自動運転車の事故の責任者は? メーカー、運転手?

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2016/09/29

(写真=PIXTA)

2016年2月、Googleが開発中の自動運転車が、公道で路線バスと接触事故を起こした。史上初の自動運転車側に過失のある公道上での交通事故であった。今後自動運転車が本格的に普及するにつれて、このような自動運転車による事故も増加するかもしれない。

自動運転車が事故を起こした場合の責任、そして保険の支払いは自動運転車メーカーと運転手のどちらなのか。現在の状況と論点を整理する。

意外と少ない自動運転車による事故

自動運転車が関係する事故は、現在どのくらいの件数なのだろうか。

自動運転車が関係する事故については、米カリフォルニア州がWebサイトにてレポートを公表している。同レポートによると、2014年10月~2016年9月までの2年間に16件だ。米カリフォルニア州の交通死亡事故件数は3,074件(2014年)であることから、自動運転車が絡む事故の件数は、普及台数が少数に留まっているせいか、まだまだ少ない。

自動運転車の事故の場合の保険は?

事故の件数が少ないとはいえ、全く発生していないわけではない。もし、不運にも自動運転車による事故が起こった場合、重要な位置を占めるのが「保険」だ。従来にはなかった自動運転車で事故が起こった場合に、保険の考え方はどのようになっているのであろうか。

自動運転車に関する法制度に詳しい保険会社パートナーのヒラリー・ローベン氏は、米Guardian誌のインタビューで、「自動運転車が事故を起こせば、加害者と被害者の両方が自動運転車に責任があると考えるでしょう」としている。

同氏はさらに、「そうであっても、自動運転車と運転者に別々の保険をかけるという前提で、自動運転車のほうが人間よりも事故を起こす確率が少ないと考えられるので、自動運転車にかかる保険料は人間の保険料よりも安価になるべき」という見解を示している。

損害保険会社で作る日本損害保険協会は2016年6月、「自動運転の法的課題について」というレポートを発行しており、その中で自動運転車の保険についても言及している。

レポートによると、「運転責任」という安全運転や事故回避などの自動車に関する責任をドライバーが持つのか、それとも自動運転車が持つのかによって損害賠償責任の有無を規定している。すなわち、自動運転でもトライバーが運転に介入でき、その場合に即時に自動運転が解除されるケースでは、ドライバーに損害賠償責任があるとしている。

一方、完全な無人運転の場合は「運転責任」を負うドライバーがいないと考えられ、従来の自動車の概念が成り立たないことから、自動車に関する法令に抜本的な議論が必要とされている。

メーカーとオーナーのどちらが賠償責任を持つか?

今後具体的に議論が起こりそうなのは、自動運転車の賠償責任がメーカーになるのかオーナーになるのかということであろう。言い換えるなら、メーカーが製造物責任を負うのか、ペットのように保有者が適切に管理を行い、他者に損害を与えない責任を持つのかである。

この問題を考える際に参考となるのは、7月に米Tesla Motorsの車で「自動運転モード」中に死亡事故が起きた際の、国土交通省の対応だ。

国土交通省はこの事故が起きた後、「自動運転は運転支援の技術に過ぎず、運転の責任は運転者が負うべき」という見解を出し、日本自動車工業会に充分説明するように求めている。

しかしながら、自動運転機能が充分に働かないことで事故が発生した場合に、メーカーの賠償責任を求める裁判が起こることは、今後考えられるだろう。今後自動運転車が普及するにつれて事故も増えることが予想され、その際の責任について、これからもいろいろな動きが起こりそうだ。

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