実在する「テレポーテーション」、カギとなる「量子もつれ」とは?

実在する「テレポーテーション」、カギとなる「量子もつれ」とは?

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2016/12/02

(写真=PIXTA)

テレポーテーション(瞬間移動)という言葉を耳にすると、目の前の物体が姿を消したと思えば、瞬きをする間に別の場所に現れることを想像する人が多いだろう。モノを遠く離れた場所に瞬時に移動する夢のような現象だが、「SF映画やアニメの世界の話」と言う人もいるかもしれない。

そのテレポーテーションが実は、全く非現実的なアイデアではなく、次世代の通信技術と目される量子通信では「量子テレポーテーション」が応用されており、まさに「遠隔地への瞬間移動」を通信に活用しようとしているのだ。

量子のテレポーテーションのカギ「量子もつれ」とは? 

まずは「量子テレポーテーション」がなぜ、次世代の通信技術として注目されているのか見てみよう。大きく期待されているのは、従来の暗号技術では実現できなかった量子テレポーテーションの暗号通信への応用だ。

では、量子テレポーテーションとは、いったい何なのだろうか。

単純化すれば、光の粒子(光子)や電子の量子的な性質を通信に応用し、遠隔地にいる受信者に情報をほぼ瞬時に届けられる技術である。暗号通信に応用すれば、盗聴されるとすぐに量子通信の特徴から突き止めることが可能で、通信の遮断などの対策を打てるようになるという。

さらに詳しく見てみよう。量子通信に使われる量子テレポーテーションを理解するカギは「量子もつれ(量子エンタングルメント)」で、これなくしては量子通信そのものも語れないのだ。

この「量子エンタングルメント」とは、異なる系の量子がもつれ合い、同じ状態を共有するというもの。別の言い方をすれば、もつれ合いの状態にある2つの量子のうち、どちらか1つの量子の状態を測定すると、もう一つの量子の状態も確定されるということだ。一方の量子から他方の量子へ情報が瞬間移動(テレポーテーション)したように見える、不思議な性質だと言えるだろう。

ネットワーク化へ向かう量子テレポーテーション

量子エンタングルメントを応用した通信は当初、純粋に理論的なモデルだった。その後、1990年代後半から量子テレポーテーションを実証した実験結果も出始めており、量子通信の実現も現実味を増してきているところだ。

量子テレポーテーションを巡る研究は、熾烈な競争を世界で繰り広げてきた。1997年にはオーストリアのインスブルック大学などの研究チームが光量子ビットを用いた量子テレポーテーションの実証装置を世界に先駆けて完成させている。光子に載せた量子ビットの信号を、距離の離れた送信機と受信機の間で転送することが可能になっていた。

しかし一部の研究者からは、転送された光量子ビットを計測したところ、都合のよい事象だけを選んだ条件付きでの転送だと批判を受けた。他にも、仮に100個の量子ビットを送信した際、正しく受信されるのは1個にも満たないほど転送効率が極めて低いと、通信品質の低さも指摘されていた。

東京大学大学院工学系研究科の古澤明教授らはその後、光子を量子ビットに使う方法から、光の波動も活用した量子テレポーテーションの活用の研究を推進。量子ビットの転送効率を従来の方法から飛躍的にアップさせた上に、3者間での通信を実現するなどの成果を出している。量子テレポーテーションを活用した通信ネットワークの構築に向けてすでに踏み出しているのだ。

また、量子通信には距離の問題もある。現在の研究では、スイスのジュネーブ大学の研究チームが光ファイバーを用いた実験で、25キロメートル離れた量子テレポーテーションの転送に成功。さらに100キロメートル前後の距離でも量子通信が実施されており、長距離化も進んでいる。

ただ、その量子通信が実用化に耐えるかはまだまだ不透明だ。例えば、東京とロサンゼルスは約8,800キロメートルも離れており、現実的な長距離通信に応用するにはまだまだ技術開発が必要だと言えるだろう。

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