「スパコンの製造販売いたします」 PEZYが立ち上げ狙う民生スパコン市場

「スパコンの製造販売いたします」 PEZYが立ち上げ狙う民生スパコン市場

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2016/10/24

(写真=PIXTA)

毎年、スーパーコンピューターの性能ランキングがニュースで報道される。民主党政権時代に、事業仕分けの大きな争点になったり、近年では中国勢の目覚ましい台頭を目の当たりにしたりしてきたが、注目している方はどれだけいるのだろうか。

われわれに身近なパソコンやスマホに比べて、巨大なコンピューティングパワー(処理能力)を持つスーパーコンピューター、いわゆる「スパコン」は、日々進化している。その中で、注目を集めているベンチャー企業の一つがPEZY Computingだ。

同社の代表取締役を務めるのは齊藤元章氏。高性能計算(ハイパフォーマンスコンピューティング、HPC)を行うコンピュータの独自開発を進めており、理想的なHPCを実現すれば人工知能(AI)の汎用化も可能にするのではないかと注目されている企業である。

PEZYが目指す「汎用AI向けのスパコン」

ただ、PEZY Computingを率いる齊藤氏は、単にスパコン並みのHPCを作ろうとしているのではない。2015年に刊行した同氏の著書である『エクサスケールの衝撃』で述べている通り、巨大な計算能力を実現できる「スパコン」を手にすることで、大きく開発を前進させられる汎用型AIの実現も目指しているのだ。

実際に同社は、2020年を目標に現時点のスパコンより1,000倍高速な処理能力を有する「次世代スパコン」の開発を目指している。国家的なプロジェクトにも数えられるような、大規模なコンピュータの製造に挑戦しているのだ。

さらに、さまざまなシーンで注目されているAIの開発に直結している視点からも、PEZYへの注目度は高い。それだけ莫大な処理能力を有するスパコンがベースになれば、現時点で活用できる特定の用途にだけ用いる「特化型AI」だけではなく、暮らしのあらゆる側面において人間をサポートできる「汎用AI」が現実のものになる可能性もあるのだ。

「汎用AI」の実現に向けては、コンピューティングパワーを拡大させていく過程で、わずか6リットルの体積に73億人分の脳の機能を持たせることも可能になるとも言われている。極々小さな空間を占める電子機器が、巨大な知力を発揮するという未来に辿り着くかもしれない。

スパコンは「シンギュラリティ」を夢見るか?

「汎用AI」が発展していく先には、さらに興味深い未来像も広がっている。「シンギュラリティ」と呼ばれるもので、「技術的特異点」と訳されることもある。PEZYが目指すのは、この「シンギュラリティ」を日本から起こすことでもある。

「シンギュラリティ」とは、「AIの知力が、われわれ人類全体が持つ知力を超える転換点」のことで、人間全員の思考の総体を凌駕してしまう未来を想像させるものだ。もしもAIがそこまで発展すれば、われわれの生活の前提もすべて変わってしまうかもしれない。

ただし、その実現のためには、超高性能のスパコンを手に入れるだけでは十分ではない。

齊藤氏は、「エクサスケール」のコンピューティングパワーを実現すべく奮闘している。しかし、汎用AIを実現するには、ニューロンやシナプスなど脳内の神経系の相互接続するネットワークの全体像を示す「地図」となるコネクトーム(connectome)も手に入れなければならず、課題の一つとされている。

つまり、巨大な処理能力を持つコンピュータの開発と、コネクトームの入手という大きな2つのハードルを越えてはじめて、「日本発のシンギュラリティ」も可能になると見られているのだ。

この日本からシンギュラリティが起こるかどうかは、資金や技術力といったリソースがどれだけ集まるかにもかかっている。PEZYをはじめとするこれら民間主導の刺激的なプロジェクトが実を結ぶか否か、今後も注目されるだろう。

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