AI投資が加速 自動車業界が描く未来の社会とは?

AI投資が加速 自動車業界が描く未来の社会とは?

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2018/03/09

(写真=chombosan/Shutterstock.com)

AV(自動運転車)やEV(電気自動車)など次世代自動車の開発競争が加速する近年、自動車メーカー間では要となるAIへの投資が活発化している。

10億ドルを投じ、ペンシルバニア州のAIスタートアップ「Argo」のロボティクス技術を活用して2021年までにレベル4(高度自動運転)の完全AV完成を目指すフォード、ソフトバンクも株式を保有するカリフォルニア州の半導体メーカー「Nvidia」のAI車載コンピューティング ・プラットフォーム「Drive PX」をベースに、独自のAVソフトウェアを開発中のボルボ、そしてAI安全運転支援デバイスを開発する「NAUTO」にはBMWやトヨタが出資している。

各自動車メーカーは、オートテック関連スタートアップに投資するとともに、外部の研究・開発機関と提携、あるいは自社の施設を設立している。ここでは、自動車そのものを全く新しい次元へと押し上げようとしている自動車業界に迫ってみよう。

AI投資では群を抜くアウディの成果

AI投資を加速させるライバルを大きくリードしているのがアウディだ。

アウディは2017年も矢継ぎ早にAI投資の成果を発表している。9月に開催された「フランクフルト・モーターショー2017」では、レベル4の自動運転搭載コンセプトカー「Elaine」と、レベル5の「Aicon」を披露している。EV SUVクーペの「Elaine」は車線変更や駐車、高速道路で時速130キロまでの運転が自動化されており、4ドアクーペの「Aicon」は車内にハンドルやペダル類が一切なく、完全な自動運転を実現している。

両車に共通しているのは、「人間のように自ら考え、共感できるシステム」を搭載している点だ。これにはアウディが7月に立ち上げた先端テクノロジー・ブランド「アウディAI」 の技術が採用されている。アウディAIは、AIを活用したスマートかつ共感力に優れた仕組みを開発することで、運転手に新たな快適さを与えるシステムを提供することができるだろう。

世界で初めてレベル3の自動運転を実現したシステム「アウディAIトラフィック・ジャム・パイロット」は、一定の条件下で完全自動運転が可能であることを立証した。

2020年までに完全AVのAI自動車完成を予定!?

アウディAI立ち上げと同時期に、オーストリアのヨハネス・ケプラー大学(JKU)と共同で「アウディJKUディープラーニング(深層学習)センター」も開設した。AI分野の権威セップ・ホーフライター教授の協力のもと、車載センサーにAI技術を採用する研究などを進めている。

また2017年1月にはNvidiaとの提携で「2020年までにAI・深層学習技術を利用した最先端の完全自動運転車を路上走行させる」と発表するなど、AI自動車開発を加速させている。

アウディはこうした取り組みに先駆けており、2009年に米国コロラド州のヒルクライムコースで無人のAudi TTSを走行させて話題を呼んだ。2013年には自動車メーカーとして初めて、公道で自動運転車のテスト走行を行う許可をネバダ州から、翌年にはカリフォルニア州からも取得した。2015年には実験車両「A7」で、サンフランシスコからラスベガスまで900キロという距離の自動走行を成功させている。

10億円を投じ、シリコンバレーにAI研究・開発機関を設立したトヨタ

日本のメーカーではトヨタの動きが印象的だ。2016年1月、シリコンバレーにAI研究・開発機関「TOYOTA RESEARCH INSTITUTE(TRI)」を設立し、5年間で10億円を投じる計画を立てている。

電子工学・コンピューターサイエンスの権威であるギル・プラット氏をCEOに迎え、優秀な技術者を集めるとともに、マサチューセッツ工科大学やスタンフォード大学の研究センターとの連携を通して、AI技術を活用した革新的な商品の開発を目指している。

トヨタは安全・アクセシビリティ・ロボットを3つの目標分野に掲げ、「社会が直面するさまざまな課題」に取り組み、「持続可能なモビリティ社会」を実現することで、「人々の生活をより安全で自由、豊かなもの」へと創り変えていくという発想だ。

トヨタはベンチャー部門を通してAIスタートアップも支援

2017年にはスタートアップの支援に向け、TRIの投資子会社「Toyota AIベンチャーズ」も設立した。運転支援AIシステムを開発するカリフォルニア州の「Nauto」やマサチューセッツ州の「Realtime Robotics」、オレゴン州の「Connected Signals」、ロンドンの「SLAMcore」、テレアブの「Intuition Robotics」といったスタートアップをポートフォリオに加えている。

国内のAI投資にも注力しており、東証マザーズの上場企業「PKSHA Technology」に10億円を投資したほか、2015年に10億円を投じていた「Preferred Networks」にも、105億円の追加投資を行った。

「車づくり」から「社会づくり」に移行!?新たな自動車産業の未来

こうした各自動車メーカーのAIを利用した取り組みは、将来的には既存の自動車分野にとらわれることなく、より広範囲な地域経済および社会問題の解決を目指す方向に流れるだろう。

すでにトヨタは筑波大学の人工知能科学センターと提携し、2017年4月、地域未来の社会基盤づくりを研究開発する「未来社会工学開発研究センター」を大学構内に設立している。これは5年間のプロジェクトで、地域経済・社会の課題解決、未来産業創出、拠点化形成への実証研究と政策提言に取り組むものだ。

具体的には自動運転、ロボティクス、衛星、携帯端末などのデータを解析、社会に応用し、地域の持続的成長循環に貢献することを目指している。

AI分野に次いで活発化している、ライドシェアや配車サービス分野にも注目したい。ダイムラーは日本の楽天も出資するドバイのライドシェア・スタートアップ「Careem」をはじめ、配車サービスの「Blacklane」や「Hailo」の資金調達ラウンドに参加した。ドイツの配車アプリ「My Taxi」やギリシャの「Taxi Beat」も買収している。ユーザー個人の、目的地までの交通費削減だけでなく、相乗りすることで生まれるコミュニケーションや、渋滞の緩和・駐車場の軽減といった共有経済の支援・促進に挑戦する一例だろう。

「モビリティ技術を通じ、世界中の人々の暮らしを豊かにしたい」というプラット氏が語るように、自動車産業は次世代自動車の開発というカードを得て、やがて「車づくり」から「社会づくり」の産業へと移行していくのかもしれない。

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