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改正銀行法は、フィンテックにどのような影響を与えるのか?

改正銀行法は、フィンテックにどのような影響を与えるのか?

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2018/03/02

(写真=cgstock/Shutterstock.com)

2017年5月26日に「銀行法等の一部を改正する法律(以下、改正銀行法)」が成立し、同年6月2日に公布された。今回の改正銀行法は、今後の金融機関とフィンテックベンチャーの間で起こるオープン・イノベーションに大きな影響を与えるだろうとみられている。

ここでは、オープンAPIに関する対応などが求められる法改正で今後、日本のフィンテックがどのように変化するのかを考察してみる。

改正銀行法の背景

今回の法改正は、2016年12月27日に金融審議会のワーキンググループが発表した報告書をもとに法令化したものである。IT(情報技術)を活用した金融サービス、フィンテックの環境変化に関する報告書としては、2015年12月22日に同会が公表した2つの報告書に続く2年連続の報告書となる。つまり、銀行法改正としても2年連続になる。

2016年の改正は仮想通貨取引業者を登録制にすることなどが柱だったが、2017年の改正は金融機関とフィンテック企業とのオープン・イノベーション(連携・協働による革新)を進めることが目的だ。フィンテックの動きが世界的に加速していることを鑑み、利用者を保護するセキュリティの観点から、制度的な枠組みの整備が必要であるとしている。

改正銀行法のポイント

改正銀行法のポイントは以下の4点である。

1. 電子決済等代行業を新たに定義
2. 電子決済等代行業者に登録制を導入
3. 電子決済等代行業者に対する義務付け
4. 銀行のオープン・イノベーションに関する取り組みを推進

では、それぞれ詳しく見ていこう。

1. 電子決済等代行業を新たに定義
改正銀行法では、電子決済等代行業者を(1)電子送金サービス(改正銀行法第2条第17項第1号)と(2)口座管理サービス(同第2号)に分類している。

(1)電子送金サービスとは、顧客から委託を受けて、顧客に代わってシステムを使用して顧客の送金指示を銀行に伝えるサービスをさす。具体的には、銀行のオープンAPIを使用して、顧客の送金振込指示を銀行に伝達する更新系APIを利用する業者を想定している。

(2)口座管理サービスとは、顧客が持つ銀行の口座情報を取得して顧客に提供するサービスである。改正銀行法では銀行のオープンAPIを使用して、複数の口座情報を一括で取得表示するような参照系APIを利用する業者を想定している。

2.電子決済等代行業に登録制を導入
改正銀行法では電子決済等代行業者は、内閣総理大臣の登録を受けた業者以外が業務することを認めないとした(同法第52条の61の2)。

登録を受けるには、内閣府令で定める基準に適合する財産的基礎や電子決済等代行業を適正かつ確実に遂行する体制の整備が必要とされている(同法第52条の61の5)。

3.電子決済等代行業者に対する義務付け
改正銀行法では電子決済等代行業者に対して、以下の義務を課している。
(1)利用者に対する説明義務(同法第52条の61の8)
(2)利用者のため誠実に業務を遂行しなければならない義務(同法第52条の61の9)
(3)銀行との契約締結義務(同法第52条の61の10)

フィンテックを推進していくうえで、特に銀行との契約締結は重要である。銀行との契約締結義務の法令化には銀行のオープンAPIを利用した、金融機関とフィンテック企業とのオープン・イノベーションを進めていく意図がある。

4.銀行のオープン・イノベーションに対する取り組みを推進
改正銀行法では、銀行に対しても電子決済等代行業者と契約を結ぶ基準を作成し、公表する義務を求めている。また基準を満たした電子決済等代行業者に対して、不当に差別的な取り扱いを行ってはならないと定めている(同法第52条の61の11)。

これにより銀行は、自らが公表した基準を満たした電子決済等代行業者を公平に取り扱い、結果としてフィンテック企業との連携が進みやすくなることが考えられる。

フィンテック企業、銀行、各々が気を付けるべき注意点は?

改正銀行法はフィンテック企業および銀行によるオープン・イノベーションの促進を目指してつくられたものだが、フィンテック企業、銀行にとってそれぞれ気を付けるべき点はないのだろうか。

まずフィンテック企業に関しては、改正銀行法により電子決済等代行業の登録が必要となった。またそれに合わせて監督規定も整備された。帳簿の整備(同法第52条の61の12)や報告書の作成(同法第52条の61の13)、報告義務(同法第52条の61の14)が課されている点に注意が必要である。

銀行についても、基準を作成し公表する義務を課しているほか、2018年3月までに電子決済等代行業者との連携・協働にかかる方針を作成し、公表しなければならないとしている(改正銀行法附則第10条第1項、銀行の電子決済等代行業者との連携及び協働に係る方針に関する内閣府令)。

さらにオープン・イノベーションを進めようとする銀行は、改正銀行法から2年以内にオープンAPI体制を構築することを努力義務とした(改正銀行法附則第11条)。

改正銀行法で、日本のフィンテックはどのように変わるのか

今回の改正銀行法は、電子決済等代行業とは何かを明確にし、できることを定め、登録が必要となることを定めている。銀行についてもさらなるオープン・イノベーションの推進に向けて、オープンAPIの体制整備の義務が課されている。

国は、セキュリティレベルや財務状況などについて基準を設けた。利用者保護を図りつつ、銀行が有するシステムをフィンテック企業に開放することで、より一層、利用者の利便性を高めようとしている。そして2年連続の法改正には、欧米各国で進むフィンテックの隆盛に追いつく意図もある。

2018年に施行が予想される今回の改正銀行法。この改正銀行法施行により、フィンテック企業、金融機関はそれぞれ法制度にのっとった体制整備・ルール策定が必要になってくる。いち早くその体制を整えてオープン・イノベーションを進める金融機関、そして金融機関が提供するオープンAPIへの対応を素早く行えるフィンテック企業が、日本のフィンテックをリードすることになるであろう。

執筆:田中 祥太

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