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イスラム金融初現物裏付け仮想通貨「OneGram」、創業者が語る仮想通貨の未来

イスラム金融初現物裏付け仮想通貨「OneGram」、創業者が語る仮想通貨の未来

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2017/09/22

Photo by Caleb Whiting on Unsplash

FinTechの世界的ハブといえばロンドンや欧州などが思い浮かぶかもしれない。
しかし、FinTechは世界的に起きているムーブメントであり、
世界各地でさまざまな発展を遂げつつある。

日本では普段関わることの少ないイスラム金融の世界でもFinTechは注目され、独自の進化を遂げようとしている。そして、FinTechによって世界中の市場がより強くつながることで、これまでに考えられなかったような影響が出てくる可能性も大きくなっている。イスラム金融市場の動向によって、日本を含むその他の市場が影響を受ける可能性が高まっているということだ。

そこで、今回はイスラム金融市場で注目すべきFinTechに関わる動向とスタートアップを紹介したい。イスラム金融市場の今後を占う上で、重要な示唆を与えてくれるはずだ。

FinTechとイスラム金融市場、「金」投資解禁の影響

イスラム金融とは、イスラム教の教義(シャリア)に即した金融のこと。その特徴としては、利子の授受の禁止、投機的取引の禁止、不確実な取引(価格や数量などが不確実)の禁止などが挙げられる。

このように独自の原則を持つイスラム金融だが、その規模と拡大スピード故に数年前から投資家や起業家たちから注目されてきた市場でもある。

イスラム金融の市場規模は、2016年時点で1兆6600億~2兆1000億ドル(約170兆~220兆円)と推計され、2018年末までには3兆4000億ドル(約350兆円)まで拡大すると予想されている。この数字は、世界全体の金融資産額のうちの1~2%にすぎないが、視点を変えると伸びしろが非常に大きい市場であるとも見て取れる。

イスラム金融を構成する国々には、オイルマネーが豊富な湾岸諸国に加え、急速な経済発展を遂げている新興国が多い。
また、ムスリムが世界人口の4分の1を占めることを考慮すると、注目するのは至極当然だろう。

イスラム金融市場における国別の規模でみると、全体の30%ほどを占めるサウジアラビアが最大で、次いでマレーシア、アラブ首長国連邦、クウェート、カタール、トルコ、インドネシアなどと、中東と東南アジアがその大部分を占めている。

注目され、拡大するイスラム金融市場、そこではムスリムの人々のニーズを考慮した新しい金融プロダクトやサービスが開発され提供されている。
新しい金融プロダクト・サービスを導入する際、それらがシャリアに即したものかどうかを判断し、ガイドライン策定などを行う機関が存在する。
イスラム金融機関会計監査機構(AAOIFI)やイスラム金融サービス委員会(IFSB)がそれに該当する機関だ。

このAAOIFIは2016年末にある発表を行ったが、この発表は今後のイスラム金融市場とFinTechの1つの大きな流れを生み出す可能性がある。

その発表とは、イスラム金融の世界で長年不透明とされていた「金(ゴールド)への投資」を解禁するというものだ。

シャリア法で金は、銀や塩などと同重量で交換が許される「Ribawi」の1つとされ、宝飾や通貨として個人的に保有することは問題がないとされていた。しかし、金ETFなどへの投資に関しては、明確に許されるものではなく長年不透明な状態が続いていた。ムスリムの間で金投資への需要があったものの、金投資に関する明確なガイドラインがなかったということになる。

そこで、AAOIFIは金投資需要に対応するために、イスラム法学者や専門家を交え、金投資に関するガイドライン策定プロジェクトを開始し、2016年末に金投資解禁を発表した流れになる。

この金投資解禁は、今後のイスラム金融におけるFinTech進化を加速させる材料となり得るため、非常に注目された発表だった。特に、イスラム金融市場における仮想通貨の登場と多様化を促進する可能性がある。なぜなら、イスラム金融において本源的価値がないと解釈されている仮想通貨は取引対象として認められていないが、金などの現物を担保とする仮想通貨であれば、取引対象として認められるからだ。

実際に、金投資解禁の動きに合わせて、イスラム金融市場に登場した仮想通貨がある。金を裏付けとする仮想通貨「OneGram」(https://onegram.org/)だ。

次のセクションでは、OneGramの創設者、イブラヒム・モハメド氏への取材をもとに、イスラム金融市場における仮想通貨、そしてFinTechの今後を見通してみたい。

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(画像)イスラム金融初のシャリア法完全遵守仮想通貨「OneGram」の創設者イブラヒム・モハメド氏

イスラム金融仮想通貨「OneGram」、創業者が語る仮想通貨の未来

OneGramは、ブロックチェーンを用いた金を裏付けとする仮想通貨だ。ローンチ時、1コインあたり1グラムの金が裏付け資産となる。ICOでは、1244万トークンを発行し、5億ドル(500億円)を調達する計画。イスラム法に完全遵守する初の仮想通貨として注目を集めている。

モハメド氏は、OneGramが登場したことで、イスラム金融市場全体が今後さらに活発化し、FinTechを取り込んでいくだろうと語る。

「イスラム金融市場は、これまでイノベーションではなく、公平性や良質なガバナンスという側面が注目されることが多かったと思います。しかし、OneGramの登場で、デジタルテクノロジーを活用したイノベーションも可能なのだということを示せるはずです。もっとも古い通貨の1つである金を、デジタルテクノロジーと融合させ、それをイスラム法に準ずる形で、フェアな仮想通貨を作ることができたのですから」(モハメド氏)。

実際、イスラム金融市場ではFinTechを促進するためのファンドやハブが生まれ始めており、ロンドンなど先端FinTech市場から少し遅れを取りながらも、確実に前に進もうとしている。

「OneGramが登場したことは、他の起業家や開発者、投資家を刺激し、今後多くのイスラム金融仮想通貨の登場を促すことになるはずです。現物による裏付けがある仮想通貨で、それらが増えていけば、『現物裏付け仮想通貨』という新しい資産クラスが生まれることも考えられます。私は個人的に、現物に裏付けられた仮想通貨こそが『仮想通貨の未来』であると信じています。それが、必然的な進化だと思います」(モハメド氏)。

モハメド氏の話を聞いていると、イスラム金融におけるFinTechは、ムスリム特有の価値観を理解しておかないと、その未来を予想するのは非常に難しいのではないかと思えてくる。OneGramを開発するに至った理由はまさにそのことを物語っている。

「OneGramを開発しようと思った最大の理由は、不可能と思われていることを実現しようと思ったからです。イスラム法が定める原則に従いながらも、非中央集権的な特性を持たせた仮想通貨をつくるということ。ブロックチェーンというテクノロジーは、自由であり、非中央集権的な特性を持っていますが、それらを公正・公平というイスラム法の枠組みに組み込むということなのです。不可能だといわれてきたことで、大変難しい挑戦でしたが、実現することができました」(モハメド氏)。

OneGramという事例ができたことで、今後イスラム金融市場ではどのような仮想通貨の登場が考えられるのだろうか。

「銀は、仮想通貨を裏付けるとても良い現物になると思います。ボラティリティが金より多少高いという点はあるものの、本質的には仮想通貨の裏付けにもってこいでしょう。金地金だけでなく、鉄鉱石なども裏付け現物として考えることができます。イスラム法に沿う現物資産であれば、どのようなものでも仮想通貨の裏付け資産として考えることができます」(モハメド氏)。

モハメド氏は、OneGramコインを今後BittrexやPoloniexに上場する計画だ。東南アジアやMENA(中東・北アフリカ)での需要が大きく、当面はこれらの市場に注力することになるという。

普段FinTech、仮想通貨に関してロンドンや欧州市場を中心に見ている人には、イスラム金融市場の情報は新鮮に映ったのではないだろうか。独自の進化を続けるイスラム金融FinTech、今後どのように進化してくのか非常に楽しみだ。

文:細谷元(Livit http://www.livit.media/)

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